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遅刻してもMVPをかっさらった松井秀喜【思い出のオールスター③巨人編】

2020 5/17 10:30楊枝秀基
練習に遅刻しても平然とプレーした松井秀喜ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

「ヒデキくん騒動」で記者にとばっちり

2020年のプロ野球オールスターの中止が決まった。文字通りスター選手が一堂に会する機会がなくなるのは寂しい限りだ。そこで過去のオールスターを振り返ってみたい。

羽田空港が騒然としていた。そこにいるべき人がいないのだ。2002年7月13日。前日の東京ドームでの球宴第1戦から一夜明け、第2戦の行われる松山へ移動する便に巨人・松井秀喜が搭乗していなかった。関係者と共にギリギリまで待ったものの本人は現れず。次便で移動することとなった。

筆者を含めた当時の担当記者陣は、便を変更するわけにもいかず予定していた便で移動。松山では「ヒデキくんがやらかしたらしい」という情報が広まっていた。そのおかげで同じ名前の「ヒデキ」である筆者まで遅刻したと勘違いされたことが、非常に印象に残っている。

だが、こんなことで大物は動じない。何食わぬ顔で練習中に球場に姿を現すと「ん?みんなどうしたの。何かあった?」と平然とプレー。試合でもしっかりと打点を記録。前年の2001年から続く球宴での連続試合打点を5試合とし、これは当時の新記録だった。全セは敗戦したものの、松井は優秀選手賞を受賞。トラブルを力に変える巨人の四番の存在感に仰天したものだ。

遅刻すると活躍する伝説

実は松井は遅刻すると活躍するという伝説がある。同じ球宴での前科でいうと、1995年7月26日の第2戦(広島)だ。この日も飛行機に乗り遅れ練習終了後に球場に到着。しかし、試合では3安打猛打賞、1打点の活躍でMVPを獲得してしまった。

球宴だけには止まらず、公式戦でも1997年の8月20日の阪神戦(東京ドーム)の当日に愛車が故障し遅刻。何とか通行人の協力などを得て球場に到着したが、グラウンドに現れたのは練習終了10分前だった。それでも試合本番では両リーグ最速となる30号逆転アーチを放つなど勝利に貢献した。

さらには2009年のワールドシリーズ第2戦でも、午後4時からの練習開始に30分以上の遅刻。だが、1−1の同点で迎えた六回にフィリーズのペドロ・マルティネスから決勝本塁打を放ち“ミス”を帳消しに。松井が遅刻すると活躍するという伝説を、日本の記者から聞かされたヤンキースのデレク・ジーターは「毎日遅刻してきてもいいよ」と周囲の笑いを誘った。

遅刻はしても休むことはない理由

遅刻伝説ばかりを強調してしまったが、松井秀喜は試合を休むことはなかった。NPB時代に連続試合フルイニング出場を574試合続けた。フルイニングは途切れても連続試合出場はメジャーでも継続。結局、左手首を骨折するまで日米通算1768試合まで記録を伸ばした。

休まないというポリシーの基になるものは何なのか。巨人時代に松井から直接、聞いた答えには感動すら覚えた。

「東京ドームに来られる子供は今回が一生で一度かもしれない。4番・松井を見るのが楽しみで来たのに、スタメンに僕の名前がなかったらすごくがっかりすると思うんだ。だから僕は出られる状態なんだったら休まない。僕だって子供の時、甲子園に行って4番・掛布さんがいなかったら悲しかったと思うもん(笑)。東京ドームだけじゃなくて、ビジターでも地方球場でも僕を待っている子供たちをがっかりさせたくない」

取材当時の2002年ごろ、松井はすでに膝に故障を抱えていたが、定期的に治療を行いながら試合に出続けた。その状態でメジャーにも挑戦した。球宴といえばお祭りのイメージが強い。だが、松井にとっては自分の登場を待ち望むちびっこファンへ向けての真剣な舞台だったに違いない。

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