高い盗塁阻止率が光る柘植世那
松井稼頭央監督が就任し、ペナント奪回を狙う西武の最大の懸案事項は、オリックスにFA移籍した森友哉の後継者問題だ。2019年に首位打者に輝くなど通算打率.289、102本塁打をマークしている「打てる捕手」の穴は簡単には埋まらない。
直近の実績で考えると、正捕手候補の最右翼は柘植世那だろう。健大高崎高からHonda鈴鹿を経て入団4年目を迎える25歳。2022年の打撃成績は42試合に出場して打率.173、1本塁打、5打点、出塁率.202、OPS.452だった。
守備成績は補殺35、失策2、併殺3、捕逸3、守備率.993、盗塁阻止率.447の数字が残っている。出場試合数が少ないとはいえ、「甲斐キャノン」と呼ばれる強肩の甲斐拓也(ソフトバンク)でも2021年の盗塁阻止率は.452、2022年は.343だから、柘植の強肩は数字が証明している。
やはり課題は打撃。二軍では2021年が37打数12安打の打率.324、2022年が36打数11安打の打率.306をマークしている。思い切りの良さが持ち味だが、確実性を上げていけば正捕手に最も近いと言えるだろう。
新人ながら26試合に出場した古賀悠斗
柘植を追うのが古賀悠斗だ。福岡大大濠高から中央大を経て2021年ドラフト3位で入団。ルーキーイヤーの昨季は26試合に出場し、打率.155、1本塁打、4打点、出塁率.265、OPS.506の成績を残した。
守備成績は補殺18、失策0、併殺3、捕逸1、守備率1.000だった。試合数が少ないため参考値ではあるが、気になるのは盗塁阻止率。企図数14に対して全て成功を許し、阻止率.000だった。
高校時代に通算52本塁打を放ち、強肩強打の触れ込みでプロ入りしただけに、経験を積めば素質開花する可能性はある。まだ23歳と若いため、チャンスをつかめば大きく伸びるかも知れない。
実績では一番の岡田雅利
最もキャリアが豊富なのは岡田雅利だ。大阪桐蔭高から大阪ガスを経て10年目を迎える33歳。昨季は1試合の出場にとどまったが、2017年には68試合、2018年には52試合に出場して打率.272をマークした実績もある。
2017年の守備成績は補殺32、失策1、併殺6、捕逸1、守備率.997、盗塁阻止率.387の数字を残している。森友哉とは年齢は違うが、ドラフト同期入団で同じ大阪桐蔭高出身。実績では捕手陣で一番だけに、投手陣を引っ張る意味でも、森の「後継者」としては打ってつけの存在かも知れない。
ほかにも九州学院高から徳山大を経て入団5年目の中熊大智、遊学館高から入団5年目で育成契約となった牧野翔矢、札幌光星高から北海道教育大岩見沢校を経て入団6年目の齊藤誠人ら経験の浅い捕手にもチャンスが巡ってくる可能性はある。
昨秋ドラフトでは九州国際大付高の野田海人を3位指名。投手としてマウンドにも立ち、最速146キロをマークした地肩の強さは折り紙付きだ。
いずれもしても、今季は捕手を育てながら勝つことが求められる。松井監督や野田浩輔バッテリーコーチら首脳陣に課せられた使命は、西武の今後を占う上で極めて重いと言えそうだ。
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