最近11年間でBクラス10回の中日
2年連続最下位に沈んだ中日ドラゴンズ。2013年以降の11年間でBクラス10回と長らく低迷している。
低迷の要因は様々あるだろうが、ドラフトでの戦力補強はできているのだろうか。リーグ優勝した阪神は大山悠輔、近本光司、佐藤輝明、森下翔太ら、オリックスは山﨑福也、山岡泰輔、田嶋大樹、宮城大弥、山下舜平大らドラフト1位で入団した選手が着実に力をつけ、主力となっている。
そこで高校生と大学生・社会人の分離ドラフトから統合された2008年以降15年間のドラフト1位選手とその通算成績をまとめてみた。
先発ローテ担った小笠原慎之介、柳裕也、高橋宏斗
最も実績を残しているのが2010年1位の大野雄大だ。4月に左肘のクリーニング手術を受け、今季は1試合の登板に終わったが、通算では228試合登板で84勝87敗、防御率3.02。2020年には最優秀防御率と最多奪三振のタイトルを獲得し、沢村賞にも輝いた。来季の巻き返しに向けてキーマンの一人だ。
2015年1位の小笠原慎之介、2016年1位の柳裕也、2020年1位の高橋宏斗は今季、先発ローテーションを担った。小笠原は25試合で7勝12敗、柳は24試合で4勝11敗、高橋は25試合で7勝11敗といずれも負け越したものの、打線の援護に恵まれなかった試合もある。シーズンを通してローテーションを守り抜いたのは評価されるべきだろう。
地元の東邦高から2019年1位で入団した石川昂弥は今季121試合に出場して規定打席に到達。打率.242、13本塁打、45打点と成長の跡を示した。
得点力不足解消は喫緊の課題
ただ、その他の選手はドラフト1位としてはやや物足りない。2011年1位の高橋周平は通算989試合に出場して802安打を放っており、2020年にリーグ6位の打率.305をマークした実績を持つが、今季は86試合出場で打率.215と不本意な成績に終わった。
2012年1位の福谷浩司は2021年に開幕投手を務めたこともあるが、今季は14試合登板で3勝4敗、防御率5.17。2018年1位の根尾昂は2022年に投手転向したものの、今季は2試合に登板したのみだった。
2021年1位のブライト健太は今季一軍初出場を果たし、33試合で打率.241。2022年1位の仲地礼亜は9試合登板で2勝5敗、防御率4.98だった。プロ入り間もないため今後の成長を待つしかないが、現時点では1位指名の期待に応えているとは言えない。
2008年1位の野本圭、2013年1位の鈴木翔太、2014年1位の野村亮介はすでにユニフォームを脱いでいる。最近15年間の1位は投手10人、内野手3人(根尾はプロ入り後投手転向)、外野手2人。大野、小笠原、柳、高橋宏斗、石川らを見れば、1位入団の選手は一定の活躍をしていると言えるものの、やはり野手が少ない。
成長著しい2019年5位の岡林勇希や現役ドラフトで活躍した細川成也ら新戦力も台頭しているが、リーグ最下位のチーム打率.234、5位の広島より100点以上少ない総得点390などの数字を見ると、野手の育成、補強は喫緊の課題のはずだ。
今秋ドラフトでは外野手の度会隆輝(ENEOS)を抽選で外し、亜細亜大の右腕・草加勝を1位指名。抽選ばかりはどうしようもないが、得点力不足の課題をどうやって解決していくのか。“強竜”復活のためには、今オフから来春キャンプにかけて大きなテーマだろう。
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