球界再編騒動に揺れた1年
近鉄とオリックスの合併とともに1リーグ構想が発覚し、史上初のスト決行など球界再編騒動に揺れた2004年。2リーグ制は維持されたものの、近鉄球団は消滅し、楽天が新規参入することになった。
同年オフ、FA宣言したのは巨人・仁志敏久、清水隆行、ヤクルト・鈴木健、真中満、稲葉篤紀、阪神・野口寿浩、藪恵壹、日本ハム・奈良原浩、近鉄・大村直之の9人。そのうち6人は残留したため、他球団のユニフォームを着たのは稲葉篤紀、大村直之、藪恵壹の3人だった。
近鉄とオリックスの合併とともに1リーグ構想が発覚し、史上初のスト決行など球界再編騒動に揺れた2004年。2リーグ制は維持されたものの、近鉄球団は消滅し、楽天が新規参入することになった。
同年オフ、FA宣言したのは巨人・仁志敏久、清水隆行、ヤクルト・鈴木健、真中満、稲葉篤紀、阪神・野口寿浩、藪恵壹、日本ハム・奈良原浩、近鉄・大村直之の9人。そのうち6人は残留したため、他球団のユニフォームを着たのは稲葉篤紀、大村直之、藪恵壹の3人だった。
現「侍ジャパン」監督の稲葉篤紀は、法政大から1994年ドラフト3位でヤクルトに入団し、1997年に21本塁打、2001年には打率.311、25本塁打でいずれもリーグ優勝に貢献するなど左の強打者として活躍した。
打率.265、18本塁打の成績を残した2004年オフにFA宣言。メジャー挑戦のため代理人とも契約した。渡米してトレーニングをしながら売り込みをかけたが、年が明けてもオファーはなく、結局メジャーを断念。2月に日本ハムと契約を結んだ。
夢は実現できなかったが、結果的には稲葉の野球人生は北海道で花開く。移籍2年目の2006年には打率.307、自己最多の26本塁打をマークし、日本一に貢献した。
2007年には打率.334で首位打者、176安打で最多安打のタイトルを獲得。2009年には第2回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に出場して世界一に輝いた。2012年には通算2000安打も達成し、ファンがスタンドで飛び跳ねて応援する「稲葉ジャンプ」は札幌ドームの名物となった。
ヤクルトで10年、日本ハムで10年の現役生活。もし、2004年にメジャー移籍が実現していたら稲葉の野球人生は全く違っていたかも知れない。FAがプロ野球選手にとってターニングポイントであることを示す好例と言えるだろう。
兵庫・育英高で夏の甲子園優勝し、1993年ドラフト3位で近鉄に入団した大村直之。4シーズンで150安打以上を放つなど、主に一番打者として活躍した。
2004年6月、オリックスとの球団合併計画が明るみになり、選手会副会長として合併反対の署名活動などグラウンド以外でも大忙しのシーズンを送った。球界史上初のスト決行までしたものの合併は止められず、近鉄球団は消滅。選手は分配ドラフトにより、オリックスと新規参入の楽天に振り分けられたが、大村はFA権を行使した。
移籍したソフトバンクでも2006年に165安打で最多安打のタイトルに輝くなど活躍。しかし、2008年にケガのため出番を減らし、オフに村松有人との交換トレードでオリックスに移籍した。2010年に戦力外となり引退。通算1865安打で2000安打には届かなかった。
朝日生命から1993年ドラフト1位で阪神に入団した藪恵壹は、1994年に9勝(9敗)を挙げて新人王に輝くなど、「暗黒時代」と呼ばれた低迷期の阪神を支えた。
2003年は8勝(3敗)を挙げてリーグ優勝に貢献し、2004年オフにFA宣言してMLBアスレチックスに移籍。2005年は中継ぎとして40試合に登板し、4勝1セーブ1ホールドの成績を残した。
しかし、契約は更新されず、メキシカンリーグや無所属の不遇な時代を経て2008年にジャイアンツでプレー。2010年に楽天入りし、同年限りで引退した。
生涯成績は日米通算91勝112敗1セーブ12ホールド。結果論で言えば、メジャー挑戦したため現役生活に空白期間ができたのが惜しまれる。
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