明治神宮大会枠は東海地区へ
11月20日、明治神宮野球大会(高校の部)は中京大中京高校(東海・愛知)が健大高崎高校(関東・群馬)を4-3で下し優勝を決めた。中京大中京高校は春夏の甲子園において11回(春4回、夏7回)の優勝を誇る強豪校だが、意外にも明治神宮大会は初優勝となる。これで来春の甲子園に出場することは確実。同校は5度目の春制覇そして、史上初の秋・春連覇を目指すこととなる。
さて、この明治神宮大会は優勝校の所属地区に翌春の甲子園における出場枠が1つ加算される(一部例外もあり)。いわゆる「明治神宮大会枠」と呼ばれるものだ。今年(来年春の甲子園)の場合であれば、中京大中京高校の所属する東海地区に1枠が与えられ、従来の2枠から3枠となるわけだ。
2003年春の甲子園から設けられた明治神宮大会枠だが、その恩恵に与って優勝を勝ち取った地区はこれまでにどれだけあるのだろうか。2003年から2019年までの18回分の優勝校を振り返ってみたい。
増枠地区からの優勝は過去18大会で1例のみ
2003年春の甲子園から設けられた明治神宮大会枠。記念すべき最初の1枠は、2002年の明治神宮大会優勝校である中京高校(東海・岐阜)の所属する東海地区に与えられた。
それにより東海地区から4校の出場となったものの、いずれも3回戦までに敗退。ベスト8以上に駒を進めることはできなかった。決勝は広陵高校(中国・広島)と横浜高校(関東・神奈川)で争われ、広陵高校が15−3で大勝し優勝を果たしている。
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翌2004年は前年の明治神宮大会覇者である愛工大名電高校(東海・愛知)が、決勝まで進んだものの済美高校(四国・愛媛)に敗れ秋春連覇とはならなかった。2005年も明治神宮大会枠を勝ち取った九州地区の神村学園高校(九州・鹿児島)が決勝で愛工大名電高校(東海・愛知)に敗れ、増枠地区からの優勝は生まれなかった。
2年連続で増枠地区から決勝進出校が生まれたこともあり、早い段階で優勝校が誕生すると思われたが、意外にも実現は遅かった。
初めて増枠地区が優勝を飾ったのは2017年のこと。前年の明治神宮大会で履正社高校(近畿・大阪)が近畿地区にもたらし、春の甲子園では同じ近畿地区の大阪桐蔭高校(近畿・大阪)が優勝を果たしたのである。
秋春連覇は報徳学園高校など過去3校
高校野球の歴史において、秋の明治神宮大会と春の甲子園の連覇を達成したのは、岩倉高校(東京/1983年・1984年)、横浜高校(関東・神奈川/1997年・1998年)、報徳学園高校(近畿・兵庫/2001年・2002年)の3例しかない。ちなみに横浜高校は松坂大輔らを擁し、夏の甲子園も制している史上唯一の秋春夏連覇を達成した高校となっている。
過去の歴史を見ても明治神宮大会枠ができてから、秋春連覇は生まれていないのである。また、先に取り上げたように、明治神宮大会枠を勝ち取った地区からの優勝校も過去18大会で1校のみと、苦しい戦いが続いている。もちろん、そこに因果関係はなく偶然ではある。
来春の甲子園において、中京大中京高校、さらには東海地区からの出場校から優勝校は生まれるのだろうか。秋王者を輩出した地区は翌春の選抜で優勝できない、というジンクスを覆す戦いぶりに期待したい。