コロナワクチン「コミナティ」の予防接種が始まる
アメリカのファイザー社とドイツのビオンテック社が共同開発したコロナワクチン「コミナティ」の接種が日本国内でいよいよ始まった。ファイザー社の他にもいくつかの海外製薬会社と契約を結んでおり、今後日本国内でもコロナワクチン接種が日常化してくる。
まずは医療従事者への摂取から始まり、4月ごろから65歳以上の高齢者や基礎疾患を有する人々への優先的なワクチン接種が行われる。そして、一般市民へのコロナワクチン接種は5月から6月ごろが予定されている。今夏に東京オリンピックを控える我が国において、開催に向けた希望の光が見えてきた。
ワクチンはコロナ発症率を94%減少させる
コロナワクチンの接種は日本社会にどのような影響をもたらすのだろうか。
イスラエル最大の保険機構であるクラリットは、「コミナティ」接種済みの被験者と未接種の被験者、各60万人を対象に調査を行った。その結果、ワクチンを接種したグループは未接種グループと比べ94%も発症率が低かったことを報告している。
つまり、コロナワクチンを接種していればコロナウイルスの発症率が20分の1に抑えられるのだ。現在の世界情勢を見ても画期的なワクチンだろう。
「コミナティ」は従来のワクチンタイプとはやや異なる。従来のワクチンは、微力化したウイルスを体内に入れることにより、ウイルスに対する抗体を作り、ウイルス感染確率を減少させてきた。しかし、今回のコロナワクチンは「mRNAワクチン」と呼ばれる新タイプのワクチンとなる。
本物のウイルスを体内に入れる従来のワクチンと異なり、コロナウイルスの遺伝子情報の一部を体内に入れ、その情報をもとに免疫細胞を活性化させ、感染に備えるタイプのワクチンなのだ。
新タイプのワクチンであるが、臨床試験の結果からもその安全性が認められており、身体に危険性を及ぼす可能性は極めて低いようだ。
ワクチン接種直後の激しい運動はNG
近い未来、私たちもコロナワクチンを接種する日が訪れるだろう。ワクチン接種は自身の命や健康を守ることはもとより、社会で共に生きる周りの人々への配慮としても重要である。
コロナワクチンを接種するにあたり、ワクチン接種直後の激しい運動には注意が必要だ。
インフルエンザなどの予防接種後に、病院でその日の激しい運動を制限されたことがある人も多いだろう。「激しい運動」とは、息が上がるほどの運動を意味している。
ワクチン接種直後は、アナフィラキシーショックや副作用などの発生リスクが高く、激しい運動により体力が低下すると、それらの症状の発症率を高めてしまい健康や生命に危険を及ぼすからである。
ワクチン接種後は段階を踏んだトレーニング実施を
東京オリンピックを控える日本では、アスリートにとってもワクチンに関する関心は高いのではなかろうか。
大会を控えたアスリートであっても、ワクチン摂取当日は普段通りのトレーニング実施は避けた方がよさそうだ。
このことは、アスリートのみならず市民ランナーなど一般のスポーツ好きにも同じことが言える。ワクチン接種後は段階を踏んだトレーニング実施が望ましい。ワクチン摂取2日後からは、ジョギングやストレッチなど軽めの運動からスタートし、問題がなければ3日後からは通常通りのトレーニングを実施しても構わない。
コロナワクチンは、3週間間隔で2回摂取が必要となる。ワクチン摂取後の副作用や抗体の生成を考え、激しい運動が制限されるアスリートにとってトレーニング計画や競技会参加へ影響を及ぼすだろう。新タイプのワクチンだからこそ、アスリートはトレーニング計画や試合日程を綿密に考え、コロナワクチンの接種タイミングを決める必要がありそうだ。
未曽有のコロナ禍に見舞われる世界で、希望の光が差し込んできた。そのことだけに安堵せず、ワクチンをしっかりと理解して、接種後に正しく生活を送ることも大切だ。スポーツの祭典オリンピックの開催で、コロナ禍の世界を明るく照らしてもらいたいものだ。
《ライタープロフィール》
近藤広貴
高校時代にボクシングを始め、全国高校総体3位、東農大時代に全日本選手権3位などの成績を残す。競技引退後は早稲田大学大学院にてスポーツ科学を学ぶ。現在は母校の教員としてボクシング部の指導やスポーツに関する研究を行う傍ら、執筆活動を行っている。
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