150キロ超右腕の髙橋宏斗、中森俊介、小林樹斗がトップクラス
2020年甲子園高校野球交流試合が8月17日に幕を閉じた。春のセンバツ中止に始まり、例年とは何もかもが違うシーズンとなった高校野球だが、たった1試合の甲子園で多くの球児が輝きを放った。今回は、甲子園交流試合に出場した選手の中から、今秋ドラフト候補となるであろう投手たちを紹介していく。
世代No.1の呼び声が高いのが、中京大中京の髙橋宏斗だ。昨秋、チームを明治神宮野球大会優勝に導いた最速154キロ右腕は、愛知の独自大会でも優勝。智弁学園との甲子園交流試合でも勝利し、新チーム結成以降、公式戦無敗で高校野球生活を終えた。
交流試合では序盤はやや力みが見られたものの、後半に進むにしたがって力が抜け、140キロ台後半のストレートを決めていた。力を入れたストレートは150キロを優に超える。プロ志望届を提出すれば複数球団による競合も十分あり得るだろう。
その髙橋と双璧とも言えるのが、明石商の最速151キロ右腕・中森俊介だ。1年夏から甲子園のマウンドを経験し、2年春・夏とベスト4の原動力となった。4季連続、さらには5季連続での甲子園は幻となってしまったが、その可能性は十分にあっただろう。
桐生第一との試合ではスピードこそ140キロ台前半と抑え気味だったが、勝負所ではギアを挙げ150キロを計測。9回を投げ5安打2失点、9奪三振で完投勝利。多くの全国舞台を経験したからこその投球術は、この先のステージでも活きるスキルだ。
甲子園交流試合で髙橋、中森に続いて150キロを計測したのが、智弁和歌山の小林樹斗(たつと)だ。1年夏の甲子園はベンチ外だったが、2年春・夏と続けて聖地のマウンドを経験。秋にはエースとして近畿大会8強に進出し、センバツの出場権を得た。
尽誠学園との試合では7点差の6回からの登板だったものの、3回を2安打無失点。自己最速152キロに迫るスピードボールを連発し、3三振を奪った。この夏は和歌山の独自大会から終盤の短いイニングを任され、自己最速を何度も更新してきただけに、伸びしろ十分な逸材だ。
橋本拳汰、嘉手苅浩太に感じた大きな将来性
現時点で髙橋、中森、小林ほどのスピードボールは投げてはいないものの、甲子園交流試合で大きな可能性を感じたのが、健大高崎・橋本拳汰と日本航空石川・嘉手苅浩太(かてかるこうた)だ。
橋本の現時点での最速は144キロ。右腕としてはやや物足りない数字だが、指にかかったときのストレートの伸びは特筆すべきものがある。身長190cmの身体はまだまだ細身だが、化ける可能性は十分にあるだろう。
嘉手苅は190cm106kgの超大型右腕だ。昨秋県大会で右肩を痛めたが、冬場の下半身強化や柔軟でスケールアップ。石川県の独自大会では星稜を破って優勝を果たした。MAX148キロも現時点としては申し分ないが、くせや無駄な動きのないフォームで安定して140キロ台を投げ込む姿からは、さらなる成長を予感させる。
伸びしろに期待したい若杉晟汰、下慎之介、片山楽生、八方悠介
明豊の左腕・若杉晟汰(せいた)は、強豪にあって1年秋からエースの座を獲得し、2年春のセンバツベスト4に大きく貢献した。しなやかなフォームから投げ込む140キロ台中盤のストレートは、今後のトレーニングでまだまだ速くなるだろう。
同じく左腕で楽しみなのが、健大高崎の下慎之介(しもしんのすけ)だ。帯広農との交流試合では4回3失点と本来の力は発揮できなかったが、昨秋は公式戦11試合68回2/3で75三振を奪い、チームを明治神宮野球大会準優勝に導いた。
右腕では、ともに140キロ台後半の速球を投げ込む白樺学園の片山楽生(らいく)、鹿児島城西の八方悠介(やかたゆうすけ)に期待したい。片山は独特のテイクバックのオーバーハンドから、伸びのある直球を投げ込む。八方も、テイクバック時に右手を小刻みに動かすなど、やはり独特なフォームが特徴だ。交流試合では敗れてしまったが、今後の成長が楽しみな2人だ。
ここで取り上げた9人以外にも、多くの好投手が輝きを見せた甲子園交流試合。1人でも多くの投手が、次のステージで活躍してくれることを期待したい。
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