ハードな運動後の筋肉痛は煩わしい
ハードなトレーニングや不慣れな運動を行った翌日にくる筋肉痛は辛い。少しの動きでも痛みを発し、体を動かす際に不快感が生じる筋肉痛を多くの人が経験したことがあるだろう。
これから習慣的に筋トレや運動を取り入れたいと考えている人にとっても、翌日の筋肉痛や運動後の疲労感がネックでなかなか取り組めない人もいるだろう。
筋肉痛のメカニズムは、ハードなトレーニングや日常生活以上の運動負荷が筋繊維にかかることにより、筋繊維に細かい傷が付き、その傷を修復する際の炎症が痛みの原因とされる。
煩わしい筋肉痛を取り除くためには、激しい運動後の休息方法や事前の予防が重要。筋肉痛を緩和し、疲労を回復させて楽しくトレーニングに取り組むためには交代浴がおすすめだ。
交代浴は筋肉痛を緩和させ「幸せホルモン」を分泌
交代浴とは、温水と冷水の2つの浴槽に交互に浸かる入浴法だ。もともとヨーロッパで行われていた温水療法の一つではあったが、その効果の高さから近年では世界中のアスリートも疲労回復法として取り入れている。
一般家庭には風呂桶が1つしかない場合が多いが、暖かいお湯に浸かった後にぬるめのシャワーにあたることでも効果が得られので、自宅でも行うことが可能だ。
温泉医療法専門医である早坂信哉氏によると、筋疲労に対する交代浴の効果として筋肉痛発症時は安静にしているよりも交代浴を行うことにで筋肉痛の緩和に大きな影響を与えるという。
人の体は冷たい水に浸かると血管が収縮し、暖かいお湯に浸かると血管が拡張される。血管の収縮、拡張を繰り返すことで、血行が良くなり炎症物質や疲労物質を排出するのだ。
また、交代浴は幸せホルモンである「オキシトシン」を増加させ、幸福感を得られストレス解消につながる。筋肉痛の緩和やストレスを解消するなど一石二鳥の回復法と言える。
一般的な交代浴は、40℃前後の温水と15〜20℃ほどの冷水を交互に入浴するが、交代浴初心者にとって、この温度差は体への負担が大きく、急激な血圧上昇に伴う血管障害を引き起こす原因となる。まずは温度差を広げずに実施したい。交代浴初心者におすすめの実施方法は以下の通りだ。
交代浴初心者はまずは10℃ほどの温度差の交代浴から始め、慣れてきたら徐々に温度差を広げていくといいだろう。小さな温度差でも十分に血行を促進でき、筋肉痛の緩和や疲労回復効果をもたらすことができる。
段階的な運動強度と継続的な運動が筋肉痛を防ぐ
また、筋肉痛は日頃の生活以上の負荷でのトレーニングや運動が要因となるため、筋肉痛を防ぐためには事前の予防が大切となる。
激しい筋肉痛を防止するには、運動や筋トレの強度を徐々に上げていくことが重要だ。強い負荷は筋繊維を大きく損傷させるため、いきなり激しい運動を取り入れるのではなく運動強度を調節しながらの段階的なトレーニングが筋肉痛の予防につながる。
また、日常からトレーニングを取り入れ、体を動かしている人は筋肉痛になりにくい。人の体は、一度筋肉痛を経験すると体内で筋肉痛を制御する働きが起こり、痛みが発生しにくくなる。
筋肉痛がネックで運動に取り組めない人も、一度筋肉痛になっても交代浴を用いて筋肉痛を回復させたのちに、日常的にトレーニングに取り組むことで筋肉痛が起こりにくくなる。
交代浴を効果的に取り入れて筋肉痛の緩和や疲労の回復に努めたい。交代浴は自宅でも簡単に行えるため一般の方でも手軽に取り入れやすいだろう。煩わしい筋肉痛を緩和し、楽しく運動に取り組みたい。
《ライタープロフィール》
近藤広貴
高校時代にボクシングを始め、全国高校総体3位、東農大時代に全日本選手権3位などの成績を残す。競技引退後は早稲田大学大学院にてスポーツ科学を学ぶ。現在は母校の教員としてボクシング部の指導やスポーツに関する研究を行う傍ら、執筆活動を行っている。
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