史上最年少400二塁打「盗塁したのと一緒」
2021年10月に史上最年少で通算400二塁打を達成した巨人・坂本勇人。推定年俸6億円で契約更改した12月15日に「自ら得点圏に行くのに価値がある。盗塁したのと一緒」と熱弁したのを聞いてなるほどと感じた。
確かに「打率2割8分で二塁打30本の打者」と「打率3割で二塁打10本の打者」を比較したら、前者に分がある。坂本は通算158盗塁をマークしているが、今季はわずか2盗塁。打率は.271、26二塁打だった。
セ・リーグの規定打席以上で「盗塁1桁で30二塁打以上」は牧秀吾(2盗塁35二塁打)、佐野恵太(0盗塁34二塁打)、宮崎敏郎(0盗塁32二塁打)のDeNAトリオだけ。足が速くない、あるいは加齢により衰えてきた選手にとって、一気に得点圏まで進む二塁打の価値はより高いと言えるだろう。
シュート打ちの名人、二塁打王・山内一弘との比較
打撃フォームは大別して2種類ある。一つは中西太(西鉄)の「体重移動打法」、もう一つは山内一弘(毎日)の「軸回転打法」だ。前者はわかりやすく言うと「テニス打ち」。代表的な打者に原辰徳(巨人)らがいた。打った直後、後ろ側の足が宙に浮いている。後者は落合博満(ロッテほか)。後ろ側の足に体重を残してコマのように回転する。
「シュート打ちの名人」と異名を取った山内の打撃理論の手ほどきを受けたことがある。「内角球に差し込まれて詰まってもいいんだ。(右打者の場合)左ヒジを突き出して詰まった力を外に逃がしてやる。すると振り切れて、打球はフェンス際まで飛んでいく。ぎりぎりだってフェンスを越えれば本塁打だし、フェンス直撃なら二塁打になる」。事実、長い間、通算二塁打記録448を保持していた。
「内角打ちの天才」と呼ばれる坂本は自身の打撃理論について、上田剛史氏や森本稀哲氏のYouTubeチャンネルなどで「ボールの内側にバットを入れる『インサイドアウト』で打つ。内角球を打つイメージは、バットのヘッドを落としてもいい。すると左脇が自然と開く。ミートしてそのまま振って、最後の最後にバットのヘッドを返す」という主旨の説明をしている。
表現は違うが、言っている内容は同じだ。打球は左翼・右翼フェンス直撃、左中間・右中間を破り、二塁打となる。
立浪、イチローの二塁打記録も射程圏
現在、日米通算二塁打のベスト5はイチローの日米573二塁打、松井稼頭央の日米535二塁打、福留孝介の日米519二塁打、松井秀喜の日米494二塁打、立浪和義の487二塁打(NPBのみ)となっている。
坂本はプロ15年で通算402二塁打だから、1年平均約27本。このペースで順調に二塁打を打ち続ければ、イチローを抜き去るまで単純計算であと7年かかる。
通算2000安打、ゴールデングラブ賞5度。今年4月には、鳥谷敬(ロッテ)を超える単独1位の「遊撃手出場1778試合」をマークした。すでに名実ともに「歴代ナンバーワン遊撃手」と言っても過言ではない。坂本にまた一つ勲章が加わる日を楽しみに待ちたい。
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