「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

東京五輪観客上限1万人、開閉会式や陸上のチケット再抽選で大混乱も

2021 6/24 11:25田村崇仁
橋本聖子組織委会長、画面内はIOCのバッハ会長Ⓒゲッティイメージズ

Ⓒゲッティイメージズ

大会関係者は別枠、90万超が落選の悲劇

東京五輪・パラリンピック組織委員会は6月21日、五輪会場の観客数上限を「定員の50%以内で最大11万人」とすることを正式決定した。

東京都、政府、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)との5者協議で合意し、共同声明を発表。定員1万人の競技会場なら5000人まで、通常時で6万8000人収容の国立競技場は1万人までとなる。一方で会場の上限を超える販売済みチケットは再抽選を行い、90万枚超が削減される異例の事態になった。

全体で約42%となる約448枚を販売済みのチケットは1年延期による払い戻しで約364万枚まで減少。ただ五輪では全体の1割強のセッションで50%に達しており、上限規制を適用すると入場可能となるチケット枚数は約272万枚で、90万枚超が無効となる。

スポンサーなど大会関係者は会場上限以外に「別枠」で入場が認められる一方で、国立競技場で行われる人気の開閉会式や陸上、野球やサッカーなど一般チケットは「落選者」が大量に出る悲劇が現実のものになった。

感染悪化で「無観客」の可能性も

しかし観客の上限はこれで事実上、最終決定といえない状況だ。コロナの感染状況次第で無観客にする可能性も残されており、組織委は再抽選のシステムを構築したが、綱渡りの作業を進めることになる。

関係者は「落選した人への丁寧な対応が必要」と混乱を懸念。さらに緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令された場合は、無観客も含めて対応を取るという文言で一致したが、曖昧な判断基準となっており、先行き不透明な不安も出ている。

まん延防止等重点措置下での政府のイベント制限は「収容人数の50%を上限に最大5000人」。仮に「上限1万人」からさらに変更があり、五輪開幕直前で再抽選が再び必要になれば、観客からの反発ととともに大混乱が予想される。

8月24日のパラリンピックは開幕までまだ時間があるため、7月16日まで判断を先延ばしにした。当初900億円を見込んでいたチケット収入は「半分以下」になるとの見通しだ。

開会式は2万人? 学校観戦プログラムも別枠

大会のハイライトとなる五輪の開会式で全体の入場者数が一般観客に大会関係者を合わせて約2万人となることも新たな火種になっている。これはスポンサー関係やIOCなど大会関係者数が現時点で1万人超と極めて多く、一般観客も含めた全体の来場者が膨らむためだ。

各会場には一般の観客のほか、IOCやスポンサー、競技団体関係者、運営スタッフなどが大勢入場する。ただ組織委などは関係者の削減を進めており、2万人には達しない見通しだ。

低価格で主に小・中学生に割り当てられる「学校連携観戦プログラム」で入場する児童、生徒らも最大1万人などとした観客数上限とは「別枠」となる。

組織委の武藤敏郎事務総長は若い世代に感動を体験してもらうことが最大の趣旨で「大会を開催する意義を小中学生によく伝えていくことが大事。動員をかけるものではない」と強調し、教職員の引率により会場への行き帰りも含めた行動管理が可能とした。

プログラムは、五輪であれば2020円の低価格で学校や自治体にチケットを提供するもの。一方で新型コロナ感染状況への懸念から、キャンセルする学校や自治体も相次いでいる。

【関連記事】
東京五輪、無観客開催のメリットとデメリットは?
東京五輪選手村は各国から酒類持ち込み原則OK?過去に禁断のロマンスも
東京五輪、GPS管理の選手ら重大違反で国外退去の厳罰も実効性は?

 コメント(0件)