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阪神・矢野監督×SPAIA⑤「日本一になってパレードしたい」

2019 2/4 15:00SPAIA編集部
矢野監督インスタ,ⒸSPAIA
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阪神タイガースの矢野燿大監督がSPAIA編集部を訪れ、株式会社グラッドキューブ代表取締役CEOの金島弘樹と対談した。進行役は矢野監督をよく知る市川いずみフリーアナ。監督就任にまつわる裏話から今季への意気込み、プライベートに至るまで濃密な対談を全5回でお届けする。最終回は今季の目標や期待する選手について。


《対談シリーズ》
阪神・矢野監督×SPAIA①「監督要請を受けた時、金本監督に会いに行きました」
阪神・矢野監督×SPAIA②「勝っても負けてもファンに感謝を伝えたい」
阪神・矢野監督×SPAIA③「シーズン開幕へ良いイメージしかない」
阪神・矢野監督×SPAIA④「楽しくやるって究極やと思うんです」

「2003年の優勝パレードはめちゃ感動した」

市川いずみ(以下、市川):矢野監督の今年の目標やチーム像は?

矢野燿大(以下、矢野):チャレンジする姿勢を見せて、負けても俺らの阪神やなとか、応援したいなと思ってもらえるチームにしたいですね。勝ったら応援してもらえるのは当たり前。かっこよすぎるけど、負けても応援してもらえる、ファンに何かを与えられるチームにしたい。球場に来てよかったな、テレビで観てよかったなと思ってもらえるチームにしたいんです。難しいことですけど。

市川:負けが込んでくると、よけいにそうでしょうね。

矢野:でも、僕の言う3つ(超積極的、諦めない、誰かを喜ばせる)をやってたら、そういうチームになっていくと思います。

市川:現役時代からファンを喜ばせたいというのはずっとあったんですか?

矢野:2003年の優勝パレードでめちゃ感動したんです。僕らはこんなに嬉しいのに、ありがとうと言われる。リーグ優勝だけであれだけ喜んでくれたんやから、日本一だったらどんなんやと。日本一になってパレードしたいとずっと思ってました。(2004年の)ストの時もファンの人たちは何か月も前から来てくれる予定だったのに、ストで試合がなくなってしまいました。僕らにとっては数あるうちの1回でも、その人にとっては特別な1回。ストの時にそれを感じました。

自分が何をやりたいかあぶりだしてる時に、優勝はもちろんですが、選手もフロントも首脳陣も全員が共有できるものは何かと考えたら、ファンを喜ばせることでした。優勝だけじゃ足りない。ファンが喜んでる姿を見たら僕らも嬉しいから、ファンを喜ばせて僕らも喜びたい。「ぶち破れ!オレがヤル」というスローガンもそうだけど、全員で共有できるものが軸になってます。

矢野監督1人,ⒸSPAIA

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市川:矢野さん自身がぶち破りたいものは何ですか?

矢野:今言ってることを実行すること。言うのは簡単。去年も積極的に盗塁にいけと言って、しょうもない盗塁でアウトになったりしたけど、チーム盗塁数1位になった。自分が信じて決めたことは実行します。自分自身もそこに挑戦していきます。

市川:では、選手にぶち破ってほしいものは何でしょうか?

矢野:自分自身。選手自身がその気にならないと、僕らは変えられへんでしょう。(3年目右腕の)才木なんて、開幕投手いかせてくださいと言ったり、面白いですね。そう思っておけよ、20歳でも任せるかも知れんぞと。日本人て謙遜するけど、言うことで自分にプレッシャーをかけるのはいいですね。

「小学校の頃は掛布さんが好きでした」

市川:ファンからの質問です。小学校時代に目指していた、憧れていた選手はどなたですか?

矢野:掛布さんが好きでした。サインボールを買ってもらったし。ラッキーゾーンぎりぎりに入った田淵さんのホームランも見ました。すごい高い打球で、テレビと実際に見るのはこんなに違うんやと思いましたね。

市川:掛布さんのどこに憧れたんですか?

矢野:ここ一番で打つとか。スター性ですかね。

市川:選手生活で一番思い出に残っているシーンは何ですか?

矢野:初ヒットが初ホームランだったのでよく覚えてるし、1試合3ホーマーも覚えてる。フェンスに上ってキャッチャーフライ捕ったのも覚えてる。ただ、一番と言われると難しいですね。

金島弘樹(以下、金島):1998年に「大魔神」佐々木さんから打ったサヨナラヒットもファンの間では印象深いです。

矢野:(東北福祉)大学の先輩やったから。あれは阪神ファンに僕を印象付けた最初の一歩かも。僕よりファンの方がそう思ってくれてるかも知れませんね。

市川:去年の1軍の成績を見ると、DeNA戦(17勝8敗)以外は負け越し。広島戦は10勝15敗、巨人戦は8勝16敗です。

矢野:広島には打ち負けてる感じがします。巨人はどうやろなぁ。

市川:意識しすぎでしょうか?

矢野:それは言い訳になりません。巨人と広島は意識していきたいです。そこに勝ち越していけば優勝に近付くので。ほかの3チームに気を抜くつもりはないけど、巨人と広島に勝てる野球を目指します。

市川アナ1人,ⒸSPAIA

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市川:巨人は凄いメンバーを揃えましたが、威圧感はありますか?

矢野:やってみないと分かりませんけど、そら強いでしょうね。でも、強いところが勝つと決まってる訳じゃない。現役時代も凄い打線の巨人とやると、負ける時はボコボコにやられたけど、それはいくつかのうちの一敗。トータルで勝ち越す方法を考えていけばいいと思います。

市川:広島はどうですか?

矢野:まだまだ伸びしろがありますね。去年も調子がよかった訳じゃないのに勝てるのは強さでしょう。2軍でもいい選手がいるなという印象でした。

市川:西投手やガルシア投手が入り、新外国人も獲りました。矢野監督の思うような補強はできましたか?

矢野:ファンが喜ぶという視点で考えると、生え抜きを育てることが軸です。安定したチーム力をキープするためにも必要だし。足りない部分を補うために補強しないといけない。将来が楽しみな若い投手がいて、力を出し切れてない投手もいて、さらに補強できたということは、しっかり勝負できる投手陣になったと思います。

市川:ファンもこの時期はローテーション投手が足り過ぎてると思うでしょうね。

矢野:そうですね。競争から勝ち上がってこないと本当に強いものは生まれにくいと思います。能力に惚れ込んで我慢して使う場合もあるけど、奪い取った方が強い。ラーメン屋でもスープの作り方を教えてもらうより、自分で苦労して作った方が味が変わらんと思うし、教えてくださいと言う選手より、苦労してあいつに勝ちたいと思ってローテをつかんだ投手の方がいいでしょう。

「生え抜きの4番育てたい。現状で最も近いのは大山」

金島:日本人の4番を育ててほしいのですが、候補は誰ですか?

矢野:今は大山でしょうね。可能性は(中谷)将大もあるでしょうが、現状で近いのは大山でしょう。

金島:昨年の後半戦で爆発しましたね。

矢野:本当の4番になるにはもうちょっと時間かかるでしょうけど、生え抜きのエースと4番は育てたい。金本監督も言ってたし、僕も目指すべきだと思います。

金島:打点を重視しますか?それとも本塁打を重視しますか?

矢野:それこそ姿勢だと思います。いい時は誰でもいい。あかん時にお前でよかったと言われたら最高の4番です。これが究極。

僕は代打でも投手交代でも失敗した時のことを考えて出すんです。このまま投げさせて打たれた時どう思うか、代えた投手が打たれた時どう思うか、どっちが悔いを残さないかを考えてチョイスします。もちろん、いい結果を出してほしいと思ってるけど、打たれた時に仕方ないと思えるかどうか。それが僕の責任やと。

金島:それを言える監督はなかなかいないと思います。

矢野:シーズン入ったら嘘って言ってるかも(笑)。

市川:祈ってるとか?

矢野:捕手はサイン出したら祈るしかできませんからね。声には出さないけど「打つなよ」ってつぶやいてます。打ち損じてくれたら声が出てしまいますよ。

金島:投手が投げた瞬間、打たれるかどうか分かりますか?

矢野:全部じゃないけど、けっこうな割合で分かります。特に変化球を空振りした後の真っすぐとか。変化球をマークしてると思って真っすぐでいくのに、打者の足を上げるタイミングが早かったりしたら、うわっとなります。

市川:年齢を重ねるとスイッチが入ってないとか、若い選手だと競争だけ意識してオープン戦でスタミナが切れたりとか、評価が難しくないですか?

矢野:そんなことはないです。開幕前に息切れするのは全員が通る道。息切れしたということはレギュラーになる力がないということです。2月の早い時期でも開幕でも結果を出して、1年間数字を残せるのがレギュラー。僕らが見るのはダメな時にどんなことをするかです。調子がいい時は誰でもできる。こいつなら次は打つと期待を持たせてくれるのか、これじゃ使いにくいなと思うか。

市川:ルーキーはどうですか?

矢野:まだまだ分かりませんが、競争を激しくするために、競争に入ってこれるだろうという社会人を選択しました。近本も新人王を獲って、赤星の記録を抜くと大きな目標を言うのは大したもの。真面目そうな性格だから、普通は周りにどう思われるやろとか考えるでしょう。1位のプレッシャーもあるし。それをライバルの高山とか(中谷)将大とかも見てるから競争は激しくなりますよ。

市川:最後にファンの皆さんへメッセージをお願いします。

矢野:今シーズン1試合でも多くファンの皆さんに喜んでもらえるように頑張りますのでご声援よろしくお願いします。

矢野監督3人,ⒸSPAIA

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