チーム打率1位は履正社
第92回選抜高校野球大会はコロナウイルスの影響が懸念されるが、予定通りなら3月19日から阪神甲子園球場で行われる。今年も21世紀枠3校、明治神宮大会枠1校を含む計32校が聖地に集う。
予選を勝ち上がってすぐに本大会が始まる夏とは違い、ひと冬越えるセンバツは情報が少ない。地区のレベル差や昨秋からのチーム、個人としての成長もあるため、昨秋の成績だけで単純比較はできないが、あくまで一律に昨秋公式戦の数字だけでランキングを作成してみた。
まずチーム打率1位は.425をマークした履正社(大阪)。昨夏に全国制覇したメンバーが残っており、大阪大会準優勝、近畿大会4強の実力は本物だ。
2位は東北大会準優勝の鶴岡東(山形)で.419。3位は大阪大会決勝で履正社を破って優勝し、近畿大会でも準優勝した大阪桐蔭の.412。4位は21世紀枠で選ばれた帯広農(北海道)の.404。チーム打率が4割を超えているのは以上4校だった。
逆にチーム打率が3割を割っているのは創成館(長崎)、健大高崎(群馬)、磐城(福島)、加藤学園(静岡)、平田(島根)の5校。関東大会優勝、明治神宮大会でも準優勝した健大高崎が下から4番目とは意外な気もするが、後述するチーム防御率では5位にランクされている。
本塁打率1位は智弁学園
続いて本塁打ランキング。総数だと試合数によって不公平が生じるので、1試合平均で算出してみた。1位は1試合あたり1.75本をマークした智弁学園(奈良)。4番の前川右京は1年生ながらすでに高校通算21本塁打を放っている左打ちのスラッガーで、同校OBの巨人・岡本和真とも比較されるほどのパンチ力の持ち主だ。昨秋公式戦8試合で6本塁打を放ち、今大会注目選手の一人に挙がる。
2位は同じ奈良の天理で1.67、3位は大阪桐蔭の1.27、4位が明豊(大分)の1.10、5位が履正社(大阪)の1.09と続き、1試合平均1本以上をマークしているのはここまでとなっている。1本も本塁打がないのは磐城(福島)と平田(島根)の2校。
盗塁1位は鳥取城北
盗塁も本塁打同様に1試合平均で算出した。1位は3.25をマークして中国大会で準優勝した鳥取城北(鳥取)と東海大会で準優勝した県岐阜商の2校。鳥取城北は、50メートルを5秒8で走るチーム一の俊足、石原夢也が昨秋8試合で5盗塁、さらに藤元和虎が6盗塁、河西威飛も5盗塁をマークするなど、機動力が大きな武器となっている。
県岐阜商・多和田尚旗も50メートル5秒9の脚力で昨秋9個の盗塁を記録。昨秋は打率.431をマークするなど俊足巧打の一番打者としてチームを引っ張った。秀学館(熊本)を3季連続甲子園ベスト4に導き、2018年に母校・県岐阜商の指揮官に就任した鍛治舎巧監督の采配とともに注目だ。
3位は3.00の加藤学園、4位は2.58の中京大中京、5位は2.44の東海大相模と山梨学院が並ぶ。「機動破壊」で有名な健大高崎(群馬)は1.77で13位。ワースト5は鹿児島城西(鹿児島)、履正社、尽誠学園(香川)、仙台育英(宮城)、大阪桐蔭となっている。
防御率1位は21世紀枠・磐城
32校中、チーム防御率1位は1.19の磐城だった。エースの沖政宗は140キロを超えるストレートと豊富な変化球を操る本格派右腕。昨秋東北大会では3試合を投げて防御率0.39をマークし、チームを8強入りに導いた。磐城と言えば、1971年夏に「小さな大投手」と呼ばれた田村隆寿氏を擁して準優勝し、地元を熱狂させただけに、再び旋風を巻き起こすか注目だ。
2位は春夏通じて初の甲子園となる鹿児島城西(鹿児島)の1.20。前野将輝、八方悠介の二枚看板で九州大会4強に躍進した。プロ野球のダイエーなどで活躍した佐々木誠監督が率いるだけに、こちらも目が離せないチームだ。
3位は1.25の花咲徳栄(埼玉)、4位は1.78の平田、5位は1.82の健大高崎となっている。プロ注目右腕の中森俊介を擁する明石商(兵庫)は1.87で7位、明治神宮大会を制し、エース高橋宏斗の評判が高い中京大中京は2.06で11位にランクしている。
最下位は5.57の日本航空石川。石川大会決勝で2-16、北信越大会決勝で1-19と、ともに星稜に大敗したことが響いた形だ。
総合ランキング1位は東海大相模&中京大中京
打率、本塁打、盗塁、防御率の4部門をランキング順に1位32点、2位31点、3位30点…32位1点とつけていき、合計点で総合ランキングを出してみた。結果はやはりと言うべきか、前評判の高い強豪が並ぶ。
1位は95点の東海大相模と中京大中京。中京大中京の盗塁を除けば、ともに抜き出た項目はないものの、全ての面でバランス良く上位につけている。3位は星稜、4位に花咲徳栄と明豊が並び、6位で履正社と県岐阜商が並んだ。以下、智弁学園、広島新庄、天理がベスト10。大阪桐蔭は盗塁と防御率が響いて15位タイ、最下位は平田だった。
当然ながら、地域のレベル差やひと冬越してどれほどレベルアップしたかは換算していないので、あくまで昨秋公式戦の数字から相対的に算出しただけだ。92回目のセンバツを観る際の楽しみ方のひとつとして活用してもらえれば幸いである。
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