3回に2回は当てるロッテ、くじ運でチーム力アップ?
プロ野球ドラフト会議が11日に行われる。指名を待つアマチュア選手にとっては「運命の一日」。特に1位指名が競合して抽選になった場合は、希望球団か否かで明暗が分かれることもある。これまでも悲喜こもごものドラマがあった。
一時は「逆指名制度」や「自由獲得枠」「希望入団枠」などが導入され、一部自由競争となった。しかし、結果的には契約金の高騰や裏金などの不正を招いたこともあり、2008年から高校生ドラフトと大学・社会人ドラフトを再統合して一括開催。1巡目指名が競合した場合は抽選となった。
2008年から2020年の13年間でドラフト1巡目指名が競合した場合のくじ運をランキングにしてみた。
くじ運最強を誇るのはロッテ。15回抽選して10回も当たりくじを引き当てている。今季パ・リーグの優勝を争っているのも、くじ運と無関係ではないだろう。
年度別の結果が下の表だ。
昨年は4球団競合の早稲田大・早川隆久は楽天に譲ったものの、ヤクルトと競合した法政大・鈴木昭汰はきっちり引き当てた。
2019年は最大の目玉だった大船渡高・佐々木朗希に4球団競合したが、井口資仁監督が強運を発揮。2018年も甲子園で春夏連覇した大阪桐蔭高の藤原恭大を3球団競合にもかかわらず引き当てている。
さらに2017年は早稲田実・清宮幸太郎は外したものの外れ1位で3球団競合した安田尚憲をゲット。2016年は創価大・田中正義を外しながら、外れ1位で5球団競合した桜美林大・佐々木千隼は外さなかった。
2015年も楽天と競合した仙台育英高・平沢大河を引き当てており、昨年まで6年連続で抽選になりながら悪くても外れ1位で仕留めているのだ。しかも、獲得した多くの選手たちが一軍で活躍していることから、くじ運がチーム力アップに影響していることは間違いない。
今年は明桜高・風間球打、市和歌山・小園健太、高知高・森木大智ら高校生投手の評価が高いが、飛び抜けた目玉はおらず1位指名を公表している球団も少ない。ギリギリまで水面下での駆け引きが続きそうで、各球団の指名が分散する可能性も十分にある。もし競合しても、競合する球団が少ないほど、ロッテのくじ運の強さが発揮されるかもしれない。
巨人は2019年まで4年連続外れ外れ1位
13年間の抽選の勝率5割以上は、ロッテのほかに6勝4敗の中日と4勝4敗の西武の3球団のみ。2球団競合でも当たりくじを引く確率は50%だから、勝率が5割以上を記録している球団は相当な強運と言っていい。
逆に苦戦しているのが巨人とオリックス。巨人は2勝11敗で勝率.154だ。
巨人は2016年から2019年まで4年連続で抽選を2度外し、外れ外れ1位だった。2020年も4球団競合した近畿大・佐藤輝明を外し、亜細亜大・平内龍太を無抽選で指名した。
13年間で引き当てたのは2008年にソフトバンクと競合した東海大相模高・大田泰示と、2011年に外れ1位でDeNAと競合した英明高・松本竜也の2人だけ。しかも2人ともすでに巨人のユニフォームを脱いでいる。
結果論ではあるが、もし、村上宗隆や佐藤輝明の当たりくじを引いていたら、今頃どんな強力打線になっていただろう。抽選を避けて岡本和真のように一本釣りを狙う方が巨人にとっては得策かも知れない。
オリックスは2017年の田嶋大樹のみ
くじ運が最悪なのは1勝10敗のオリックス。13年間で当たりくじを引いたのは2017年のJR東日本・田嶋大樹のみとなっている。
2010年は早稲田大・大石達也、東海大・伊志嶺翔大、履正社高・山田哲人と3度外し、前橋商・後藤駿太を外れ外れ外れ1位で指名した。
昨年までも3年連続で外しているが、最終的に獲得した選手がプロ入り後に伸びている。2018年は報徳学園・小園海斗を外したものの天理高・太田椋を指名。3年目の今季は開幕スタメンに抜擢され、ここまで3本塁打を放つなど成長の跡を示している。
2019年は東邦高・石川昂弥、JFE西日本・河野竜生を外して興南高・宮城大弥を外れ外れ1位で指名。結果的にはこれが大正解で、今季の大ブレイクにつながった。
昨年も佐藤の外れ1位で指名した福岡大大濠高の右腕・山下舜平大は将来性を高く評価されている。
25年ぶりの優勝を狙う今年はどんな戦略に出るのか。日本中が胸を高鳴らせて「運命の瞬間」を待っている。
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