未完の長距離砲・廣岡大志は覚醒なるか
2021年の干支は丑。プロ野球界では1985年生まれと1997年生まれになる選手が年男だ。2年連続最下位となったヤクルトの年男を探ってみたい。
野手では廣岡大志に注目。2015年ドラフト2位で指名、智弁学園高からヤクルトへ入団。ルーキーイヤーに初打席初本塁打を放ちセンセーショナルなデビューを飾ったものの、ここまでレギュラー定着に至っていない。
しかし、徐々にではあるが成績は上昇している。2019年には自身初となる2桁本塁打(243打席/10本塁打)を放ち、OPS.710を記録。2020年は142打席と出番は減りながらも、8本塁打でOPS.748。長打率.446は打席数が大きく違うという前提条件があるものの、山田哲人(384打席)の.419より高かった。
本職は遊撃だが、昨年は一塁、二塁、三塁、遊撃、左翼、右翼と6つの守備位置についた。また、開幕からシーズン終了まで、1度も登録抹消されることなく一軍で戦い抜いている。「なんとか長打の期待ができる打撃を生かそう」とする首脳陣の思いが見て取れる。
現時点で廣岡に関する2021シーズンの構想は伝わってきていない。エスコバーが退団したことで西浦直亨や奥村展征、ルーキーの元山飛優と遊撃を争うのか、もしくは内野のバックアップなのか、それとも外野を含めたユーティリティー的な起用なのか。廣岡には「年男」の年に飛躍し長距離砲”候補”から”候補”の文字を取り、レギュラー奪取して欲しい。
また、他の野手では早生まれ(1月)の太田賢吾と渡邉大樹が年男だ。
投手では吉田大喜ら大卒2年目の投手が3人
投手では、2019年ドラフトで指名された吉田大喜、杉山晃基、大西広樹の大卒3人が年男だ。
吉田は14試合の先発で67.1回と平均投球回数は5回に満たず苦しみ、2勝7敗、防御率5.21と成績面で奮わなかった。だが投手陣が苦しい状況のなか、開幕から1ヶ月ほど経過した7月17日に初登板を果たすと10月まで先発ローテーションを守りきった。高津臣吾監督も試合後のコメントで多くの苦言を呈してきたが、それは2021シーズン以降に期待しているからだろう。
同期の杉山と大西は一軍で未勝利に終わっている。杉山に至っては登板することもできなかった。現時点で吉田が一歩も二歩も先に進んでいるのは間違いない。しかし、まだ1年目が終わったばかり。2年目以降に飛躍する投手も数多くいる。それぞれの役割で一軍定着から戦力になることが、今年の目標となる。
このようにヤクルトには1997年生まれが野手に3人、投手に3人いる。1985年生まれは投手の中澤雅人と山中浩史が退団したことでひとりもいなくなった。24歳といえば、高卒6年目、もしくは大卒2年目だ。2021年のヤクルトを盛りたてることでチームを最下位から脱出させることに期待がかかる。
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