期待のセットアッパー候補・津留崎大成
新型コロナウイルスの影響で世界中が大混乱に陥った2020年を終え、迎えた2021年。丑(うし)年となる今年の年男にあたるのは、1985年生まれと1997年生まれの選手たちだ。
楽天には85年生まれの選手は在籍しておらず、97年生まれのこれからチームを背負っていく選手たちが溢れている。ここでは、対照的な立ち位置にいる注目の2選手を取り上げたい。
まずは、大卒二年目となる津留崎大成だ。2019年ドラフト3位で入団すると、昨春のキャンプや練習試合でアピールに成功し、リリーフ陣の一角として開幕一軍入りを果たした。
開幕後も6月、7月は計9試合に登板し、10イニングを無失点。7月30日にはプロ初ホールドをあげる活躍を見せ、チームの好発進を支えた。ただ、シーズンが進むにつれ、打ち込まれるシーンも目立つように。最終的には33試合に登板し、24奪三振、防御率4.19という成績で1年目を終えた。
課題は1年間投げ切るスタミナと奪三振能力だ。好調時は150キロ超の直球で打者を力でねじ伏せるが、登板がかさんだシーズン終盤は容易く打ち返されてしまっていた。また、奪三振力の指標となるK%(奪三振/対戦打者)は16.3%とリリーバーとしては物足りない。今年シーズン通して一軍で活躍するためにも、このあたりの改善は必須と言えるだろう。
昨年の楽天は投手陣が苦戦を強いられた。防御率は先発(4.26)、救援(4.06)ともにリーグ5位。特に救援陣はリーグワーストのオリックス(4.07)と僅差の数字で、2019年はリーグトップ(3.07)だっただけに、思わぬ誤算となってしまった。
今年、2013年以来の優勝を果たすためには、リリーフ陣の強化が急務だ。チームは昨年先発に転向した松井裕樹を再び抑えに復帰させる予定で、新外国人のアダム・コンリーも獲得するなど、既に対策を講じている。
ただ、既存戦力の底上げも重要だ。特に大卒2年目と若く伸びしろの大きい津留崎にかかる期待は大きいだろう。ブセニッツやコンリーら助っ人を押しのけ、8回津留崎、9回松井裕樹の「新・勝利の方程式」確立なるか、注目だ。
崖っぷちに立たされているオコエ瑠偉
一方、正念場を迎えているのが関東一高から15年ドラフト1位で入団したオコエ瑠偉だ。高校野球ファンを熱狂させた甲子園のスターが、早くも6年目のシーズンを迎えようとしている。
プロ入り1年目にいきなり開幕一軍を勝ち取るという上々のスタートを切ったものの、その後はなかなか殻を破れない日々が続いている。2年目に残した.300/.500/.331(打率/出塁率/長打率)、3本塁打がキャリアハイで、昨年は初めて一軍出場なしに終わってしまった。
二軍の成績も昨年は芳しくない。打率/出塁率/長打率が.269/.284/.329で、OPS.612はプロ入り後最低。本塁打も初めて0本に終わるなど、寂しい数字が並ぶ。春先に故障していたとはいえ、わずか27試合、73打席しか立てておらず、チーム内の序列としてもかなり下がってしまった感がある。
年末の契約更改後には、石井一久GM兼監督から「そろそろ出てこないと彼自身の野球人生が苦しくなってくる。本当にここが正念場」と奮起を促されている。楽天はこのオフに17年のドラフト1位で入団した近藤弘樹をわずか3年で戦力外とした。オコエに残された猶予もあまり長くはないだろう。プロ野球人生の崖っぷちに立たされていると言ってもいい状況だ。
その一方で、「誰でもは持っていないスピード、守備、時折見せるバットを強く振る能力には長けている」とその潜在能力に対する指揮官の評価は高い。誰もが認める身体能力の高さを生かして、代走や守備固めからでもいい。なりふり構わず、まずは一軍での居場所を見つけたい。
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