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大谷翔平がプロ入りした2012年ドラフトの“勝ち組”はどの球団?

2023 1/12 06:00SPAIA編集部
ヤクルトの石山泰稚と小川泰弘,ⒸSPAIA
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DeNAは三嶋一輝と宮﨑敏郎を獲得、阪神は4球団競合の藤浪晋太郎

日本プロ野球界が輩出した現役のトップスターはエンゼルスの大谷翔平で異論はないだろう。メジャー希望の高校生投手を日本ハムが敢然と指名した2012年ドラフトから丸10年が経過した。大谷を輩出した球団として日本ハムのイメージは上がり、有形無形の恩恵も受けたが、戦力としてだけ見ればわずか5年しか在籍していなかったこともまた事実だ。

同年の指名選手でいまだ現役を続ける選手は減ってきたが、結果的に“勝ち組”と言えるのはどの球団だろうか。改めて指名選手を振り返ってみたい。指名順が1番目だったDeNAから見ていこう。

【DeNA】
1位 白崎浩之内野手
2位 三嶋一輝投手
3位 井納翔一投手
4位 赤堀大智外野手
5位 安部建輝投手
6位 宮﨑敏郎内野手
育成1位 今井金太投手

DeNA1位の白崎浩之は2018年にトレードでオリックスに移籍し、2020年に戦力外となった。通算413試合に出場して打率.220、16本塁打だった。今もDeNAのユニフォームを着ているのは三嶋一輝と宮﨑敏郎の2人。今思えば宮﨑を6位で獲得できたのは大きい。井納翔一はFAで巨人に移籍したものの1勝しか挙げられず、現役引退を表明した。

【オリックス】
1位 松葉貴大投手
2位 佐藤峻一投手
3位 伏見寅威捕手
4位 武田健吾外野手
5位 森本将太投手
6位 戸田亮投手
育成1位 原大輝捕手
育成2位 西川拓喜外野手

オリックスは藤浪晋太郎、松永昂大を抽選で外し、大阪体育大の左腕・松葉貴大を1位指名。2019年にトレードで中日へ移籍した。3位で指名した東海大の伏見寅威は2022年オフにFA宣言して日本ハムへ移籍。2012年ドラフト組で現在もオリックスのユニフォームを着ている選手はいなくなった。

【阪神】
1位 藤浪晋太郎投手
2位 北條史也内野手
3位 田面巧二郎投手
4位 小豆畑眞也捕手
5位 金田和之投手
6位 緒方凌介外野手

阪神は4球団競合の大阪桐蔭・藤浪晋太郎を獲得。春夏連覇した実績から当時は大谷以上に高評価されていたが、現状は大谷に水をあけられている。2位の光星学院・北條史也とともに、甲子園の優勝校と準優勝校から将来性の高い2人を獲得したものの、期待が大きかった分、物足りなさが残るのは事実だ。

【ロッテ】
1位 松永昂大投手
2位 川満寛弥投手
3位 田村龍弘捕手
4位 加藤翔平外野手

ロッテは4人しか指名しなかったが、田村龍弘は現役でプレー、松永昂大は2022年まで現役で2023年からコーチ就任した。加藤翔平も2021年にトレードで中日に移籍したものの現役を続けており、少数精鋭だったと言えるだろう。田村は松川虎生に出場機会を奪われたが、背番号22から27に変更して心機一転を図っている。

ヤクルトは1位で石山泰稚、2位で小川泰弘を獲得

【広島】
1位 高橋大樹外野手
2位 鈴木誠也外野手
3位 上本崇司内野手
4位 下水流昂外野手
5位 美間優槻内野手
育成1位 辻空投手
育成2位 森下宗外野手

広島で現役を続けているのは3位で指名した明治大・上本崇司のみ。鈴木誠也はポスティングシステムでカブスへ移籍し、鈴木誠也以上の高評価を受けて1位指名された龍谷大平安・高橋大樹はプロ通算49試合出場にとどまり、2021年に戦力外通告を受けた。

【楽天】
1位 森雄大投手
2位 則本昂大投手
3位 大塚尚仁投手
4位 下妻貴寛捕手
5位 島井寛仁外野手
6位 柿澤貴裕外野手
育成1位 宮川将投手

楽天は東福岡高の左腕・森雄大を1位指名したが、2022年限りで現役を引退。2位の三重中京大・則本昂大は1年目に開幕投手を務めるなど主力として活躍し、ここまで106勝を挙げている。

【ヤクルト】
1位 石山泰稚投手
2位 小川泰弘投手
3位 田川賢吾投手
4位 江村将也投手
5位 星野雄大捕手
6位 谷内亮太内野手
7位 大場達也投手

2012年ドラフト最大の勝ち組はヤクルトかも知れない。1位・石山泰稚と2位・小川泰弘は先発とリリーフの主力として活躍し、ともにFA権を取得しながら残留する孝行息子でもある。6位・谷内亮太は2018年オフにトレードで日本ハムに移籍し、現在も現役でプレーしている。

【ソフトバンク】
1位 東浜巨投手
2位 伊藤祐介投手
3位 髙田知季内野手
4位 真砂勇介外野手
5位 笠原大芽投手
6位 山中浩史投手
育成1位 八木健史捕手
育成2位 大滝勇佑外野手
育成3位 飯田優也投手
育成4位 宮崎駿外野手

ソフトバンクは育成を含めて10人を指名したが、現役は1人だけとなった。3球団競合の末に獲得した東浜巨は、2017年に最多勝に輝くなど通算63勝を挙げている。髙田知季は2022年で引退してリハビリ担当コーチに就任、真砂勇介は2022年に戦力外となり日立製作所でプレーする道を選んだ。

西武は増田達至を獲得、巨人は2年越しで菅野智之

【中日】
1位 福谷浩司投手
2位 濱田達郎投手
3位 古本武尊外野手
4位 杉山翔大捕手
5位 溝脇隼人内野手
6位 井上公志投手
7位 若松駿太投手

中日は慶応義塾大の右腕・福谷浩司を1位指名。実働10年で通算256試合に登板し、21勝28敗38セーブ53ホールドをマークしている。2位で花巻東・大谷翔平、大阪桐蔭・藤浪晋太郎とともに「高校BIG3」と呼ばれた地元・愛工大名電の濱田達郎を指名したが、プロ通算5勝に終わり、2022年限りで引退した。5位の九州学院・溝脇隼人は2022年に自己最多の87試合に出場。遅咲きの花が開きつつある。

【西武】
1位 増田達至投手
2位 相内誠投手
3位 金子侑司外野手
4位 髙橋朋己投手
5位 佐藤勇投手
育成1位 水口大地内野手

西武は東浜巨を抽選で外し、NTT西日本の増田達至を1位指名。クローザーとして通算175セーブを挙げており、2020年にはFA権を行使した上で残留するなどチームへの貢献度は高い。3位の立命館大・金子侑司も通算936試合に出場し、687安打、221盗塁をマーク。2度の盗塁王に輝いている。

【巨人】
1位 菅野智之投手
2位 大累進内野手
3位 辻東倫内野手
4位 公文克彦投手
5位 坂口真規内野手
育成1位 田原啓吾投手
育成2位 松冨倫内野手

巨人は前年に日本ハムの1位指名を拒否して東海大に籍を残しながら練習していた菅野智之を単独1位指名。晴れて念願の巨人入りを果たし、エースとして通算117を挙げている。現在も巨人のユニフォームを着ているのは菅野だけだが、4位の公文克彦は日本ハム、西武と移籍して現役を続けている。

【日本ハム】
1位 大谷翔平投手
2位 森本龍弥内野手
3位 鍵谷陽平投手
4位 宇佐美塁大外野手
5位 新垣勇人投手
6位 屋宜照悟投手
7位 河野秀数投手

日本ハムはメジャー希望を表明していた大谷翔平の1位指名を強行。結果的には入団して二刀流として大成する礎となった。日本球界の宝を輩出したという点で日本ハムの果たした功績は大きい。ただ、現在も日本ハムでプレーしている選手は皆無。3位の中央大・鍵谷陽平は2019年に巨人にトレード移籍し、通算23勝15敗6セーブ82ホールドの成績を残している。

2012年ドラフト組を、長くチームに貢献しているかという点で見れば、ヤクルト、DeNA、西武あたりが目立つ。アマチュア時代の評価が高くても、プロに入って大きな成功を収める選手はほんの一握りだ。2023年もルーキーたちの活躍に期待したい。

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