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スポーツ場面でのマスク着用は危険を伴う?コロナ禍の新常識

2021 2/24 11:00近藤広貴
イメージ画像ⒸDrazen Zigic/Shutterstock.com
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ⒸDrazen Zigic/Shutterstock.com

新型コロナウイルス感染拡大によりマスク着用が義務化

新型コロナウイルスの感染拡大により東京オリンピックの開催延期など日本のスポーツ社会にも様々な影響を与えている。スポーツを日常的に行う人にとって、とりわけ身近に感じることはスポーツ時のマスク着用ではなかろうか。

一般市民に運動の場を提供するフィットネスクラブでも日本フィットネス産業協会からコロナ対策のガイドラインが出され、施設内でのマスク着用が義務づけられている。

また、スポーツ庁が学校体育中のマスクの着用の必要性を述べており、学校体育場面でのマスク着用も増えた。

生涯スポーツの普及を目指す株式会社ストライドが行ったWEB調査では、コロナ禍の日本でランニングやウオーキングなどの運動時に自主的にマスクを着用しているランナーはおよそ6割に上ることを報告しており、私たちのスポーツ場面においてマスクの着用が当たり前の光景になった。

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マスク着用はアスリートの心肺機能を強化させる

スポーツ場面でのマスクの着用といえば、元WBC世界バンタム級チャンピオンの辰吉丈一郎がスタミナ強化のためにマスクをつけてトレーニングを行っていた。近年はスポーツ時に体に取り込める酸素量を意図的に制限するトレーニング用のマスクも売られている。

株式会社ストライドが行った実験によると、マスクを着用した運動ではマスクをしない場合と比べ、1分間に肺に出入りする空気量が24%減少し、酸素摂取量も13%減少することが報告されている。マスクを着用した運動は酸素の摂取量が減少するため心肺機能により負荷がかかるのだ。

自身の身体能力向上を目指すアスリートにとっては、酸素効率の向上などスタミナ強化につながるメリットがある。しかし、楽しく運動に取り組みたい方にとっては、呼吸がしづらく心理的にうっとうしいものとなるだろう。

マスク着用が事故につながる場合も

スポーツ場面でのマスクの着用は身体へ危険を及ぼす場合もある。新型コロナウイルス感染拡大直後の中国では、学校教育現場でのマスクの着用を義務化され、体育中の生徒の死亡事故が相次いだ。

厚生労働省によると、マスク着用時は心拍数や血中二酸化炭素濃度、体感温度が上昇し、身体に負荷がかかることが報告されている。スポーツ時のマスク着用となればなおさらであろう。

スポーツ場面でのマスクの着用は、過度な酸素の制限より、熱中症などその他のさまざまな病気の発生要因になるため注意が必要だ。

マスク着用時の運動は低~中程度の強度を

とはいえ、コロナ禍ではコロナウイルス感染拡大防止のためマスクの着用は必須なものとなる。重要なのは、スポーツ場面でのマスク着用時にどの程度の運動を行うのかである。

普段、激しいトレーニングに取り組むトップアスリートであれば、マスク着用によるトレーニングが、かえって身体能力の向上に影響を与える。しかし、日常的に運動に取り組まない方が、社会の変化に伴っていきなりマスクを着用して高負荷の運動を行うのは危険なのである。

マスク着用時のスポーツは、運動負荷が上がれば上がるほど、酸素の量を制限され息苦しさを感じる。日常的に運動に取り組まない方は、身体への影響をかんがみて低~中程度のゆったりとした運動強度が望ましい。

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、新たな生活様式としてスポーツ場面でのマスクの着用が日常的となった。マスク着用時の運動に関する知識を吟味し運動強度を調節することが大切だ。人類が新型コロナウイルスに打ち勝ち、スポーツ場面でマスクを着用しない日々が待ち遠しい。

《ライタープロフィール》
近藤広貴
高校時代にボクシングを始め、全国高校総体3位、東農大時代に全日本選手権3位などの成績を残す。競技引退後は早稲田大学大学院にてスポーツ科学を学ぶ。現在は母校の教員としてボクシング部の指導やスポーツに関する研究を行う傍ら、執筆活動を行っている。

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