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【阪神大賞典】長距離適性高いディープインパクトの血に注目 ショウナンラプンタら有力馬の血統を解説

2025 3/20 06:00坂上明大
阪神大賞典に強い血統,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

傾向解説

天皇賞(春)の最重要ステップレースに位置づけられる阪神大賞典。別定GⅡという実績馬が出走しやすい条件から他の3000m超の重賞よりもレースの格が高い一戦です。昨年は本レースの勝ち馬であるテーオーロイヤルが天皇賞(春)も制しています。

本記事では血統面を中心に、阪神大賞典のレース傾向を整理していきます。

まず紹介したいデータは単勝オッズ別成績。前述の通り、別定GⅡという賞金面でも斤量面でも実績馬が出走しやすいレース条件のため、芝3000m戦という特殊な条件ではあるものの、地力の足りない馬が適性だけで逆転できるようなレースとはいえないでしょう。

格上馬の出走頭数によってはチャンスが生まれますが、連対馬20頭中19頭が単勝オッズ19.9倍以下、勝ち馬においては10頭中9頭が同9.9倍以下というデータからも、ある程度人気を集めるような格上馬から狙うのが好手といえそうです。

単勝オッズ別成績(過去10年),ⒸSPAIA


<単勝オッズ別成績(過去10年)>
19.9倍以下【10-9-6-23/48】
勝率20.8%/連対率39.6%/複勝率52.1%/単回収率77%/複回収率115%
20.0倍以上【0-1-4-65/70】
勝率0.0%/連対率1.4%/複勝率7.1%/単回収率0%/複回収率61%

血統面ではディープインパクトやステイゴールドなどサンデーサイレンス系の中でも長距離適性の高い種牡馬に注目です。

ディープインパクトやステイゴールドの直仔は少なくなってきましたが、2021、22年の1着馬ディープボンドはディープインパクト系キズナ産駒、2022年の2、3着馬はステイゴールド系オルフェーヴル産駒と孫世代においても両父系のスタミナはしっかりと継承されています。

また、昨年は6番人気2着のワープスピードが母父ディープインパクトと母方に持つ形でも好走。特に小柄な馬はステイヤーの可能性が高いため、馬体重にも注目してみるとさらに適性評価の精度は高まるでしょう。

ちなみに、ステイゴールド内包馬の成績は特筆するほどではありませんが、人気薄での4~5着が非常に多い点は特徴的。昨年も7番人気4着プリュムドールと8番人気5着ゴールデンスナップがともにステイゴールド系ゴールドシップ産駒でした。適性面についてはディープインパクトとともに最上位の評価を与えたい名種牡馬です。

血統別成績(単勝オッズ19.9倍以下・過去10年),ⒸSPAIA


<血統別成績(単勝オッズ19.9倍以下・過去10年)>
ディープインパクト内包馬【4-3-2-6/15】
勝率26.7%/連対率46.7%/複勝率60.0%/単回収率104%/複回収率172%
ステイゴールド内包馬【2-1-1-5/9】
勝率22.2%/連対率33.3%/複勝率44.4%/単回収率80%/複回収率75%



有力馬の血統解説

・ショウナンラプンタ
母フリアアステカはダート2000mのアルゼンチンGⅠラプラタオークス優勝馬。ディープインパクト系キズナ産駒の本馬も前走馬体重540kgの巨漢馬で、伸びの良い馬体からもパワー型の中長距離馬といった印象です。

「ピュアステイヤー」という印象はありませんが、ハイレベルな菊花賞でも0.4秒差の4着。前哨戦の今回なら地力の高さで勝ち負けになっても驚けません。

・ヴェローチェエラ
母母Imperial Beautyは2001年アベイドロンシャン賞を制したスプリンターですが、母イプスウィッチは芝2000mのフランスGⅢで2着2回。リアルスティール産駒の本馬もNureyev≒Sadler's Wellsの5×4やデインヒルなどを持つ底力に優れた中距離馬で、上がりのかかる芝2000m前後がベスト条件ではないでしょうか。

阪神大賞典と相性が良いディープインパクト父系ではありますが、今回は2200m→3000mへの大幅距離延長が課題となりそう。

・ワープスピード
母ディープラヴは未勝利馬ですが、その父は長距離適性の高いディープインパクトで、本馬の半姉ディヴァインラヴは2021年菊花賞で3着。ドレフォン産駒の本馬も母譲りの豊富なスタミナが持ち味で、昨年は天皇賞(春)5着、メルボルンC2着など超長距離路線で堅実な活躍を見せました。勝ち味に遅い馬ではありますが、今回も堅実な末脚に期待したい一頭です。

2025年阪神大賞典の有力馬の血統と評価,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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