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ロッテのドラフト補強ポイント 左のリリーバーと長打力のある即戦力野手は必須

2021 10/6 11:00浜田哲男
ロッテの井口資仁監督,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

若手が徐々に存在感を放つも課題は多い

井口資仁監督が2017年に就任以来、ドラフトでは安田尚憲、藤原恭大、佐々木朗希ら高校生のスターを指名し獲得してきたロッテ。

今季はシーズン序盤に安田が打点を稼ぎ、7~8月には藤原が月間MVPを獲得する活躍するなど打線を牽引。佐々木朗希は将来のエースを思わせる快投を一軍のマウンドで度々見せるなど、徐々にチームの戦力として存在感を示し始めた。トレードなどシーズン途中での補強も功を奏し、熾烈な優勝争いを繰り広げている。

数年前に比べると戦力は年々整ってきた印象はあるが、まだまだ課題は多い。今季のドラフトの補強ポイントを、投手(先発・リリーフ)・捕手・内野手・外野手ごとに年齢分布の表を用いながら考察する。

終盤を任せられる左のリリーバーは必須


まずは先発投手。年齢分布を見ると、二木康太や岩下大輝、小島和哉など、20代中盤にローテーションの柱となっている主力投手の名前が並ぶ。人数も左右のバランスがいい。復帰には最低1年以上を要するとされる、右肘内側側副靭帯再建術(トミー・ジョン手術)を2020年秋に受けた種市篤暉が戦列に戻れば、より一層若手投手の層は厚くなる。古谷拓郎、佐々木朗希、中森俊介ら右の本格派の成長も楽しみだ。


課題は左のリリーバー不足。年齢的には永野将司や山本大貴らが一軍の戦力になっていると理想的だが定着できていない。ブルペン入りしている投手はほとんどが右で、唐川侑己や国吉佑樹、佐々木千隼、益田直也ら勝ちパターンを担う面々も全員右。鈴木昭汰がロングリリーフで登板する機会などは見られるが、終盤を任せる左投手は皆無であり、補強ポイントのひとつだ。

先発投手を見ても、20歳前後に左腕がおらず、投手補強はサウスポーを優先的に補強したい。1位で指名するなら先発タイプの筑波大・佐藤隼輔、西日本工業大・隅田知一郎が筆頭候補。ともに総合力が高く、1年目から先発ローテーションに割って入る力がある。

2位以降なら、三菱重工Westの森翔平や新潟医療福祉大の桐敷拓馬ら、球に力のあるタイプを指名したい。また、リリーフタイプでは最速155キロを記録する独立リーグ・火の国サラマンダーズの石森大誠も面白い存在。今季途中に小窪哲也を獲得したことからも縁がありそうだ。

若手捕手も補強ポイント


次は捕手。近年は田村龍弘が正捕手を務めていたが、今季後半はシーズン途中に中日からトレードで移籍してきた加藤匠馬が先発マスクをかぶることが多い。打力を武器に徐々に一軍での出場機会を得ている佐藤都志也もいるが、20代前半の若手捕手が手薄なのは明白だ。

植田将太らの成長にも期待しつつ、捕手も補強ポイントになるだろう。その際、打力にポテンシャルを秘める捕手であれば尚良し。捕手が打てれば打線に厚みが増す。

今年の指名候補で言えば、高校生なら通算42本塁打の市和歌山・松川虎生、大学生なら今春のリーグ戦で打率.341、3本塁打を記録した中央大の古賀悠斗や3試合連続本塁打を放った関西大の久保田拓真らを狙いたい。

長打力のある即戦力野手も必須


野手の大きな問題は、中堅どころでレギュラーに定着している野手が、中村奨吾と藤岡裕大のみであること。本来はレギュラーとして上位打線・中軸を担うべき井上晴哉や福田秀平は不調や故障などで戦力になっておらず、ベテランの荻野貴司が試合に出続け、同様にベテランの角中勝也がスタメンで2番やクリーンナップに入らざるをえない手薄な状況だ。


和製大砲がいないことも問題。長打はマーティンとレアードに依存しているため、どちらかが離脱するとたちまち打線の迫力がなくなる。安田や山口航輝、西川僚祐らポテンシャルを秘める若手もいるが、成長を促しながらもチームは勝っていかなくてはならない。長打が期待できる即戦力野手も補強ポイントのひとつだろう。20代の野手に左打者が多いことを踏まえると、バランスとしては右打者がベターだ。

内野手で狙うなら千葉学芸高の有薗直輝が筆頭候補だ。高校通算70本塁打を誇り、今春以降で25本塁打と成長著しい強打の三塁手。地元千葉の逸材は是が非でも指名したいところだろう。

外野手なら、慶応大・正木智也、上武大・ブライト健太、駒澤大・鵜飼航丞らが候補。3人とも守備がおぼつかない点はあるが、身体能力が高く、まだまだ伸びしろを感じさせる長距離砲だ。

マーティンが怪我で離脱した際の打線は迫力を欠き、得点力ダウンが明白。優勝を争う重要な試合に、経験の浅い若手や打率が2割にも満たない打者をオーダーに並べざるを得ない状況は変えていかなければならない。

※表の年齢は2021年の満年齢
※育成選手、引退及び戦力外が発表された選手は含まず(10月5日時点)

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