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筋トレと時間の関係性、筋肥大には夜にインターバル3〜5分が効果的

2021 6/14 06:00近藤広貴
イメージ画像ⒸBalkansCat/Shutterstock.com
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筋トレは朝派?夜派?

筋トレを行う際の「時間」を気にしたことがあるだろうか。インターネット上で筋トレの実施時間帯を調査したWEBアンケートでは、最も多かった答えが51.6%で夜(19時〜24時)の時間帯であり、2番目に多かった回答は、28.4%で朝(4時〜9時)の時間帯であった。

夜にトレーニングを実施する割合がやや多いものの、トレーニングを行う時間帯は朝派と夜派の2通りに分かれているようだ。

普段、何気なく筋トレを行っている人も多いだろうが、筋トレを実施する時間帯によっても、トレーニング効果が異なり、目的に合わせた実施時間の選択が重要となる。

また、トレーニング中のセット間のインターバルもトレーニング効果に大きな影響をもたらす。筋トレと「時間」の関係性に着目して、無駄なく筋肉量が増加するための方法を理解していきたい。

筋肥大のためには「夜」の筋トレを

筋トレを行う時間帯が異なることで発揮できる筋力が違い、パフォーマンスに影響を及ぼす。パフォーマンスの面を考えれば夜の筋トレがおすすめとなる。

理学療法士のBlack Dircksen氏によると、人の体は1日の中で体温変動があり、朝は低くお昼から夕方にかけて体温が上昇する。そして、体温が高まるほど筋発揮が強くなり、運動パフォーマンスが高まるというのだ。

アメリカで行われた研究では、バスケットボール選手を対象に運動能力(ジャンプ力)と時間帯に関する調査を行った結果、夜になるにつれてジャンプ力が向上したことが報告されている。

また、フィンランドで行われた筋トレによる筋肥大と実施時間に関する研究では、朝に筋トレを行ったグループよりも夜に筋トレを行ったグループの方が筋肉量の増加幅が多かったことが報告されている。

夜は体温が上昇し、パフォーマンスが高まるため扱える重量が増える。そのことにより、筋肉に加えられる負荷が増え、筋肥大に繋がったのだ。筋肥大を目的に筋トレを行う場合は、夜に筋トレを実施していきたい。

セット間のインターバルは3分〜5分程度で

筋トレの際にセット間のインターバルも筋肉の発達に大きな影響を及ぼす。

2016年にイギリスのバーミンガム大学で行われた研究によると、セット間のインターバル時間が短すぎるとかえって筋肥大の効果を弱めてしまう可能性が示唆されている。

セット間のインターバルを1分のグループと5分のグループ、2グループに分けてインターバルの違いによるたんぱく質合成数値を比べた。

その結果、インターバルが1分のグループはたんぱく質合成数値が76%であったのに対して、インターバルが5分のグループはたんぱく質合成数値が152%と2倍の違いがあることが報告されている。

この研究結果が示すように、筋肥大を目的としたトレーニングを行う場合、筋肉を疲労させるためにセット間のインターバルを短くしすぎると、かえってトレーニング効果が薄れる。

筋肉を強く大きくしたい場合は、セット間のインターバルを3分〜5分程度取り、長めの休息時間の確保が望ましい。

もちろん、自身のトレーニング経験や熟練度、運動強度によってもインターバル時間の条件は異なるが、高負荷で大きな疲労を体に入れる際は、長めのインターバルを取った方が良さそうだ。

せっかくトレーニングを行うのなら、1度のトレーニングで多くの成長を見込みたい。筋トレと「時間」との関係に着目し、取り組む時間帯やセット間のインターバルを考えて筋トレに取り組みたい。

少しの違いかもしれないが、1年、2年、3年と長いスパンで見た際に大きな違いとなるだろう。無駄のない計画的なトレーニングで理想の体を手に入れよう。

《ライタープロフィール》
近藤広貴
高校時代にボクシングを始め、全国高校総体3位、東農大時代に全日本選手権3位などの成績を残す。競技引退後は早稲田大学大学院にてスポーツ科学を学ぶ。現在は母校の教員としてボクシング部の指導やスポーツに関する研究を行う傍ら、執筆活動を行っている。

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