リズムに乗れなかった開幕戦
今シーズンからWシリーズへの参戦を決めた野田潤樹は開幕戦マイアミGPで世界選手権の洗礼を受けた。ハイレベルなライバル、未経験のサーキット、フォーマットの違いなど、初参戦の野田にとってあまりにもチャレンジングだったに違いない。
フリー走行の出だしはまずまずだった。しかしフリー走行終盤にクラッシュを喫してしまい、そこから一気に流れが悪くなった。掴みかけていた良い感触も失ってしまい、予選・決勝では精細を欠く走りとなってしまったのだ。決勝ではアグレッシブなライバルの走りで割を食うこともあり、文字通り世界の洗礼を浴びた格好だ。
そんな中でも車両をゴールまで運び、完走したことが1番の収穫ではないだろうか。初戦で学んだことを短いスパンですぐに試せるのは、このような大きなカテゴリーならでは。結果だけではわからない収穫が野田にはあったことだろう。
スペインGPはチャドウィックが圧巻の3連勝
5月21日にスペイン・バルセロナで、Wシリーズ第2戦の決勝レースが行われた。ポールポジションのジェイミー・チャドウィックがホールショットを決める中、予選3番手スタートのアビー・プディングが1コーナーでアリス・パウエルをパスし2位に浮上した。
3位に下がったパウエルは序盤からファステストラップを連発し、2位のプディングに迫っていく。これまでのチャドウィックは後続を引き離すレースを展開していたが、今回は2位以下との差を広げることができず、トップ3は0.5秒の間隔で周回を重ねていく。
スタート直後から息詰まる接近戦を演じていたジェシカ・ホーキンスとサラ・ムーアの10位争いは、8周目の1コーナーでムーアが仕掛けホーキンスの前に出た。
レースも残り1/3となった12周目、トップのチャドウィックが2位以下との差を広げ、2位プディングと3位パウエルとの差は0.6差に。さらに後方ではベイスク・フィッセール、マルタ・ガルシア、ベレン・ガルシアの5位争いが白熱。一つのミスで大きく順位が入れ替わる息詰まる展開の中、3人は接近戦を繰り広げていく。
トップのチャドウィックがファイナルラップに入った時、2位のプディングがファステストラップを記録しながらラストスパートをかけ、2台の差はわずか0.4秒に。しかしチャドウィックがトップを守り、そのままフィニッシュした。2位には惜しくも届かなかったプディング、3位にパウエルが入った。
トップ3に共通していることは、タイヤマネジメントをしっかり行い、勝負どころで温存しておいたタイヤを使い勝負をかけていたこと。今回のカタルニアは気温・路面温度とも高く、タイヤに厳しい条件だった。そのためトップのチャドウィックは先行逃げ切りのレースではなく、トップをキープしながらもタイムを抑え、タイヤもセーブしていたのだ。2位のプディングや3位のパウエルも無理に仕掛けるのではなく、チャドウィックのペースに合わせてタイヤを温存し、終盤ペースを上げ王者に迫った。
勝ち切るチャドウィックもさすがだが、Wシリーズでも上位勢はスピードだけでなく“したたかさ”も兼ね備えている。残りのレースはさらにハイレベルな戦いが期待できるだろう。
野田は予選前に行われたフリー走行でクラッシュを喫し、エンジンとギアボックスを交換。この影響もあり決勝では13位でレースを終えている。
不運に見舞われながらも手応えを掴んだ野田
予選14位からスタートし、スタートでは2つポジションをあげた野田。その後13位に下がり、後続からプレッシャーをかけられる厳しい展開に。しかしポジションを落とすことなく、13位でフィニッシュした。
レースはスタートでポジションを上げるも順位を落としてしまったり、トラックリミットの警告を受けるなどしたが、開幕戦に比べ着実に進化しているように見受けられる。ポイントは獲れなかったが、ルーキー勢では最上位でフィニッシュするなど「意地」も見せてくれた。
次戦はモータースポーツの聖地「シルバーストーン」が舞台になる。これまで経験したどのサーキットよりも高速で、なおかつテクニカルなサーキットだ。チャレンジングなサーキットなだけに、野田にはポテンシャルを発揮してもらいたい。
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