囲い込みたい球団と単年契約したい選手の駆け引きも
プロ野球のシーズンオフの大きな話題のひとつがフリーエージェントだ。2022年は8選手がFA権を行使し、そのうち阪神・西勇輝と岩崎優、西武・外崎修汰の3選手は残留。ソフトバンクの千賀滉大はMLBメッツへの移籍が決まった。
国内他球団への移籍は4人。西武・森友哉はオリックスへ、オリックス・伏見寅威は日本ハムへ、DeNA・嶺井博希と日本ハム・近藤健介はソフトバンクへ移籍。最近は育成にシフトしていたソフトバンクが、2013年オフの中田賢一、鶴岡慎也以来のFAダブル獲りに成功した。
最近はFA権取得の近い選手と複数年契約を結んで囲い込む球団も少なくない。ただ、移籍する意思のない選手はサインするが、「他球団の評価を聞いてみたい、移籍するかも」という選手は単年契約を選ぶ。オフの契約更改交渉では、そんな球団と選手の駆け引きが垣間見える。
2023年も仮にFA宣言すれば目玉となりそうな大物がいる。順調にいけば2023年中に国内FA権を取得すると見られる主な選手は以下の通りだ。
【オリックス】
山﨑福也、若月健矢、大城滉二、小田裕也
【ソフトバンク】
武田翔太、東浜巨
【西武】
平井克典、山川穂高、源田壮亮
【楽天】
則本昂大、茂木栄五郎、鈴木大地
【日本ハム】
加藤貴之
【ヤクルト】
田口麗斗、西浦直亨
【DeNA】
石田健大、今永昇太、宮國椋丞、戸柱恭孝、柴田竜拓
【巨人】
高木京介
【広島】
中﨑翔太、一岡竜司、磯村嘉孝
【中日】
岩嵜翔、岡田俊哉、福谷浩司
二冠王の山川穂高は宣言なら最大の目玉、今永昇太も注目
目を引くのは2022年に41本塁打、90打点で二冠王に輝いた山川穂高だろう。契約更改交渉では1億4000万円増の2億7000万円でサイン。4年契約を提示されたが、単年契約を選んだという。本塁打王3回、通算218本塁打と実績は文句なし。年俸は高いが、もしFA宣言すれば資金力のある球団で争奪戦となる可能性も十分だ。
もう一人の大物、源田壮亮は1億1000万円増の3億円で5年総額15億円の大型契約でサイン。球団は源田の囲い込みには成功している。
投手で動向が注目されるのはDeNAの今永昇太。2022年は11勝を挙げ、4000万円増の年俸1億4000万円で単年契約を結んだ。ただ、メジャーリーグ希望も伝えられており、国内FA権を行使するかは微妙だ。
オリックスの山﨑福也も気になる存在。2022年は5勝8敗だったが、日本シリーズではDH制のない第2戦と第6戦(ともに神宮)で先発し、得意の打撃でも貢献した。年俸も6000万円と高くないだけに、FA宣言すればセ・リーグからお声がかかる可能性もある。
また、2022年に捕手が3人も移籍したことを考えると、若月健矢も宣言すれば欲しがる球団はありそうだ。森友哉の加入で出番が減ることが予想され、年俸も4800万円と手頃。簡単に育成できないポジションだけに、実績のある捕手はニーズがあるだろう。
開幕投手内定の日本ハム加藤貴之も
日本ハムの加藤貴之も注目選手の一人だ。2022年は8勝7敗、防御率2.01と好成績。6200万円増の年俸1億3500万円で単年契約を結んでいる。新庄剛志監督から開幕投手に指名されている左腕に、熱視線を注いでいる球団は少なくないのではないか。
ソフトバンクの武田翔太も2桁勝利を2度マークした実績の持ち主だが、2023年は4年契約の2年目。楽天・則本昂大も7年契約の5年目となる。
楽天のクローザー、松井裕樹はすでに国内FA権を取得済だが、2023年が4年契約の最終年。年俸2億5000万円と高額ではあるものの、2022年も32セーブを挙げて最多セーブに輝くなど通算197セーブの左腕がFA宣言すれば手を挙げる球団はあるだろう。
同じ楽天の鈴木大地もFAでロッテから移籍した際に結んだ4年契約の最終年となる。中日からトレードで移籍した阿部寿樹や新外国人のマイケル・フランコら内野のポジション争いは激化。年俸2億円と安くないが、2度目のFA宣言する可能性もゼロではない。
ヤクルトの左腕・田口麗斗は1800万円増の8800万円で契約を更改。廣岡大志との交換トレードで巨人から移籍して2年が経ち、2年連続で優勝したチームから出ていく可能性は高くないと見られる。
FA権はプロ野球選手にとって、長く活躍してきた証明であり、ひとつの勲章と言ってもいいだろう。2023年のシーズンオフは熱いストーブリーグが繰り広げられるだろうか。まずはシーズンでの活躍を注視したい。(金額はいずれも推定)
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