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高橋大輔&村元哉中、北京冬季五輪へワルシャワ杯表彰台で見えた成長の跡

2021 12/2 06:00田村崇仁
高橋大輔と村元哉中,ⒸUSM
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ⒸUSM

NHK杯を10点超上回る日本歴代最高得点

フィギュアスケートのアイスダンスで2022年2月の北京冬季五輪代表を目指す村元哉中、高橋大輔組(関大KFSC)が結成2シーズン目に入り、一歩ずつ着実に成長の跡を示している。

11月20日までポーランドで行われたワルシャワ杯ではリズムダンス(RD)の「ソーラン節」で自己ベストの75.87点、フリーの「ラ・バヤデール」でも114.29点をマークし、合計190.16点で2位に入り、海外の国際スケート連盟(ISU)公認大会で初の表彰台に立った。

RD、フリー、合計ともに6位に入った11月13日のグランプリ(GP)シリーズ第4戦、NHK杯で出した自己ベストをさらに更新。合計で10.66点も塗り替える日本歴代最高得点となった。

男子シングルの2010年バンクーバー五輪銅メダリストで35歳の高橋はマネジメント会社を通じ「RD、フリーともに国際大会で得点を更新できたことは大きな励みとなり、また新しい経験ができた」とコメント。28歳の村元も自身のインスタで「たくさんの刺激と課題も見つかったので、全日本選手権に向けて更なる進化へ繋がるように引き続き頑張ります」と意欲を新たにした。

2種類のステップもレベル3に引き上げ

週3回の筋力トレーニングが生き、二の腕の筋肉が盛り上がる高橋は課題だったリフトで安定感が確実に増している。ソーラン節や琴の音色が流れるRDでは「どっこいしょ」の掛け声が響くタイミングで高橋が村元を持ち上げ、NHK杯同様にワルシャワ杯でも最高評価のレベル4を獲得。フリーでも盤石の足腰で全てレベル4の評価を得た。

さらにNHK杯で2種類ともレベル2にとどまったフリーのステップではワルシャワ杯でレベル3に引き上げ、出来栄え点(GOE)も2.04、2.71とそれぞれ2点以上の加点を引き出した。

ステップといえば、シングル時代に世界選手権の頂点にも立った高橋の真骨頂。アイスダンスではカップルの同調性という異なる繊細さも求められるが、連戦や海外の時差調整も克服して国際大会で進化を示せた価値は大きいだろう。

フリーは昨季と同じバレエ曲で表現力を示す5項目の演技構成点でも音楽の解釈やトランジションなど全項目で8点台を並べ、NHK杯の48.12点から50.28点とレベルアップ。北京冬季五輪の1枠を争うライバルの小松原美里、小松原尊組(倉敷FSC)はけがでワルシャワ杯を欠場したが、五輪へまた一歩を前進した形だ。

1枠争う全日本は小松原組との一騎打ち

国際大会で実戦を重ねるごとに自信を付け、華やかさを増している「かなだい」カップル。2人は北京五輪代表最終選考会の全日本選手権(12月23~26日・さいたまスーパーアリーナ)に向け、練習拠点の米フロリダ州でさらなる「伸びしろ」を求め最終調整に入っている。

高橋はNHK杯後に今後の課題としてリフトの質やスケーティングのエッジワークを挙げた。デビュー戦だった1年前のNHK杯は合計157.25点。そこから考えれば合計で32.91点も伸ばしてきた計算になる。

ワルシャワ杯はリフト、コンビネーションスピンともレベル4を獲得し、残る課題は一体感が求められる片足のターンを繰り返すツイズルなど繊細な細部の詰めになるだろう。

欧米で人気のアイスダンス界を盛り上げる異例の挑戦。「一歩ずつ前進したい」と声をそろえる2人が心技体で一体となる完成度のゴールはまだまだ先にある。

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