計5人がFA移籍、岸孝之は地元・仙台の楽天入り
プロ野球のシーズンオフに入ると大きな話題になるフリーエージェント。一定の基準を満たせば取得できるFA権は選手にとって勲章でもあり、他球団の評価を聞いてみたいと思うのは当然だ。
移籍するにしろ、残留するにしろ、選手の決断は尊重されるべきだが、それが正解かどうかは誰にも分からない。
そこで「答え合わせ」をすべく、時計を巻き戻してみたい。2016年は国内FA宣言が日本ハム・陽岱鋼、ソフトバンク・森福允彦、オリックス・糸井嘉男、DeNA・山口俊の4人、海外FA宣言が西武・岸孝之と栗山巧の2人だった。FA権を行使した計6人のうち栗山は西武に残留し、5人が新天地に移籍した。
岸孝之はプロ入り以来、在籍10年で7度の2桁勝利を挙げた西武からFA宣言。出身地の仙台をホームにする楽天移籍を決め、推定4年16億円の大型契約と報じられた。
移籍1年目の2017年は8勝10敗、翌18年は11勝4敗の成績を残したが、2019年はケガの影響もあって自己ワーストの3勝どまり。昨季はシーズン途中から一軍合流し、7勝を挙げた。今季の2勝(4敗)も含めて移籍5年目で計31勝(23敗)はやや物足りない。今年12月で37歳になるベテランだけに、今後は1年1年が勝負の年となりそうだ。
阪神移籍の糸井嘉男は3年目以降出場機会減少
オリックス時代の2014年に首位打者(打率.331)、2016年に盗塁王(53盗塁)に輝くなど高い身体能力で「超人」と呼ばれた糸井嘉男は、阪神移籍を決断。金本知憲監督のラブコールに応えてタテジマに袖を通し、人的補償で金田和之がオリックスに移籍した。
移籍1年目は打率.290、17本塁打、21盗塁、2年目は打率.308、16本塁打、22盗塁と高いレベルで安定していたが、3年目の2019年から徐々に成績が低下。昨季は86試合出場で打率.268、2本塁打、2盗塁にとどまった。
昨季で4年契約を終え、今季は推定年俸4億円から1億8500万円に大幅ダウン。昨季から王手をかけている通算300盗塁もいまだ達成していない。近畿大の後輩のルーキー・佐藤輝明が活躍しているだけに、先輩の意地を見せたい。
山口俊は3冠に輝き、巨人史上初のポスティングでメジャー移籍
2016年オフにFA宣言した5人のうち3人は巨人入りした。一気に3人獲得は史上初だったが、2017年の巨人は11年ぶりBクラスとなるセ・リーグ4位。大補強が必ずしもチーム成績に結びつく訳ではないことを、皮肉にも自ら立証する形となった。
DeNAでクローザーとして111セーブを挙げていた山口俊は、移籍1年目の2017年は飲酒トラブルを起こすなど1勝に終わったが、3年目の2019年には15勝4敗で最多勝、最高勝率、最多奪三振(188三振)の3冠に輝き、オフに球団史上初のポスティングシステムでMLBブルージェイズ入りした。
昨季は2勝を挙げたが、このほど自身のインスタグラムで「この度、山口俊は日本に帰国することを決断しました。夢を追ってメジャーに挑戦しましたが、力及ばずシーズン途中での帰国となります」と投稿しており、今後の動向が注目されている。
ちなみに山口の人的補償でDeNAに移籍した平良拳太郎は、巨人時代は未勝利だったが、移籍後に計15勝を挙げている。