まさかの超ハイペース
息長く活躍できるダート馬は層が厚い。若い馬は出走枠に限りがある地方交流重賞に出走しにくい。出走決定順のルールは見直され、かつてのように昔賞金を稼いだ馬たちに独占されることはなくなったが、それでも選択肢を広げるためには芝以上に賞金加算が必要になる。
貴重なJRAダート重賞のひとつ、アンタレスSを勝ったのは4歳テーオーケインズ。昨秋にオープン入り、暮れにベテルギウスS2着から連闘で挑んだ東京大賞典では、オメガパフュームの0.2差6着と力をつけた。年明け初戦の名古屋城Sは不良馬場で勝利。重馬場のアンタレスSと道悪で連勝を飾った。これでダートの重・不良馬場で通算【2-0-1-0】。まずはこの適性を覚えておこう。
レースは大外枠のナムラカメタローが先行態勢に入ったことで、内にいたメイショウカズサが先手を主張。ハナに立ちかけたところに、一周目のゴール板すぎから最内のケイアイパープルが激しく抵抗、2頭がもつれるように1コーナーに入った。こうした雁行状態が続き、1000m通過は59.2。やや重だった昨年が1分1秒1なので、馬場を考えても早かった。
後半800mは12.5-12.8-12.1-12.4。ハナ争いを演じた2頭はさすがに加速できず、失速ラップ。残り400mで加速ラップに転じさせた8着レピアーウィットはマーチSの再現を狙うも、前半のハイペースも合わせて苦しかった。無理はあったものの、自分の形を崩さなかった点は評価したい。
勝ったテーオーケインズはこれら激しい先行争いの背後、道悪適性が高く、ダートのスピード勝負に強い同馬は余裕をもって追走、レピアーウィットを目標にタイミングよく仕掛けた。
同馬の父シニスターミニスターはエーピーインディ系の父、そして母系からデピュティミニスターの血を引く。代表産駒インカンテーション、ヤマニンアンプリメなど、傾向としては高齢になっても活躍できる活力と軽いダート向き。
産駒の通算成績では、ダートのやや重がもっともよく、【58-53-36-422】勝率10.2%、複勝率25.8%。血統のイメージほど重・不良は走れないが、重賞レベルまで出世する馬は総じて道悪が得意。そういった意味でもテーオーケインズも走るシニスターミニスター産駒といえる。まだ4歳、同産駒の活力を武器にダート路線で長く活躍するだろう。