上位チームは2番が機能
2番打者は、小技が得意で器用な打者というイメージが長年定着していた。ただ、近年はチームで一番の強打者が入るなど、起用パターンにも変化が出てきている。セ・リーグ各チームで最も2番でのスタメン出場が多かった選手を比較し、チーム成績との相関を考察する。
・パ・リーグの明暗を分けた「2番打者」 比較してみえてきたその重要性
6年ぶり8度目のリーグ優勝を果たしたヤクルトで最も2番を任されたのは、ベテランの青木宣親。主に6月以降に2番に座って打線を牽引し、優勝に大きく貢献した。次に多いのは主に4~5月の37試合で2番を打った捕手の中村悠平。しぶとい打撃と犠打(14個)で、2番だけでなく、ドミンゴ・サンタナとホセ・オスナの間を打つ6番打者としても機能し、繋ぎ役として打線の中で重要な役割を担った。
阪神は盗塁王にも輝いたルーキーの中野拓夢が最多。シーズン終盤の9月~10月に2番を任され、優勝争いを繰り広げるチームの中で奮闘した。次に多いのが糸原健斗。主に開幕から5月中旬にかけて2番を任され、シーズン前半に首位を快走したチームの原動力となった。だが、5月中旬に下肢のコンディション不良で出場登録を抹消されると、5~8月は打率が低迷。9~10月で挽回して打率.286と持ち直したものの、目標としていた3割には届かなかった。
広島は小園海斗が2番に定着
巨人は坂本勇人が64試合で最多。次がゼラス・ウィーラーの47試合と、主に強打者を2番で起用した。それ以外にも松原聖弥や吉川尚輝ら8名が起用されており、上位2チームと比べて試行錯誤を繰り返していたという見方もできる。
その傾向がより顕著に表われていたのが下位の3チーム。広島は菊池涼介や長野久義、羽月隆太郎、中村奨成などタイプが異なる11人の選手を2番に起用している。それでも、シーズン終盤の9月以降は小園海斗が定着。その間、6個の犠打を決めたほか、打率.295(200打数59安打)の好成績を残した。
主砲・鈴木誠也の爆発的な活躍もあり、逆転でのクライマックスシリーズ(CS)出場にあと一歩というところまで迫ったが、小園が2番にハマったことも打線に好影響を与えていた。
DeNAは15人もの選手を起用
中日は最も2番を打った京田陽太でも、わずか31試合。それ以外では三ツ俣大樹や滝野要、根尾昂など実に13人もの選手が2番で起用された。京田は3月の打率.211、4月が.224とシーズン序盤から調子が上がらず。9月に打率.309と挽回したものの、シーズンを通して不完全燃焼に終わった。
最下位に甘んじたDeNAで、最も2番を任されたのは柴田竜拓。打率.234と低迷し、特に対左投手の打率は.179。ここまで打率が低いと、相手の先発投手が左腕の場合に起用をためらわざるをえない。柴田以外では、伊藤光や森敬斗、宮﨑敏郎、田中俊太ら15人もの選手を2番として起用しており、首脳陣の苦悩がうかがえる。
DeNAは、ルーキーの牧秀悟や佐野恵太ら今季3割をマークした打者が4人(リーグ最多)もおり打力面で期待できるが、その一方で大味で雑な印象も否めない。クリーンナップにつなぐ2番打者をある程度固定できるかどうかが、得点効率化の鍵を握りそうだ。
各チームの2番打者を比較してみると、ある程度固定(少人数)できているとチームの成績も良い傾向がある。作戦面でも他の打順と比べて様々なケースが想定されやすいだけに、1~2人に固定するのがベターかもしれない。
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