平良海馬は160キロ剛球で驚異の被打率
パ・リーグの新人王争いが混沌としている。西武・平良海馬と楽天・小深田大翔、ロッテ・安田尚憲らが争っているが、抜けた選手がいない状況。ここまでの成績を比較してみよう(10月28日現在)。
平良海馬は八重山商工から2017年ドラフト4位で入団した3年目の20歳。2019年も26試合に登板したが、1軍登板30イニング以内という新人王資格を有しており、今季は有力候補の一人に挙がっている。
身長173センチ、体重100キロの巨体から投げ込むストレートは最速160キロを誇り、球威も満点。今季は開幕から一軍を守り、49試合の登板で1勝1セーブ29ホールドをマークしている。
47.1イニングを投げて被安打わずか18で、被打率.121。規定投球回には達していないが、今季20イニング以上を投げているパ・リーグ投手で1位となっている。防御率トップのオリックス・山本由伸でも被打率.185だから、いかに打たれていないか分かるだろう。
さらにK/9(奪三振率)は10.27と高く、山本由伸(10.59)と比べても遜色ない。ピンチで三振を取れるのは中継ぎとして重要な資質だけに、平良の好成績もうなずけるというものだ。
同様に被本塁打もわずかに2本で、1試合で打たれる本塁打数を示すHR/9は0.38。さらに平均的な投手に比べて同じイニングを投げてどれだけ失点を防いだかを示すRSAAは13.2をマークしている。
与四球率が5.32と高いことからも分かる通り課題はコントロールだが、新人王を争う高卒3年目投手としては十分な好成績と言えるだろう。
俊足巧打の小深田大翔は三塁打5本
楽天・小深田大翔は大阪ガスから2019年ドラフト1位で入団した25歳のルーキー。開幕一軍入りし、一度も二軍落ちすることなく、主に1番打者として103試合に出場している。
打率.292はリーグ6位。三塁打5本はリーグ3位タイ、16盗塁はリーグ7位につけており、足の速さを示すSpdは6.67で規定打席到達選手ではリーグ1位となっている。スピードはすでにトップクラスに位置していると見ていいだろう。10月25日の日本ハム戦まで15試合連続安打をマークするなど、俊足巧打という表現がピッタリだ。
また、三振を1つ取られるまでにかかる打席数を示すPA/Kはリーグ4位の7.31と、三振が少ないことも強調材料。出塁率.364はリーグ10位、OPS.743はリーグ15位と悪くない数字を残している。
ただ、長距離砲ではないため仕方ないが、非力であることは否めない。本塁打はわずか2本、本塁打を打つまでにかかる打席数を示すAB/HRは、リーグワースト2位の171.5だ。長打力を示すIsoPも.087でリーグワースト2位となっている。
選球眼もいい若き4番・安田尚憲
小深田と真逆のタイプで、足はないが一発長打の魅力は底知れないのがロッテ・安田尚憲だ。
履正社高から2017年ドラフト1位で入団した3年目の21歳。昨季まで1軍で60打席以内だったため新人王資格を有している。今季は7月から4番に固定され、打率.222、6本塁打、48打点の成績だ。
パワーばかりが注目されるが、実は選球眼もいい。59四球はリーグ8位、選球眼を示すIsoDは.109でリーグ6位だ。
課題はやはり確実性だろう。本塁打数も多くない割に、リーグ9位の95三振はいただけない。OPS.657、IsoP.105も4番としては物足りない数字だ。
将来を見据えての4番起用という側面もあるだろうが、今季の新人王争いでは先述の2人にやや見劣りすることは否めない。
同じロッテで21盗塁をマークしている快足の和田康士朗や、先発で2勝している左腕の中村稔弥、9月から先発ローテーションに加わった楽天の瀧中瞭太らも候補ではある。いずれにせよ、残り試合で強いインパクトを残すことが重要になりそうだ。
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