高校生対象外のため指名は全体で6人のみ
今年のプロ野球ドラフト会議は10月11日に行われる。上位指名確実なアマチュアの有力選手に注目が集まるが、育成ドラフトで指名される「金の卵」にとっても、人生の大きなターニングポイントだ。
指名された選手がその後どんなプロ野球人生を送ったのか、答え合わせをしてみたい。2005年の育成ドラフトを振り返る。
育成ドラフトが初めて行われた2005年は事前準備や折衝が間に合わなかったため、通常ドラフトとは別に12月に開催。高校生は対象外となったこともあり、指名選手も全体で6人と少なかった。
広島は仙台育英高時代にセンバツ準優勝し、立命館大を中退して四国アイランドリーグの愛媛でプレーしていた中谷翼を指名した。2007年に支配下登録され、一軍で2試合に出場。2010年9月25日の阪神戦では初めてスタメン出場し、初安打初打点も記録した。
しかし、ケガもあって同年オフに育成契約に戻り、2013年に戦力外通告を受けた。通算4試合出場で打率.143の成績が残っている。
巨人は「育成の星」山口鉄也を指名
2005年の育成ドラフトで一番出世は巨人入りした左腕・山口鉄也だろう。横浜商を卒業後にMLBダイヤモンドバックスとマイナー契約。マイナーリーグでプレーした後、巨人の入団テストを受けた上で指名された。
2007年4月に支配下登録され、一軍デビュー。同年は32試合に登板して2勝を挙げると、翌2008年には67試合登板で11勝2敗2セーブ23ホールドをマークした。さらに2009年、2012年、2013年には最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得。2018年に引退するまで通算642試合登板で52勝27敗29セーブ273ホールドの成績を残した。
スリークォーターから投げる速球とキレのいい変化球を武器に、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にも2度出場した「育成の星」。同年の高校生ドラフト1位で入団した、同じ左腕の大阪桐蔭・辻内崇伸が一軍出場を果たせないまま引退したのと対照的だった。
ソフトバンクは小斉祐輔と西山道隆
中日は1巡目で名古屋商科大の竹下哲史を指名。内野手として堅実な守備を評価されたものの、支配下登録されることなくわずか2年で戦力外となった。
2巡目では秋田経法大付高(現ノースアジア大明桜高)時代に攝津正(元ソフトバンク)とともに2000年センバツに出場し、法政大を経て中日に打撃投手として入団していた加藤光教を指名。しかし、支配下登録を勝ち取ることはできず2007年に戦力外通告を受けた。
ソフトバンクは1巡目で東農大生産学部の小斉祐輔を指名した。PL学園高時代は今江敏晃、桜井広大、朝井秀樹らと同期生で、大学時代は通算30本塁打をマークした左の強打者。1年目の5月に支配下登録され、6月に一軍初出場すると、2008年には39試合、翌2009年には43試合に出場した。
2011年オフに金銭トレードで楽天に移籍し、3年連続で本塁打を放ったが、2015年オフに引退。通算165試合出場で打率.209、7本塁打の成績を残した。
2巡目では四国アイランドリーグ愛媛の右腕・西山道隆を指名。小斉とともに1年目に支配下登録され、一軍初登板。その後、通算7試合に登板したが勝利を挙げることはできないまま、2009年オフに戦力外となった。
同年の高校生ドラフトでは辻内に2球団競合したほか、報徳学園高・片山博視、福岡第一高・陽仲壽(陽岱鋼)も2球団競合。山口俊や炭谷銀仁朗、平田良介、岡田貴弘(T-岡田)らも1巡目でプロ入りしている。今も活躍中の選手もいれば、期待に応えられなかった選手もおり、指名順位は関係なく実力社会のプロの厳しさを実感させられる。
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