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期待した山本由伸がまさかの痛打【思い出のオールスター②オリックス編】

2018年のオールスターに初出場した山本由伸ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

阪神とオリックスの格差

2020年のプロ野球オールスターの中止が決まった。文字通りスター選手が一堂に会する機会がなくなるのは寂しい限りだ。そこで過去のオールスターを振り返ってみたい。

オリックスファンとしては出場選手が少なくて寂しい思いをすることの多いオールスターだが、2019年はファン投票で吉田正尚が選ばれた。1人でも選ばれることは誠に喜ばしいことだ。

大阪に本拠地を置くオリックス・バファローズ。同じ関西に本拠地を置く阪神タイガースとは人気に雲泥の差がある。現にここ5年のオールスターのファン投票の成績を見ると、阪神は9人選ばれているのに対して、オリックスは5人。

関西2球団ファン投票選出人数ⒸSPAIA

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過去5年の平均観客動員数を見ると、阪神タイガースの平均40,261人に対して、オリックスは23,742人と倍近く違う。

関西2球団の入場者数ⒸSPAIA

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企業向けにタダ券を配ったり、ファンクラブ会員を無料で招待したりと、手を替え、品を替え、いろいろな方法でファンを増やそうと努力をしているが、結果に結びついていない。

すごい選手がいても伝わらないもどかしさ

人気のないオリックスの一ファンからすると、12球団のファンが注目するオールスターはまさに選手の品評会だ。

普段は注目度が低いため、すごい選手がいても周りに伝わらないことが多々ある。最近でいえば、山本由伸がその例である。

2017年、高卒1年目の初登板を観たのだが、正直、何とかロッテ打線を抑えているなという印象だった。もともと球は速かったものの、得意とされたスライダーもそこまですごいとは思えず、他の変化球もどこか中途半端。活躍するにはもう少し時間がかかるだろうという印象を受けた。

当時オリックスに在籍していた金子千尋(現・弌大)が山本を絶賛していたが、自分的には半信半疑だった。

2年目、山本がカットボールを覚えたと報道された。それでも、あまり期待していなかったが、4月に1軍に合流するとセットアッパーを任され、テレビで観た時は衝撃が走った。ストレートは150km/hを超え、カットボールも140km/h台後半と速い。相手バッターが全くタイミングが合っていなかった。

5月1日の西武戦では、この年ここまで11本塁打の山川がカットボールを空振りし、どうすればこれを打てるのか?といった表情で首をかしげるほどだった。これは本物だと確信したのを今でも覚えている。

私が京セラドームで観戦する定位置は内野自由席の上段。あの位置からでは、ソフトバンクの千賀滉大くらいストレートが走り、フォークが落ちるピッチャーでないと、すごさが伝ってこないのだが、山本のストレートの威力や、強打者が全くカットボールにタイミングが合っていないのを見ると、これは19歳にして12球団トップクラスの投手が出てきたと思った。

ただ、注目度の低いオリックスだけに、周りにすごさを力説しても伝わらない。山本の名前は聞いたことがあるくらいの反応しか返って来ず、やきもきする日々を送っていた。

山本のすごさを見せる時が来たが…

その山本が2018年のオールスターに監督推薦で選ばれた。私的には、ファン投票で選ばれた宮西尚生(日本ハム)より山本だろ!という気持ちが強かったが、オールスターに選ばれたからには、その実力が世間に知れ渡る絶好のチャンスだと思った。

ただ、人気のないオリックスの選手のさがなのか、山田哲人(ヤクルト)にヒットを打たれ、その後は2アウトまでこぎつけたが、筒香嘉智(横浜DeNA)に一発を喫した。結果が全てのプロ野球。山本のすごさが伝わらなかったかな?と唇をかんだ2018年のオールスターだった。

山本はシーズン後半戦も活躍を見せ、54試合に登板して、リーグ2位の32ホールドを挙げる活躍を見せた。新人王も狙える数字であったが、これまたオリックスのさがなのか、楽天の田中和基に記者投票で及ばず、ノンタイトルに終わった。


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