登板数やQSはほぼ同等の3人
2020年のプロ野球もシーズン終了が近付いてきた。今年ほど各球団のエースや4番の活躍が目立った年は珍しいかも知れない。では、その中でもパ・リーグNo.1投手は誰だろうか。
リーグを代表するオリックス・山本由伸、楽天・涌井秀章、ソフトバンク・千賀滉大の3人をデータで比較してみたい。他にもソフトバンク・東浜巨や日本ハム・有原航平、楽天・則本昂大らもNo.1候補に挙がる投手だが、今季の成績だけでなく長年の継続的な活躍も加味した上で上記3投手にした。
ケガによる出遅れで千賀はシーズンの規定投球回に達していないが、7月7日の今季初登板からローテーションを守っており、登板数はほとんど変わらない。
完投数は3人とも1回で、6回を自責点3以内に抑えるQS(クオリティスタート)も山本と涌井が14回、登板の少ない千賀が13回なので同等と見ていい。
勝利数では涌井、防御率と被打率では山本
差が詰まってきたのが勝ち星だ。開幕8連勝をマークした涌井はリーグトップの11勝を挙げており、ともに開幕連勝記録を伸ばした巨人・菅野智之とシーズン前半を盛り上げたが、千賀も5年連続2桁勝利となる10勝に到達。最多勝争いも分からなくなってきた。
逆に防御率では、126.2回を投げて自責点31の山本が2.20でリーグトップ。113回を投げて自責点29、防御率2.31の千賀が迫っているが、涌井には1点以上の差をつけている。
被打率も山本が.185でリーグトップ。千賀の.215、涌井の.222も決して悪い数字ではないが、山本の「打たれなさ」は頭抜けている。
被本塁打多い涌井、奪三振率では千賀
被本塁打数は千賀がわずか4本しか打たれていないのに対し、涌井は17発も被弾。1試合に打たれる本塁打数を示すHR/9は千賀の0.32、山本の0.43に対し、涌井は1.22と高くなっている。
逆に与四球数は涌井が37で山本と並ぶ。ただ、与四球率を示すBB/9は山本の方が2.63で涌井をわずかに上回っている。千賀は56四球、BB/9も4.46と制球の課題を露呈している。
正規のタイトルでもある奪三振数は、山本が149個でリーグトップ。ただ、1試合あたりの奪三振率を示すK/9では、千賀が11.15で山本を上回る。2019年に227三振で最多奪三振のタイトルを獲得した千賀の「お化けフォーク」は健在だ。
山本は1イニングに何人の出塁を許したかを示すWHIPが0.94、平均的な投手に比べて同じイニング数でどれだけ失点を防いだかを示すRSAAは25.7で、いずれもリーグトップだ。
3人の中でトップの項目が最も多いのは山本だった。千賀の豪快さと涌井の繊細さを併せ持つのが山本と言えるだろう。
現在は疲労と上半身のコンディション不良のため登録抹消されており、残り試合で千賀と涌井がどこまで数字を上積みできるか。「パ・リーグのエース」を巡る争いに最後まで注目したい。
【関連記事】
・阪神・大山悠輔と巨人・岡本和真はどちらが優れた打者なのかデータで比較
・ともに31発!楽天・浅村栄斗と日本ハム・中田翔の優劣をデータで比較
・首位打者争う吉田正尚と柳田悠岐で大きく異なるデータとは?
・菅野智之と大野雄大はどちらが沢村賞にふさわしいのかデータで比較
・パ・リーグ新人王は誰だ?平良海馬、小深田大翔、安田尚憲をデータで比較
・ソフトバンク周東佑京はどれくらい凄いのか?歴代の韋駄天と比較
・山川穂高と井上晴哉「二大ぽっちゃり砲」をデータで比較
・村上宗隆と安田尚憲、清宮幸太郎の同期3人をデータで比較