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日本オリンピック委員会（JOC）は東京五輪日本選手団の「顔」となる主将に花形種目の陸上男子100メートルで9秒95の日本記録を持つ山縣亮太（29）＝セイコー＝を起用すると発表した。副主将は卓球女子の石川佳純（28）＝全農＝が務める。
JOCはジェンダー平等を推進するため、主将と副主将に男女1人ずつ置く方針を決定。旗手も同じ理由で、国際オリンピック委員会（IOC）が各国・地域に男女1人ずつの起用を求めていた。
7月23日に国立競技場で行われる開会式の入場行進で日の丸を掲げて選手団を先導する旗手は米プロバスケットボールNBAのウィザーズで活躍する八村塁（23）、レスリングの金メダル候補、須崎優衣（21）＝早大＝が男女で務める予定だ。
開会式の選手宣誓は男女1人ずつが行い、ともに3大会連続で出場する山縣、石川が開催国の代表として大役を担う。
山縣は2016年リオデジャネイロ五輪で男子400メートルリレーの銀メダル獲得に貢献し、2018年ジャカルタ・アジア大会でも主将を務め「アジア大会から未来につながるバトンを東京に届けられるように」とチームをけん引した。
競技での高い実績に加え、人柄や知名度、真摯に競技に向き合う人間性も高く評価された形だ。東京五輪では個人で決勝、400メートルリレーで金メダルを目指している。
石川は初出場した2012年ロンドン五輪で日本初となる団体銀、2016年リオ五輪では団体銅メダル。出場した2大会で、いずれも表彰台に立った実績がある。
伊藤美誠（スターツ）ら若手選手をサポートする精神的支柱としても欠かせない存在となっており、東京大会では団体金メダルに向けて活躍が期待される。7月6日に選手団の結団式と壮行会を行う。
「多様性と調和」を掲げる東京五輪で男子旗手の大役として白羽の矢が立った八村は、ベナン人の父と日本人の母を持ち、多様なルーツを持ちながら世界レベルで活躍する実績と大会の象徴にもなる存在と判断された。
2019年5月、日本人で初めてNBAドラフトで1巡目指名を受けた際は、ワインレッドのジャケットを着用。その裏地は右側が日本の浮世絵、左側にベナンの伝統的な柄がデザインされ、2つの祖国への思いを胸に、世界最高峰の舞台で活躍する新時代のアスリートだ。
本場のNBAで2シーズンを戦い抜き、日本人初のプレーオフも経験した。日本代表の大黒柱としても欠かせない存在に成長している。
須崎は東京五輪で活躍する選手育成を目的としたJOCエリートアカデミーの卒業生。2016年リオ五輪金メダル登坂絵莉、入江ゆきとの代表争いに勝利し、世界選手権連覇の実績を持つ文句なしの金メダル候補でもある。
1964年東京五輪では主将を体操男子の小野喬、旗手を競泳男子の福井誠が務めた。小野の現役時代は「鬼に金棒、小野に鉄棒｣と呼ばれたことで知られ、その圧倒的な強さで五輪で金メダル5個を獲得している。
近年の夏季五輪を振り返ると、前回の2016年リオデジャネイロ五輪の日本選手団主将はレスリング女子の吉田沙保里、旗手に陸上男子十種競技の右代啓祐を起用。女子が夏季五輪で日本選手団主将を務めるのは初めてで、吉田は2012年ロンドン五輪で旗手を務めたのに続く大役となった。
2008年北京五輪では主将が柔道の鈴木桂治、旗手は中国との深い交流もあった卓球の福原愛。2004年アテネ五輪では主将が柔道の井上康生、旗手はレスリングの浜口京子、2000年シドニー五輪は主将が野球の杉浦正則、旗手が柔道の井上康生となっている。
こうして歴代の顔触れを見ると、いずれも大物がずらり。コロナ禍で実施される東京五輪でも今大会の「顔」と期待されるアスリートが抜てきされ、かつてない大所帯となった。
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