阪神・スアレスは2年連続最多セーブへ視界良好
プロ野球は前半戦を終了し、五輪休みに入った。セ・リーグではヤクルトが躍進し、パ・リーグではオリックスが首位、ソフトバンクの苦戦など大方の予想とはやや違う経過となっている。
長いシーズンを戦う上で重要なのがクローザーだ。特に今季は延長なしの9回打ち切りのため、終盤になれば同点でも惜しみなく中継ぎ、リリーフ陣をつぎ込める。勝てる試合を確実に勝ち、厳しい展開でも最悪引き分けに持ち込むことで、終盤の優勝争いを有利に進めることができるだろう。
まずはセ・リーグから各球団のクローザーの前半戦成績を振り返ってみたい。
首位・阪神はロベルト・スアレスが不動のクローザーとして君臨している。36試合に登板して1勝1敗25セーブ、防御率1.53と文句のない成績で、チームへの貢献度は高い。ストレートは平均157.1キロをマークしており、2年連続最多セーブも射程圏内だ。
逆に巨人はクローザーに泣かされている。昨季17セーブを挙げたルビー・デラロサが今季開幕直後は6試合で5セーブを挙げる好スタートを切ったが、米国の市民権申請手続きのために帰国し、4月15日に登録抹消。中川皓太や高梨雄平、鍵谷陽平らで急場をしのいだ。現在はデラロサも復帰しているが、23試合連続無失点中のチアゴ・ビエイラがクローザーとして9セーブを挙げている。後半戦もビエイラで固定できるかどうかはカギを握りそうだ。
広島・栗林良吏は22試合連続無失点
ヤクルトは2018年からクローザーを務め、昨オフに4年契約した石山泰稚が、今季は10セーブを挙げながらも4敗を喫するなど不振のため6月に登録抹消。代わって来日3年目のスコット・マクガフが16セーブを挙げ、防御率2.39と安定している。K/9(奪三振率)はセ・リーグ2位の12.66と高く、ピンチでも三振を取れるのが強みだ。
中日はライデル・マルティネスが9セーブを挙げている。東京五輪予選のためキューバ代表に合流し、5月24日に抹消されてから7月2日まで戦列を離れていた間は、又吉克樹が代役を務め、開幕直後は祖父江大輔が代役として5セーブを挙げるなど、リリーフ陣の充実ぶりを証明した。
開幕から無失点記録を継続して話題をさらったのが広島のドラフト1位ルーキー・栗林良吏だ。ソフトバンク・甲斐野央の持っていた新人記録を塗り替える22試合連続無失点をマーク。ここまで18セーブを挙げており、K/9は14.44と12球団のクローザーで最も高い。チームは低迷しているが、後半戦もクローザーに関しては不安はないだろう。
DeNAは三嶋一輝がここまで1勝4敗16セーブ。防御率2.97と絶対的な安定感はないが、山﨑康晃が昨季途中に中継ぎ降格して以降は代役としていい働きを見せていると言えるだろう。
ロッテ益田直也は価値ある「11引分」
パ・リーグ首位のオリックスは、メジャーから復帰した37歳の平野佳寿が11セーブを挙げている。ここまで漆原大晟が2セーブ、K-鈴木が2セーブ、能見篤史が2セーブ、ヒギンスが2セーブ、村西良太が1セーブとクローザーを完全固定できていない点に一抹の不安は残るものの、やはり平野に一日の長がある。優勝争いが佳境に入れば、ベテランの経験は頼りになるだろう。
楽天は松井裕樹が23セーブを挙げ、防御率0.66、K/9も12.51をマークしている。昨季は先発に転向したものの今季からクローザーに復帰し、本来の力を発揮。田中将大、涌井秀章、岸孝之、則本昂大、早川隆久ら豪華先発陣の後を受けて締めくくるのは松井しかいない。
ロッテは2013年最多セーブの益田直也が今季も君臨。39試合に登板して22セーブを挙げている。7月10日のロッテ戦では1978、1980年の江夏豊(広島)、1982年の牛島和彦(中日)、2012年の藤川球児(阪神)に並ぶ11引分(引き分け試合の最後に登板)を記録。これも9回打ち切りの今季ならではだろう。
平良海馬は39試合連続無失点の新記録
下馬評の高かったソフトバンクが勝ち切れない理由のひとつにクローザー森唯斗の離脱がある。今季開幕から4月までに1勝8セーブを挙げたが、5月に左肘を手術。現在もリハビリ中で、リバン・モイネロが代役として5セーブを挙げているが、キューバ代表合流で戦列を離れた期間は、岩嵜翔が「代役の代役」を務めた。
前半戦の西武は平良海馬が話題の中心だった。開幕から無失点を続け、藤川球児の日本記録を更新する39試合まで伸ばした。クローザーの増田達至が5月に抹消されてからは代役を務めて11セーブ。防御率は驚異の0.23を記録している。
日本ハムは8年目右腕の杉浦稔大が16セーブ。190センチの長身から平均148.3キロのストレートとフォーク、スライダーを武器に、K/9は11.45をマークしている。
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