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30代までは「筋トレ貯金」、40代以上は下半身を鍛えて体重増加を防ごう

2021 3/20 06:00近藤広貴
イメージ画像ⒸPavel L Photo and Video/Shutterstock.com
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40代以上の約6割は20代の頃より3㎏以上の体重増

加齢に伴い、自身の体重の増加が気になった経験はないだろうか。オレンジページ株式会社が行った加齢と体重の増加に関する調査では、20代の頃と比べ40代以上の約6割が3㎏以上の体重増を経験しており、そのうち3割は10㎏以上増えたと答えている。

加齢による体重増加の原因は、筋肉量減少による基礎代謝の低下が考えられる。厚生労働省の『日本人の栄養所要量』によると20代で基礎代謝はピークを迎え、年々低下し、60代になる頃には、20代の4分の3の基礎代謝へ低下することが示されている。

筋肉量が1㎏減るごとにおよそ50~70キロカロリーの基礎代謝が低下するとされ、このことからも、シャープな体をキープし、生涯にわたり健康的な体を手にするためには、筋肉量の増加が必要となる。また、筋肉量の増加は基礎代謝の増加に加えて、加齢に伴う運動機器障害である「ロコモティブ症候群」の抑制にも繋がり、老後の生活をより良くするためにも重要だ。

10代、20代の若いうちから筋トレを生活に取り入れておくことで加齢に伴う基礎代謝の低下を抑え、太りにくい体を手にすることができる。

筋肉と基礎代謝との関係に着目して、10代~30代の若いうちから行っておくべきトレーニングと、基礎代謝の低下が著しく始まる40代以降のトレーニング法について確認していきたい。

マッスルメモリーで老後の筋肉量を貯金【10~30代のトレーニング】

基礎代謝は筋肉量が増えることで上昇するため、10~30代の若いうちは中年期以降に備え筋肥大を目的とした筋トレを取り入れたい。

筋肉は「マッスルメモリー」と呼ばれる機能を持ち合わせる。この機能により、一度大きくした筋肉が、休養により元の筋肉量に戻ったとしても、トレーニングを再開することで前回の筋肉量まで容易に戻すことができるのだ。

オハイオ大学で行われた研究では、5ヶ月間のトレーニングを行い、8か月間のトレーニング中止期間を設けた後、再びトレーニングを始めた結果、1ヶ月半で元の筋肉量まで戻ったことが報告されている。およそ5月かけて作り上げた筋肉が1ヶ月半で元に戻ったのだ。

このことは、例え仕事が忙しく筋トレをできない期間が長くなったとしても、筋トレを再開することで、簡単に筋肉量を戻すことを示している。若いうちの筋トレは貯金となり、中年期以降のトレーニング再開に効果をもたらすのだ。

10~30代にかけては、筋肥大のためにダンベルやバーベルなどを用いた体の各部位の筋トレが有効だ。5~8回の拳上で限界となる重さで筋トレを行うと筋肥大に効果的だ。

もちろん、器具を使用しない筋トレであっても筋肉量は増加するため、負荷に注意しながら自宅でできるトレーニングを取り入れたい。

身体の筋肉量のおよそ7割は下半身に集中【40代以降のトレーニング】

中年期以降も、筋トレを行えば確実に筋肉は成長する。アメリカの医学者マリア・パトローニ氏が行った研究によると、96歳の高齢者が筋トレを取り入れた結果、筋力と筋肉量がともに向上したことが報告されている。

筋肉は何歳になっても成長するため、若いうちから激しいトレーニングを取り入れてきたトレーニーは40代以降も積極的にトレーニングに励みたい。

40代以降からトレーニングを始める方は、10代20代と比べ、運動負荷を落とすことをすすめたい。中年期以降のいきなりの高負荷の筋トレはケガのリスクを高めるため、自重でできるトレーニングを取り入れたい。

40代に積極的に取り入れたい筋トレ種目は、スクワットなど足系種目だ。人の体は全身の筋肉量の約7割が下半身に集中している。つまり下半身を集中的に鍛えることにより、効率よく筋肉量を増やし基礎代謝を高められるのだ。

さらに、下半身の筋トレは老後の運動器障害である歩行困難などの寝たきりも防ぐことができ、一石二鳥と言える。

加齢に伴う体重の増加は、基礎代謝を高める筋トレにより防ぐことができる。若いうちから筋トレ習慣をつけて、太りにくい体を手に入れたい。毎日の筋トレ習慣は人生を豊かにするはずだ。

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