阪神とオリックスの格差
2020年のプロ野球オールスターの中止が決まった。文字通りスター選手が一堂に会する機会がなくなるのは寂しい限りだ。そこで過去のオールスターを振り返ってみたい。
オリックスファンとしては出場選手が少なくて寂しい思いをすることの多いオールスターだが、2019年はファン投票で吉田正尚が選ばれた。1人でも選ばれることは誠に喜ばしいことだ。
大阪に本拠地を置くオリックス・バファローズ。同じ関西に本拠地を置く阪神タイガースとは人気に雲泥の差がある。現にここ5年のオールスターのファン投票の成績を見ると、阪神は9人選ばれているのに対して、オリックスは5人。
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過去5年の平均観客動員数を見ると、阪神タイガースの平均40,261人に対して、オリックスは23,742人と倍近く違う。
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企業向けにタダ券を配ったり、ファンクラブ会員を無料で招待したりと、手を替え、品を替え、いろいろな方法でファンを増やそうと努力をしているが、結果に結びついていない。
すごい選手がいても伝わらないもどかしさ
人気のないオリックスの一ファンからすると、12球団のファンが注目するオールスターはまさに選手の品評会だ。
普段は注目度が低いため、すごい選手がいても周りに伝わらないことが多々ある。最近でいえば、山本由伸がその例である。
2017年、高卒1年目の初登板を観たのだが、正直、何とかロッテ打線を抑えているなという印象だった。もともと球は速かったものの、得意とされたスライダーもそこまですごいとは思えず、他の変化球もどこか中途半端。活躍するにはもう少し時間がかかるだろうという印象を受けた。
当時オリックスに在籍していた金子千尋(現・弌大)が山本を絶賛していたが、自分的には半信半疑だった。
2年目、山本がカットボールを覚えたと報道された。それでも、あまり期待していなかったが、4月に1軍に合流するとセットアッパーを任され、テレビで観た時は衝撃が走った。ストレートは150km/hを超え、カットボールも140km/h台後半と速い。相手バッターが全くタイミングが合っていなかった。
5月1日の西武戦では、この年ここまで11本塁打の山川がカットボールを空振りし、どうすればこれを打てるのか?といった表情で首をかしげるほどだった。これは本物だと確信したのを今でも覚えている。
私が京セラドームで観戦する定位置は内野自由席の上段。あの位置からでは、ソフトバンクの千賀滉大くらいストレートが走り、フォークが落ちるピッチャーでないと、すごさが伝ってこないのだが、山本のストレートの威力や、強打者が全くカットボールにタイミングが合っていないのを見ると、これは19歳にして12球団トップクラスの投手が出てきたと思った。
ただ、注目度の低いオリックスだけに、周りにすごさを力説しても伝わらない。山本の名前は聞いたことがあるくらいの反応しか返って来ず、やきもきする日々を送っていた。