目指すは開幕一軍
1月も終わりが近づき、春季キャンプに向け自主トレを行っていた選手たちも続々と現地入りしている。若手や新加入の選手たちは、キャンプやオープン戦でアピールしなければならないため、自然と仕上がりが早くなる。それが新人選手となれば、なおさらだ。
今年の新人を見渡せば、根尾昂(中日)、藤原恭大(ロッテ)、吉田輝星(日本ハム)、小園海斗(広島)など、昨夏の甲子園を賑わせた選手に注目が集まっている。藤原はインフルエンザで一時的に離脱していたにもかかわらず、ロッテ公式Twitterに動画が投稿されるなど、期待の高さがうかがえる。
その他の選手たちも、負けず劣らず首脳陣へ向けてアピールを行っており、2月1日の春季キャンプが待ち遠しい。そんな彼らの間近な目標は「開幕一軍入り」だ。昨年、その「開幕一軍」を勝ち取った新人選手はどれほどいたのだろう。
2018年の開幕一軍選手は13名
昨年、開幕一軍切符を手に入れた新人選手は13人。清宮幸太郎(日本ハム/早稲田実業)や安田尚憲(ロッテ/履正社高)といった注目の高卒ルーキーはおらず、全員が大学生もしくは社会人出身の「即戦力候補」だった。ポジション別で見ると、投手が4人、捕手が1人、内野手が4人、外野手が4人。
昨年の新人(2017年ドラフト指名選手)は、育成を除いて82名。パーセンテージに直すと、15.9%が開幕一軍切符を手に入れたことになる。その中で実際にスタメン入りを果たしたのは、藤岡裕大(ロッテ/トヨタ自動車)、菅野剛士(ロッテ/日立製作所)、神里和毅(DeNA/日本生命)、山足達也(オリックス/ホンダ鈴鹿)の社会人出身選手4名で、これをパーセンテージで表すと4.9%。およそ5%が開幕スタメンを掴んだということだ。だが、この中で開幕スタメンから年間を通して活躍したのは藤岡ただひとりだった。
プロ1年目に開幕からシーズン終了まで結果を残し続けることが、いかに困難かということがわかる。ちなみに大城卓三(巨人/NTT西日本)は開幕スタメンこそ逃したが、1年を通じ、二軍降格がなかったことも付け加えておきたい。
【2018年開幕一軍入りを果たした新人】
※は開幕スタメン
<投手>
伊藤翔(西武/四国・徳島)
田嶋大樹(オリックス/JR東日本)
鈴木博志(中日/ヤマハ)
西村天裕(日本ハム/NTT東日本)
<捕手>
大城卓三(巨人/NTT西日本)
<内野手>
山足達也(オリックス/ホンダ鈴鹿)※
藤岡裕大(ロッテ/トヨタ自動車)※
宮本秀明(DeNA/パナソニック)
田中俊太(巨人/日立製作所)
<外野手>
菅野剛士(ロッテ/日立製作所)※
神里和毅(DeNA/日本生命)※
楠本泰史(DeNA/東北福祉大)
島田海吏(阪神/上武大)
高卒ルーキーのスタメンは、大谷翔平を最後に13人
昨年の結果を見ると高卒新人選手の開幕スタメンはもちろん、一軍入りすることすら大きな「壁」となっている。例え高校時代に素晴らしい実績があったとしても、プロの世界で最初から活躍することは難しいということだ。ちなみに高卒ルーキーで開幕スタメンを掴んだのは、2013年の大谷翔平(日本ハム)が最後となっており、歴代でも13名のみだ。
しかし、今年の高卒新人たちは一味違う。大阪桐蔭高卒の根尾や藤原は甲子園に4度出場し、3度の優勝を飾った「規格外」。そして、賛否両論はあったが吉田もまた、秋田県大会から甲子園決勝の途中までをひとりで投げ抜いてきたタフネス右腕だ。
今までの常識が通用しない今年の高卒ルーキーたち、開幕一軍からスタメンを勝ち取ることができるだろうか。キャンプ、オープン戦の動向に注目したい。