稲葉監督「藤浪君は戻ってきている」
時間がかかっているのは確かだ。ただ、そのポテンシャルに疑いがないゆえに、本当の復活が待ち遠しい。阪神・藤浪晋太郎投手（26）が沖縄・宜野座でのキャンプで順調な復活ロードをアピール。打者が嫌がるクセのある荒れ球を制御すべく右腕を振り続けている。
キャンプ第1クールの4日には侍ジャパンの稲葉篤紀監督（48）が視察する中、ブルペンでの投球を披露。「藤浪君には（本来の姿に）戻ってきているなという感じでは見ています。ここまで非常に順調にきているなというふうに思いました」との言葉を引き出した。
藤浪はその後も順調に調整を続け、7日の紅白戦初登板では三回からの2イニングを1安打、3奪三振、無四死球で無失点。注目のドラフト1位・佐藤輝明外野手（21＝近大）との対戦では155キロの直球で空振り三振を奪った。
注目の対決後に藤浪が「個人的に楽しみだった。ファンの方も監督もみんな何を見たいか。フルスイングと真っすぐだと思う」とコメントすれば、佐藤輝は「ああいう球を見たことがない」と清々しいリアクション。気は早いが、これが侍ジャパンのエースと4番の初対決だったと、将来に語り継がれる場面を見た気持ちになったファンも多いのではないだろうか。
現実的なことをいえば今夏に開催予定の東京五輪代表に藤浪が選出されるのは難しいだろう。しかし、過去には藤浪がジャパンのユニホームを纏っていたことも事実。稲葉監督は「ポテンシャルも高い。若い時からジャパンに入ってやっている。また、ジャパンに対する気持ちというものが、少しでも芽生えてくれたらありがたい」と、将来の代表復帰を待ち望んでいた。
岩崎優に好印象「初見で打つのは難しい」
日本代表候補選出という本題に話題を戻すと、稲葉監督は阪神では中継ぎ候補の岩崎優投手（29）へ高い関心を示している。「腕が遅れて出てくる。独特の投げ方をしている。ああいう投手はなかなか初見で打つのは難しい」と発言。国際舞台での期待値が読み取れる具体的なコメントだった。
さらに、侍ジャパンは水面下で梅野隆太郎捕手（29）の選考を積極的に進めているという情報がある。直近の国際大会となった2019年のプレミア12ではソフトバンク・甲斐拓哉（28）や広島・会沢翼（32）らが捕手を務めたが、梅野の捕手らしくない特殊能力や、ベンチ入り枠の兼ね合いで注目を集めているというのだ。
五輪ではプロ野球のシーズンより4人少ない24人でベンチ入りメンバーを構成。投手を12人選出したと想定し、野手12人を選ぶとなると一人で複数の役目が務まる選手が必要となってくる。分かりやすい例が内外野を高いレベルでこなし、打力もある西武・外崎修汰内野手（28）だろう。
大事なゲームの終盤、俊足が少ない傾向にある捕手が四球や安打で出塁。点を取りにいくべく「代走」にソフトバンク・周東佑京内野手（25）のような俊足走者を迷わず送りだす。得点に成功し逃げ切りとなったとき、「抑え捕手」を用意するお題はハードルが高い。そんな場面を想像すれば梅野の有用性は自ずと理解できるはずだ。
梅野隆太郎は俊足強肩強打
別に控えでなくてもいい。梅野は2019年に球団捕手史上最多の14盗塁を記録した、俊足捕手でもあり、守備では3年連続ゴールデングラブを受賞。盗塁阻止においても「梅ちゃんバズーカ」と称される強肩は有名だ。打力も捕手としては上位クラスとくれば、スタメンからフル出場でも何ら問題はない。
虎党からすれば藤浪、岩崎が投げ梅野が受けるという夢の国際舞台。緊迫した場面を経験し新たな引き出しを得れば、チーム自体もレベルアップすることは間違いない。
阪神・矢野燿大監督も「タイガースから日本代表の選手が出てきてくれたら、それはすごくこちらとしても嬉しいこと」と語る。コロナ禍にあって、阪神だけでなく球界としても明るい話題に期待したいものだ。
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