埼玉5連覇中の花咲徳栄
埼玉県の高校野球を語る上で外せないのが花咲徳栄だろう。現在夏季大会5連覇中の強豪中の強豪である。過去5年の県大会成績を見てもその強さは明らかだ。
・2019年:7試合・92得点・8失点
・2018年:6試合・50得点・5失点
・2017年:7試合・69得点・9失点
・2016年:7試合・68得点・3失点
・2015年:7試合・58得点・10失点
合計34試合で、337得点、35失点。1試合あたり10得点で1失点。投打ともに抜きん出た力をもっていることがわかる。
2019年の秋季も埼玉県大会で優勝し関東大会に出場。準々決勝では山梨学院に敗れたものの、初戦の拓大紅陵(千葉)戦では11-1(7回コールド)で勝利し、全国区の強さを見せた。
そんな花咲徳栄の強さの秘密は、先進的な選手管理と意識改革にある。
野球部の岩井隆監督は、寮にいる選手の朝起きた時の状態、体重、睡眠時間のデータをアプリで収集。選手のコンディションを把握し、一人一人に合った練習メニューを組んでいる。また、縦社会を重んじる傾向にある野球界において、自律性を求める独特の指導スタンスも特徴だ。
例えば、寮生の生活に目をむけると16時から19時まで全体練習。その後食事をとり、20時から22時が自主練習だ。その自主練習の際には、主に3年生が雑用をやり下級生が優先的に練習を行っているから驚きである。
下級生を優先的に練習させるのには、次の5段階によってチームの強化に結びつける狙いがある。
1.まず野球や部を好きになってもらう
2.部を好きになることで、今度は部のために貢献したいという気持ちが生まれる
3.チームのために考え、練習や試合をする
4.考えて野球に取り組むことで選手のパフォーマンスが上がる
5.チームが強くなる
このように選手が自分から動いて能力を向上させ、チームの勝利に結びつけるシステムが確立されているのだ。
過去10年のうち3回甲子園進出の浦和学院
埼玉の強豪校で忘れてはいけないのが浦和学院である。2019年の夏は4回戦で浦和実業に敗退したものの、南北大会に分かれた2018年は決勝で川口を破り甲子園出場を果たした。甲子園大会ではシード校となり初戦で強豪仙台育英に勝利。その後三回戦(二松学舎大付戦)を突破するなど活躍を見せた。
また、夏の埼玉県大会過去5年のうち決勝、準決勝進出は3回。さらに過去10年では7回の決勝進出、2012年、2013年と連続優勝を果たした実績がある。甲子園でも、2013年の春の選抜大会決勝戦で、強豪済美を17対1で下し優勝。2015年にも準決勝に進出するなどの結果を残している。
激戦区の埼玉を勝ち上がれば、全国でも結果が期待できる強豪校である。
過去5年で3回ベスト4入りの春日部共栄
上記2校に次ぐ実績を持つのが、過去5年間で3回のベスト4入りを果たしている春日部共栄だ。埼玉県の中では強豪校として知られ、多くのプロ野球選手を輩出する名門である。花咲徳栄と浦和学院がそれぞれ1、2回戦で敗退となった、大波乱の2014年の夏に優勝を果たすなどまさに2強に次ぐ実力である。
また、ベスト4に入った3回の内、2017年は3-2で浦和学院に敗れ、2019年は7-4で花咲徳栄に敗れるなど強豪校相手に惜しいところまで追い込むものの、あと一歩及ばない状態が続く。
今年こそ、強豪ひしめく埼玉から全国出場を果たしたいところである。
秋季大会で勢いに乗る西武台
2019年、秋季県大会で準優勝に輝いたのが西武台である。決勝で花咲徳栄に敗れたものの、関東大会では1回戦で栃木の青藍泰斗を下すなど力を見せた。続く2回戦では、優勝した健大高崎に惜しくも敗れた(3-2)が、強豪校相手に手応えを感じられる秋大会だっただろう。
ちなみに、夏季大会をみると2019年まで5年連続で4回戦敗退しており、今ひとつ結果を残せずにいるが、勢いを維持しレベルアップすれば、大番狂わせを起こすこともできるだろう。
花咲徳栄が一歩リード。それに続く浦和学院、春日部共栄
埼玉県の高校野球を見ていくと、現段階では花咲徳栄が一歩リードしている状態だ。次いで浦和学院、春日部共栄が続く格好になっている。
ダークホースとしては、秋の大会で結果を出した西武台の大番狂わせに注目だ。他にも、4大会連続ベスト8入り(2015~2018)の聖望学園や、創部11年で決勝進出の山村学園、公立ながら2019年夏季ベスト4に食い込んだ上尾なども虎視眈々と埼玉の頂点を狙っている。