トレードから1年でFA移籍した松永浩美
日本プロ野球界にフリーエージェント制度が導入されたのが1993年。アマチュア選手が入りたい球団を選ぶドラフト逆指名制度の導入に伴い、逆指名で入団した選手は10年(145日を1年として換算)、それ以外の選手は9年でFA権を取得できた。
記念すべき初年度は阪神・松永浩美、巨人・駒田徳広、中日・落合博満、オリックス・石嶺和彦の4人がFA権を行使。いずれもすでに実績を残していたバリバリのレギュラークラスだった。
阪急時代に盗塁王や最高出塁率に輝くなど「史上最高のスイッチヒッター」と呼ばれた松永浩美は1992年オフ、野田浩司との交換トレードで阪神に移籍。在阪球団同士の大型トレードは当時、大きな話題を呼んだ。
迎えた1993年シーズン、期待された松永はケガもあって80試合の出場にとどまり、打率.294、8本塁打、31打点、3盗塁に終わった。わずか1年でFA宣言して故郷・福岡のダイエーに移籍。1997年に退団するまで4シーズンで打率.267、15本塁打、92打点の成績を残した。
翌1998年は37歳にしてメジャー挑戦を表明。アスレチックス入団を目指して渡米したが、テストに合格できず引退した。