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2022シーズンのJ2主役候補4チーム 例年以上に実力拮抗、J1昇格を果たすのは?

2022 2/11 06:00KENTA
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例年以上に混戦が予想される2022年のJ2

今シーズンのJ2は史上最大のカオスだ。人件費予算でトップ5に入っていた松本山雅が最下位でJ3へ降格し、トップのジェフユナイテッド千葉が中位でくすぶるなど、もともと混沌としていた。そこへきて、今年はJ1から4チームが降格。リーグ全体のレベルが上がるうえ、上位から下位までチームの戦力差が小さく、予想は困難を極める。

今回はそんなJ2の中でも、2022シーズンの昇格争いの主役となる候補を4チーム選んでみた。

実力者を多数獲得 モンテディオ山形

今冬の移籍市場で最も印象的な補強をしたチームがモンテディオ山形だ。昨季途中に就任したクラモフスキー監督はハイスピードで魅力的な攻撃サッカーを落とし込み、一気に力を付けた。アタッキングサードへの侵入回数は1試合平均48.2回でリーグトップだ。

出ていった戦力はもちろん大きい。エースのヴィニシウス・アラウージョや切り札マルティノス、さらに林誠道は同じJ2でしかも残留争いをしていたツエーゲン金沢に行くことになった。

しかしそれ以上にクラモフスキー戦術にピッタリな人材を確保できている。特に小西雄大と河合秀人の二人は、基本布陣4-4-2のサイドハーフもしくはトップ下でボールを引き出した後にクオリティを発揮したりプレッシングの先鋒になったりと、確実に山形の力になるだろう。

J2で最も獰猛な集団 町田ゼルビア

近年着実に力を付けている町田ゼルビアが結実の時を迎えようとしている。

ポポビッチ監督が志向する4-4-2から状況に応じて変形しながらボールを保持。積極的に選手が飛び出していく攻撃サッカーの精度が一気に上がった印象だ。加えて練度の高いハイプレスで相手を圧迫。昨シーズンの得失点差26は磐田、京都、甲府に続いて4位と立派な数字だ。

チーム内得点王の吉尾海夏は移籍したが、おおむね主力の残留に成功し戦力を維持、さらにGKポープ・ウィリアムとストライカー山口一真を獲得。山口一真はキャンプ中のトレーニングマッチでも好調で、選手生命にかかわる大怪我からの復活を予感させている。

J2で最も獰猛なチームがさらに強化されて勝負の一年を迎える。

強力すぎる攻撃スカッド V・ファーレン長崎

V・ファーレン長崎が2度目のJ1昇格へ向けて本気だ。昨季序盤は躓いたが、シーズン途中で就任した松田浩監督が4-4-2をベースに、もともと選手が持っていた高い能力を生かした堅実なスタイルを確立。特に守備時の基本を選手全員がしっかりできるのは大きい。

ほとんどのチームで失点パターンの1、2番手と苦戦するクロスからの失点だが、長崎ははわずか6しかなく、堅いブロックを構築していた。

右サイドを制圧できる毎熊とディフェンスポイントトップの新里の移籍は痛いが、なんと柏レイソルからクリスティアーノを獲得。クリスティアーノ、イバルボ、都倉、エジガル・ジュニオ、そして成長著しい植中の攻撃スカッドは脅威そのものだ。

開幕節から東京ヴェルディ、降格組の横浜FC、昨季3位のヴァンフォーレ甲府、そして大分トリニータと強敵との4連戦だが、そこで実力を証明できるか。

魅惑のポジショナルプレー 徳島ヴォルティス

J1からの降格組は全チーム力があるが、特に楽しみなのは徳島ヴォルティスだ。

昨シーズンはおそらくJリーグでもっともコロナ禍の煽りを受けたチームだっただろう。当時の日本政府の入国制限によりポヤトス監督が入国できず、監督不在のままシーズンを開幕するという前代未聞の事態に。カカやバトッキオら外国人選手も合流が遅れ、さらにバトッキオは家族が入国できないことに耐え切れず、わずか10試合ほどの出場ののちメキシコへ移籍してしまった。

だが、優秀なフロントとコーチ陣、選手が協力し合って奮闘。ボール支配率は1試合平均56.7%と全20チーム中2位を記録。J1でも今まで積み上げてきたヴォルティスのスタイルは通用した。しかし、ようやくポヤトス監督の戦術が浸透した最終盤、調子が最高潮のままJ2降格となってしまった。

再起を誓う今シーズン、冬の移籍で昨シーズンの主力がほとんど引き抜かれてしまったうえ、絶対的なリーダーだった岩尾憲も浦和レッズへ期限付き移籍。チームは解体、再編を余儀なくされた。

しかし、ファジアーノ岡山から白井永地、名古屋グランパスから児玉駿斗ら実力者を的確に補強。基盤としている軸がすでにあり、ベガルタ仙台は例外として、降格組の中では唯一監督を変更していない。ヴォルティスが力強く昇格を手繰り寄せる可能性は高そうだ。

今年は例年以上に実力が拮抗しているJ2。様々なドラマを生んできた昇格プレーオフも復活した。最後まで全く目が離せない。

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