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実は江夏豊は9連続ではなく15連続奪三振【思い出のオールスター⑩阪神編】

2020 5/24 12:23本松俊之
オールスターで15連続奪三振を記録した江夏豊氏ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

自ら本塁打も放ちMVPになった江夏

2020年のプロ野球オールスターの中止が決まった。文字通りスター選手が一堂に会する機会がなくなるのは寂しい限りだ。そこで過去のオールスターを振り返ってみたい。

長いオールスターゲームの歴史上で、多くのファンに記憶され、ひときわ輝く記録。それは、江夏豊(阪神)が達成した9連続奪三振だ。

オールスターゲームは1951年のスタート以来、投手は3イニングを超えて登板することができないことになっている(延長は例外)。つまり、1試合に9を超える三振は奪えないし、連続した奪三振も9が限度ということになる。これまで、その記録を達成した投手は江夏以外いない。

そんな大記録の舞台は71年の第1戦、28,160人の観客が詰めかけた西宮球場だった。69年に新人王を獲得し、後にミスター・ロッテと呼ばれることになる有藤通世(ロッテ)を三振に仕留めた江夏は、続く強打者たちも次々と三振に斬ってとった。

9人目の打者だった加藤秀司(阪急)がバックネット方向にフライを打ち上げた時、それに反応した捕手の田淵幸一(阪神)に向かって「追うな!」と叫んだエピソードは今も語り草になっている。結果、加藤も三振に倒れ、江夏は記録を達成。更に阪急のエース・米田哲也からはホームランを打ち、文句なしのMVPとなった。そして、実はこの時すでにすごい記録を積み重ねていた。

前年の70年、第2戦に先発した江夏は、2回裏の一死から代打で登場した有藤を三振に打ち取ると、3回の野村克也(南海)まで5連続三振を奪っている。つまり、71年の9連続奪三振を達成した時には既に、オールスター戦での連続記録は14となっていた。さらに、この年の第3戦も6回から登板し、代打で打席に立った江藤慎一(ロッテ)からも三振を奪った。次打者・野村克也にセカンドゴロを“打たれて”ストップしたが、都合15連続奪三振という驚異的な記録を残していたのだ。

江夏のオールスターゲーム15連続奪三振ⒸSPAIA

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40年破られていない掛布の3打席連続本塁打

阪神ファンにとって、78年オールスターゲーム第3戦(後楽園)で掛布雅之がマークした3打席連続本塁打は、忘れることができない。40年経った今も、この記録に並ぶ選手はいない。また、これがきっかけで掛布は「ミスター・タイガース」と呼ばれるようになる。

掛布のオールスターゲーム初出場はプロ3年目、76年の第1戦。チームの大先輩である藤田平の代打で出場し、結果は遊撃への併殺打だった。そして初ヒットは翌77年の第1戦、3番三塁手として初めてスタメン出場した時だった。1回に太田幸司(近鉄)から左前打を打ち、出塁した。

そして、78年第3戦。3番三塁手として先発出場した掛布は第1打席、パ・リーグ先発の村田兆治(ロッテ)から四球を選ぶと、4回の第2打席は一死走者なしで佐伯和司(日本ハム)からオールスター初本塁打を打つ。続く5回二死三塁の第3打席では、佐藤義則(阪急)から2ランを放ち、さらに先頭打者として打席に入った8回の第4打席でも山口高志(阪急)からソロ本塁打を放った。

1973年、習志野高校からドラフト6位で阪神に入団した掛布。1年目から1軍に定着、2年目で三塁手のレギュラーを掴んだ。そして、オールスターゲームで大記録を打ち立てた78年(5年目)には32本塁打、102打点をあげ、球界を代表する選手へと成長を遂げた。

その後、79年に48本塁打で初タイトルを獲得。82年には35本塁打、95打点で2冠王、84年は37本塁打で3度目の本塁打王に輝いた。

掛布雅之の年度別成績						
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近本が47年ぶり甲子園でMVP

過去、オールスターゲームは175戦行われ、述べ173人がMVPに選出されている(該当者なしが2回)。

これまで、阪神の選手がMVPに選出されたのは18回。そのうち掛布が3回、江夏、岡田彰布がそれぞれ2回受賞しており、2019年の第2戦では近本光司が2015年の藤浪晋太郎以来のMVPに輝いた。

近本は古田敦也(ヤクルト)以来27年ぶり2人目となるサイクル安打を達成し、甲子園で開催されたゲームとしては、1972年の池田祥浩以来、実に47年ぶりの快挙となった。

阪神選手のオールスターゲームMVP一覧

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※所属球団はいずれも当時


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