村上宗隆が39本塁打でキングに
ヤクルトの若き主砲・村上宗隆が巨人・岡本和真と39本塁打で並んでタイトルを獲得した。村上の出身地・熊本県は数は多くないものの、球史に残るスラッガーを輩出している。
1950年の2リーグ分立後、本塁打王、打点王、首位打者、最多勝、最優秀防御率の5部門でタイトルを獲得した選手を出身地別に分類(外国出身選手を除く)すると、熊本出身は6人。「打撃の神様」川上哲治や「平成唯一の三冠王」松中信彦ら歴史的な強打者が名を連ねている。
村上宗隆は九州学院高1年夏の甲子園に出場したが、初戦で遊学館に敗退。2年、3年時は出場できなかったものの通算52本塁打を放って早稲田実・清宮幸太郎、履正社・安田尚憲とともに「高校BIG3」と呼ばれた。
ドラフト1位でヤクルトに入団し、2年目の2019年に36本塁打でブレイク。2020年は.427で最高出塁率に輝き、2021年には史上最年少で通算100本塁打をマークするなど活躍した。39本塁打は二冠王の岡本とタイ、112打点は岡本と1差で打点王には届かなかった。
「平成唯一の三冠王」松中信彦、野田浩司は最多勝
松中信彦は八代第一高から新日鉄君津を経て逆指名でダイエーに入団。2003年に123打点で初タイトルを獲得すると、2004年には44本塁打、120打点、打率.358で三冠王に輝いた。さらに2005年にも46本塁打、121打点で二冠。2006年は打率.324で首位打者に輝いた。
主要3部門以外でも2004年から3年連続最高出塁率、2004年に最多安打など多くのタイトルを獲得。通算352本塁打、1168打点、打率.296の輝かしい成績を残した。
熊本出身で唯一の投手が野田浩司。多良木高から九州産交を経てドラフト1位で阪神に入団し、1992年オフに松永浩美との交換トレードオリックスに移籍した。移籍1年目に17勝を挙げて最多勝。1995年には1試合19奪三振の新記録を樹立するなどフォークを武器に活躍した。
トリプルスリーの秋山幸二、首位打者3度の江藤慎一
秋山幸二は八代高からドラフト外で西武入り。1985年から3年連続40発をマークし、1987年は43本塁打でタイトルを獲得した。高い身体能力で走攻守に活躍し、1989年にはトリプルスリーを達成。1990年には51盗塁で盗塁王にも輝いている。引退後は2009年から6シーズン、ソフトバンクの監督を務めた。
江藤慎一は熊本商から日鉄二瀬を経て中日に入団。1964年に打率.323、翌1965年に.336で2年連続首位打者に輝き、ロッテ移籍後の1971年に.337で3度目の首位打者を獲得した。通算2057安打、367本塁打をマークした。
川上哲治は熊本工から巨人入りし、戦前から戦後にかけて本塁打王2回、打点王3回、首位打者5回獲得。「ボールが止まって見えた」という名言を残すなど高い打撃技術で通算2351安打、181本塁打、1319打点、打率.313の成績を残した。引退後は巨人の監督として9連覇を達成するなど、11度の日本シリーズ優勝を果たした。
また、主要3部門のタイトルは獲得していないものの、熊本工出身の前田智徳や荒木雅博ら2000安打を記録した強打者も輩出している熊本県。「火の国スラッガー」の系譜に名を連ねる村上は、今後いくつのタイトルを獲得するだろうか。
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