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【きさらぎ賞】ラーゴムが皐月賞でも有望な理由とは? 2、3着馬には課題残る

2021 2/8 11:22勝木淳
2021年きさらぎ賞レース結果ⒸSPAIA

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自力勝負に持ち込んだラーゴム

皐月賞は10週間後。各陣営とも最小キャリアで皐月賞に出走させたいという思惑がある。となれば本番まで1走が理想だろう。できれば2走はさせたくないはずだ。クラシック出走はトライアル優先権と賞金順で決まる。ラーゴムはオープン2着2回でクラス賞金1000万円。ヨーホーレイクはホープフルS3着で賞金の上積みができず、クラス賞金900万円。ランドオブリバティは2歳オープン勝ちでクラス賞金1000万円。いずれもクラシック出走は未知数、賞金加算は至上命題だった。

35年ぶりに中京で行われたきさらぎ賞を制したのはラーゴムだった。中京芝2000mらしい前半1000m通過1分1秒2のスローペースを3番手から抜け出す安定感ある競馬だった。だが逃げたタガノカイが刻んだ前半のラップは13.1-11.6-12.7-12.0-11.8。後半は11.9-12.3-11.9-11.5-12.2。ショウナンアレスに突つかれたためか、下り勾配にかわる中盤に加速するやや変則的な流れだった。3角で一旦ペースが落ち、そこから再加速。キャリアが浅い3歳馬にとっては乗りにくい流れだった。

前半行きたがる素振りを見せたラーゴムにとって中盤でペースをあげてくれたことは味方した。4角からのペースアップに苦もなく対応、残り400mからの11秒5で大勢を決した。ここ2戦は一旦抜け出したところを後ろに捕らえられたが、それを意識した強気な仕掛けが功を奏し、追い込むヨーホーレイクを振り切った。勝負所での早めのペースアップへの対応など機動性は高く、皐月賞で楽しみである。

課題が残ったヨーホーレイクとランドオブリバティ

2着ヨーホーレイクは流れを考えれば、常に勝負圏外で競馬をしながら、末脚だけで2着と力があるところを示した。皐月賞出走に必要な賞金は確保できたが、その先となるとまだ不透明。勝てなかったのは痛い。ホープフルSもきさらぎ賞もスローペースになることを分かっていながら後方に控え、追い込みにかけるというのは、まだまだ弱いところがあるからだろう。自力で勝ちにいけない現状を今後どう変えていくかが課題になる。クロウキャニオン一族はトライアルまでというタイプが多く、それを脱却するためにも自ら動けるようになりたい。

3着ランドオブリバティはホープフルSでの逸走から調教再審査を経ての出走。その挙動は注目を集め、レースでも1番人気に支持された。スタートで隣のアクセルに寄られてしまい、危ない場面があった。こうなれば無理せずに最後方待機は仕方ない。

ホープフルSで逃げた馬が今回はドン尻からの競馬。ここまで勝手の違う競馬になってしまえば大敗も仕方なしだが、最後の直線は伸びて3着。2着ヨーホーレイクに0秒6差つけられてしまったが、素質は高い。しかし、こちらは賞金加算という課題が残った。難しいところがある馬だけに今後の選択肢は悩ましい。トライアルで権利を取りに行くのか、その去就に注目したい。

4着タガノカイ以下は勝ったラーゴムから1秒以上、3着ランドオブリバティから0秒4以上と離されてしまった。着差がつきにくい1000m通過1分1秒2の緩い流れで大きく差をつけられてしまっては苦しい。ホープフルSを勝ったダノンザキッドや2着オーソクレースと対戦歴があるラーゴム、ヨーホーレイクに決定的な差をつけられては、現時点では世代トップ戦線に食い込む見込みは薄い。

もっとも4着以下はクラス賞金900万円のタガノカイとドゥラモンドを除き1勝馬であり、自己条件なら重賞出走の経験がいきる可能性はある。タガノカイに競りかけて苦しくなった6着ショウナンアレスの自己条件での巻き返しに期待したい。

2021年きさらぎ賞のレース展開インフォグラフィックⒸSPAIA

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。


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