サイスニードは奪三振が「4」の高評価
2021年もプロ野球界に多くの新外国人選手が加入した。期待に応えた新助っ人もいれば、期待外れだった選手もいる。そこで球団ごとに通信簿を作成してみた。20年ぶり6度目の日本シリーズ優勝を果たしたヤクルトから見ていこう。
投手は「球威」「制球力」「奪三振」「総合」の4項目、野手は「パワー」「選球眼」「走力」「貢献度」の4項目を5段階評価。球威はリーグの平均球速、制球力は同BB%(対戦打者に占める与四球の割合)、奪三振は同K%(対戦打者に占める奪三振の割合)、総合は同FIP(投手の責任である被本塁打、与四死球数、奪三振数のみで投手の能力を評価した指標)から算出した。
昨季から在籍した外国人選手や、新加入でも一軍出場のない外国人選手は対象外としている。
ヤクルトに新加入した投手はサイスニードとリック・バンデンハークの2人だった。サイスニードは193センチの長身から投げ下ろすストレートは平均147.4キロ。飛び抜けて速いとは言えないが、スライダー、チェンジアップ、カーブ、カットボール、フォークと多彩な変化球も駆使して先発で6勝(2敗)を挙げた。
68.2回を投げて23四球、69奪三振。K%は24.7%と高く、奪三振は「4」の高評価だ。FIPも3.70とまずまずで、1年目にしては及第点といったところか。家庭の事情で日本シリーズ前に帰国したが、すでに来季残留が決まっている。
バンデンハークは2015年から6シーズンにわたってソフトバンクでプレーし、通算43勝20敗。2017年に13勝を挙げるなど先発右腕として活躍した。
今季からヤクルトに移籍したが、一軍ではわずか2試合に登板したのみで1勝も挙げられず、9月に自由契約となった。防御率は15.43と不本意な数字が残っており、平均球速は148.2キロを計測して球威と制球力は「3」がついたものの、奪三振は「2」、総合は「1」と低い評価になった。
オスナは選球眼と走力が課題
続いて野手を見ていこう。新助っ人はドミンゴ・サンタナとホセ・オスナ。パワーはリーグの平均ISO(長打力を示す指標)、選球眼は同BB%(打席数に占める四球の割合)、走力は同spd(走力を示す指標)、貢献度は同wRC(特定の打者が生み出した得点を示す指標)から算出した。
サンタナは116試合に出場して打率.290、19本塁打、62打点の成績を残した。規定打席には届かなかったものの、ISOは.220を記録しており、パワーは「4」。42四球を選んだ選球眼も「4」、wRCも66.5で「4」となっており、優良助っ人と言えるだろう。
オスナは120試合に出場して打率.258、13本塁打、60打点。規定打席到達者ではワースト3位の22四球と少なく選球眼や走力の評価は低いが、日本シリーズでは全6試合にスタメン出場し、24打数7安打の打率.292と活躍した。
サンタナ、オスナともに来季も残留する見込みと伝えられている。頂点に立ち、追われる立場となったヤクルトにとっては、来季も貴重な戦力となりそうだ。
【関連記事】
・【新助っ人通信簿】阪神アルカンタラは高評価、ロハス・ジュニアは上積み必要
・【新助っ人通信簿】巨人スモークは実力の片鱗、テームズはオール「1」
・【新助っ人通信簿】広島の165キロ右腕コルニエルは球威と奪三振が最高評価
・【新助っ人通信簿】中日のロサリオとガーバーはともに期待外れ
・【新助っ人通信簿】DeNAロメロは球威「4」尻上がりに評価上げる
・【新助っ人通信簿】オリックスはシーズン中に3人補強も物足りなさ
・【新助っ人通信簿】ロッテの左腕ロメロは4試合のみも実力の片鱗
・【新助っ人通信簿】楽天は外国人補強の失敗がV逸の要因に
・【新助っ人通信簿】ソフトバンクはマルティネスが最高評価、レイも奪三振「5」
・【新助っ人通信簿】日本ハムのアーリンは制球力「4」も2勝どまり
・【新助っ人通信簿】西武ダーモディは平均点も未勝利に終わる
・ヤクルトの助っ人列伝、優勝に貢献した外国人スラッガーたち
・ヤクルト日本一!高津臣吾監督の「絶対大丈夫」を生んだノムさんの教え
・【セ・リーグ死球ランキング】ヤクルト塩見泰隆と青木宣親が最多