1番人気は過去10年1勝
牡馬クラシック第一戦・皐月賞まで9週間。過去10年の皐月賞馬のうち12年ゴールドシップ、14年イスラボニータ、15年ドゥラメンテ(共同通信杯2着)、16年ディーマジェスティの4頭が共同通信杯から直行だった。
一方直近4年間は19年ダノンキングリーの皐月賞3着のみとやや勢いがない。19年サートゥルナーリア、20年コントレイルと皐月賞を3歳緒戦で制する時代において、共同通信杯もトライアルレースと同じく真価を問われている。
オークスの忘れた頃の忘れな草賞組ではないが、前走共同通信杯組とて軽視は禁物だろう。皐月賞を展望する重要レース共同通信杯について過去10年間のデータをもとに分析する。
好走馬は概ね6番人気以内で、7番人気以下は【0-0-2-47】と苦戦。しかしながら1番人気は【1-3-1-5】と振るわない点には注意したい。
この10年で1番人気の勝利は14年イスラボニータしかない。半数は馬券圏外に敗れるので、安易に手を出せない。3番人気【4-2-2-2】勝率40%、複勝率80%がもっとも堅実。キャリアが浅い3歳馬だけに買う側の評価が若干ズレるところがあるのか。
3歳同士のレースでカギを握るキャリア別成績を出す。キャリア1戦は【1-1-1-4】と数は少ないが、好走確率が高い。新馬即重賞通用は2歳重賞では多いものの、3歳重賞では少ない。今年の想定で新馬勝ち直後はヴィクティファルス、シャフリヤール、ディオスバリエンテ、レフトゥバーズ。
ほかの好走パターンは3戦【4-5-3-22】(想定ではキングストンボーイ、ステラヴェローチェ、ディープリッチ)、4戦【3-1-2-13】(想定からステラリア、ハートオブアシティ、プラチナトレジャー)あたりだろう。5戦以降は確率が下降するので、消しではないものの、評価を下げた方がよさそうだ。
穴が出るならば京成杯組
人気とキャリアを踏まえた上で、ここからは具体的な好走パターンについて前走距離別に探っていく。
前走1600mが【1-3-1-20】ともの足りない。クラシック戦線はその序章的存在の2歳戦はマイルが中心、戦線が本格化する3歳は2000mが中心になる。ホープフルSがあるので、マイルを経由しない馬は増えたが、この1600m路線から2000mへのシフト変更がクラシックでは重要。
昨年こそサリオスは成功したが、3歳になって案外という馬は多い。それがこのデータに表出しているということだろうか。前走朝日杯2着のステラヴェローチェ、同8着カイザーノヴァやベコニア賞を勝ったキングストンボーイなどは中距離への適性を問いたい。
好走ゾーンは同距離の前走1800m【3-4-1-14】と短縮組の2000m【6-3-8-40】。ひと足先にクラシックを意識した距離を経験した馬が強いこともポイントだろう。
まずは前走2000m【6-3-8-40】から。その前走クラスを出すと、新馬・未勝利直後の距離短縮は数も少なく成績も出ていない。1勝クラス【2-0-1-13】、オープン【2-2-1-2】、GⅢ【1-1-5-16】あたりが有力。
今年の想定では前走が1勝クラス2000m戦だったのはエフフォーリア(百日草特別1着)とディープリッチ(葉牡丹賞9着)、ハートオブアシティ(1勝クラス)。オープン組は不在で、2000mのGⅢだった馬は京成杯5、6着のプラチナトレジャーとタイソウ。
ただし前走が京成杯だった馬は【0-1-3-10】。数字としては寂しいものの、13年9番人気3着マイネルストラーノ(京成杯8着)、18年10番人気3着エイムアンドエンド(京成杯10着)など京成杯凡走組の巻き返しが多い。
ちなみに昨年4番人気で勝ったビターエンダーも京成杯は4着なので、プラチナトレジャーやタイソウが出走するならば、穴党は注目だろう。
新馬勝ち直後のディープインパクト産駒
ここからは同距離の前走1800m組【3-4-1-14】について掘り下げていきたい。
GⅢ【2-1-1-3】は注目ローテだが、ここは東京スポーツ杯【2-1-1-2】が大半。残り1頭は札幌2歳S経由だった15年11番人気10着マイネルサクセサー。しかし今年の想定に前走東スポ杯組は不在。
ここは新馬【1-1-0-0】に注目。15年3番人気1着リアルスティール、18年3番人気2着サトノソルタスがいる。今年の想定ではヴィクティファルス、シャフリヤール、ディオスバリエンテが前走1800m新馬組。過去に好走した2頭はいずれもディープインパクト産駒。同産駒は初重賞が狙いと言われるように昇級の壁がないタイプが多い。
ヴィクティファルス、ハートオブアシティはハーツクライ産駒、ディオスバリエンテはロードカナロア産駒でシャフリヤールはディープインパクト産駒。若いころは2勝目をあげるまでに足踏みしがちなハーツクライ産駒2頭より狙うならシャフリヤールもしくはディオスバリエンテか。
最後に新馬に限らず1800m組全体の競馬場別データを。阪神【1-0-0-0】(ヴィクティファルス)が好走ゾーン。シャフリヤールの京都は【0-0-0-2】。しかし、この2頭はいずれも前走未勝利戦だった(11年10番人気8着オンリーザブレイヴ、18年5番人気9着アメリカンワールド)。
86年以降前走が京都芝1800m新馬戦だった馬はわずか2頭。ヤマニンアクロが勝って大荒れだった99年共同通信杯メイショウパシオン(4着)、12着ドラゴンブライアンのみ。これで消しとはいえない。また中山【0-0-0-8】はディオスバリエンテには不安材料だが、新馬だった馬はゼロなので、これも消しとは言いがたい。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。
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