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クリケットの歴史、元プロ野球選手も参戦する日本代表の実力は?2028年ロス五輪で128年ぶり復活

2023 10/20 06:00田村崇仁
2023年クリケットW杯,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

13世紀に英国で発祥、巨大インド市場でトップ選手年収は30億円超

2028年ロサンゼルス五輪の追加競技としてクリケットが正式決定した。英国とフランス在住の混成チームによる2チームのみで争った1900年パリ五輪以来、実に128年ぶりの復活となる。人口14億人を超えるインドの巨大市場をにらんだ国際オリンピック委員会(IOC)の将来的な目玉ともなる競技である。

13世紀に英国で発祥したクリケットは野球の原型ともいわれ、もともと羊飼いの遊びとして始まったとされる説が一般的。羊飼いが使用する棒状のスティックで石を打ち返した遊戯が進化して庶民の娯楽に発展し、17世紀以降に英国の領土拡大に伴い、オーストラリアやインド、南アフリカなど世界的に広がった。

日本クリケット協会の資料によると、世界100カ国以上で親しまれ、競技規模はサッカーに次ぐ2位。ファンは25億人を超え、特に英連邦諸国のインドを中心とした南アジアで圧倒的な人気を誇り、トップ選手の年収は30億円を超える。インドには専用のバッティングセンターもあり、昨年のワールドカップ(W杯)は世界12億人がテレビで視聴したという。

「紳士・淑女のスポーツ」ともいわれ、スポーツマンシップを重視。日本では明治維新直後、英国海軍らが横浜にクリケットクラブを創設し、1863年に行われた「横浜商人vs英国海軍」の試合が最初の試合となる。

1チーム11人、ロス五輪は3時間の形式

クリケットの基本ルールは1チーム11人で構成され、攻撃と守備を1イニングずつ交互に行って得点を競う。バッツマン(打者)は打撃面が平たいバットでアウトになるまで打ち続けることができ、360度どの方向に打っても得点となる。本塁打のように「バウンダリー」と呼ぶ境界線を直接越えると6点が入る。

守備側はボウラー(投手)、ウィケットキーパー(捕手)、フィールダー(野手)。ボウラーは野球と違って助走可能、肘を曲げずにワンバウンド投球との特徴がある。

男女各6チームが参加する五輪は規定投球数が各チーム120球ずつの「T20形式」で実施し、試合時間は約3時間。長い形式ではクリケット特有のティータイムやランチタイムが設定され、1試合に7時間×5日間もかける大会もある。

世界ランク50位前後、参加6チームの五輪は狭き門

日本では野球と比べて認知度でまだ発展途上であり、国内の競技人口は2019年時点で約4000人。プロ野球の横浜(現DeNA)や広島で活躍し、西武から戦力外通告を受けて2018年に転向した43歳の木村昇吾は、香川・尽誠学園高時代に夏の甲子園にも出場しているトップ選手だ。

9~10月の杭州アジア大会にも日本代表で出場し、5年後のロス五輪を目指す。日本選手で初の世界最高峰プロリーグ、インディアン・プレミアリーグ(IPL)入りも目標に掲げている。

国内の本拠地は栃木県佐野市。日本協会の事務局があり、クリケットをキーワードにした街づくりで「聖地」を目指す。

五輪で実施予定の方式の世界ランキングで日本は男子が50位、女子が51位。アジアでは男子世界ランク1位のインドや4位のパキスタン、8位のスリランカなど南アジアが強く、6チーム参加の五輪は狭き門といえる。

オーストラリアで開催の2032年ブリスベン五輪も実施競技として継続的に採用される可能性が高く、IOCのバッハ会長も「五輪とはウィンウィンの関係になる」と強調。2036年五輪もインドが有力候補として立候補しており、野球が盛んな日本でも急ピッチで選手強化を進める必要がありそうだ。

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