元DeNAの山本武白志はクリケット、田村丈はアメフトに転向
今年のプロ野球ドラフト会議は10月11日に行われる。上位指名確実な有力選手が注目されるが、プロに入れば指名順位は関係ない。最近は育成出身でプロ入り後に大きく伸びる選手も珍しくなく、「育成の星」というフレーズも聞かなくなった。
球団としてはお金をかけずに獲得できる「金の卵」を大成させる環境と、秘めた素質を見抜くスカウトの眼力が今後ますます重要になりそうだ。
小笠原慎之介を擁する東海大相模が夏の甲子園で優勝した2015年の育成ドラフトを振り返る。
楽天は津田学園高・出口匠と菰野高・山田大樹という2015年夏の三重県大会3回戦で対戦したライバル2人を指名。ともに強打の内野手として期待されたが、一軍出場を果たせないまま戦力外となった。
DeNAは1巡目で千葉英和高で通算33本塁打をマークした網谷圭将を指名。二軍で4番を打つなど期待されたが、2019年オフに戦力外となった。現在はヤマハでプレーしている。
2巡目では九州国際大付高のスラッガー・山本武白志を指名。かつてロッテの監督を務めた山本功児氏の長男で、夏の甲子園で3本塁打を放った長打力が期待されたが、一軍のグラウンドに立つことなく戦力外となった。引退後はクリケット選手に転向している。
3巡目は関西学院大の右腕・田村丈。2018年にプロ初登板を果たしたが、一軍ではその1試合のみに終わり、2019年オフに戦力外通告を受けた。現在はアメフトチーム「イコールワン福岡SUNS」のWRとしてプレーしている。
中日3巡目の三ツ間卓也は中継ぎで戦力に
オリックスは1巡目で白鷗大の左腕・塚田貴之、2巡目で四国アイランドリーグ香川の捕手・赤松幸輔を指名したが、いずれも一軍出場のないまま戦力外となった。
中日は1巡目で指名した愛知大の左腕・中川誠也はわずか1年で戦力外。2巡目で指名した四国アイランドリーグ徳島の右腕・吉田嵩も3年で戦力外となった。
3巡目で指名したBCリーグ武蔵の右腕・三ツ間卓也は1年目のオフに支配下登録され、2017年には35試合に登板して2勝1敗11ホールド。2019年にも2勝2敗4ホールドの成績を残すなど貴重な中継ぎとして活躍している。
4巡目の星城大の右腕・西濱幹紘、5巡目の八戸学院光星高の左腕・呉屋開斗は一軍出場のないままユニフォームを脱いだ。
6巡目は東海大相模高時代にセンバツ優勝し、東海大時代には首都大学リーグMVPに輝いた渡辺勝を指名。2018年オフに支配下登録され、2019年に27試合、2020年に19試合出場した。今季も8月から一軍昇格してスタメンで起用されている。
増田大輝は足のスペシャリストとして活躍
ロッテは1巡目で四国アイランドリーグ香川で首位打者と盗塁王に輝いた大木貴将を指名。2016年に支配下登録され、2017年に9試合に出場したが、2019年に戦力外となった。
2巡目は日大国際関係学部の捕手・柿沼友哉。2016年に支配下登録され、2017年に一軍デビューすると、2019年は34試合、2020年は56試合と出場機会を増やしている。
同期入団の育成組で一軍最多出場しているのが巨人1巡目の増田大輝だ。近畿大を中退して入団した四国アイランドリーグ徳島からプロ入りし、2017年に支配下登録。2019年にはチームトップの15盗塁、2020年にもチームトップの23盗塁を記録するなど代走の切り札として活躍しており、今季はプロ初本塁打も放っている。
2巡目のBCリーグ武蔵の捕手・小林大誠は1年で戦力外。3巡目の四国アイランドリーグ香川・松澤裕介は指名後にケガが発覚して入団を辞退し、翌2016年に改めて育成8位で入団したが、2年で戦力外となった。
BCリーグ武蔵から入団した4巡目・田島洸成、5巡目・大竹秀義、7巡目・矢島陽平と6巡目の鎮西高・山下篤郎は一軍出場できないまま戦力外。8巡目のBCリーグ石川・長谷川潤は2016年に一軍で3試合に登板したものの白星は挙げられず、2017年に戦力外となった。
ソフトバンクは5人指名も一軍出場なし
千賀滉大や甲斐拓也らを育て上げ、育成能力に定評のあるソフトバンクは5人を指名。しかし、つくば秀英高・野澤佑斗、神奈川大・児玉龍也、東農大北海道オホーツク・樋越優一、ルーテル学院高・中村晨、飯塚高・渡辺健史と、2015年組はいずれも一軍出場のないままユニフォームを脱いだ。
同年の通常ドラフトでは県岐阜商高・高橋純平が3球団競合の末にソフトバンク入団。明治大・髙山俊は2球団競合の末に阪神、仙台育英高・平沢大河は2球団競合の末にロッテ、外れ1位で2球団競合した東海大相模高・小笠原慎之介は中日入りした。
※成績は2021年9月21日現在
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