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【Wシリーズ】初参戦・野田樹潤、悔しいレース 開幕2戦はチャドウィック勝利

2022 5/9 14:11河村大志
2022年のWシリーズ開幕ラウンド・レース2(米マイアミ)に出走した野田樹潤,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

厳しい選考を経て掴んだチャンス

昨年まで年齢制限の影響で参戦できるカテゴリーが限られていた野田樹潤だが、16歳になった今シーズンから、これまで参戦していたF4デンマーク選手権に加え、オーストリアのF3レース「ドレクセラーフォーミュラカップ」、そして女性限定のフォーミュラカーレースの最高峰「Wシリーズ」に参戦することになった。

ライバルに比べ走行経験が少ない野田にとっては、今シーズンは挑戦の年。F1のサポートレースであるWシリーズは、F1が開催される主要なサーキットでレースをすることができ、チーム関係者やジャーナリストなど、目の肥えたF1関係者の目の前でアピールできる場でもある。

さらにヨーロッパの有名なサーキットで行われるドレクセラーフォーミュラカップにも参戦することにより、主要なコースを経験することができる。かなりタイトな年間スケジュール、さらに扱うマシンが各カテゴリーで違うなど大変な一年となるが、野田の経験不足を補う重要な一年となるだろう。

今年野田が参戦するメインのカテゴリーはWシリーズとなる。開幕戦はアメリカのマイアミから始まり、スペイン、イギリス、フランス、ハンガリー、日本、アメリカのオースティン、そしてメキシコで開催される。今シーズンで3年目を迎える同シリーズには世界中から厳しい試験を勝ち抜いた女性ドライバーが集結し、野田は今季参戦する中で最年少ドライバーとしてメンバーに選ばれた。

レース1は王者チャドウィックが勝利。野田はフリー走行のクラッシュが響き苦戦

2022年5月7日に行われたレース1はスタートから波乱の展開となった。スタートでネレア・マルティとアリス・パウエル、そして最後尾からスタートした野田がエンジンストール。3台はスタートをきることができたが、パウエルがオープニングラップでクラッシュしいきなりSCが出動した。しかし、パウエルのマシンの撤去に時間がかかり、レースは赤旗中断となった。

レースはローリングスタートで再開されるも、9周目にファビエナ・ヴォールヴェンドが壁に接触、さらにアビー・イートンとも接触し2台ともコースオフしてしまう。このアクシデントとほぼ同時のタイミングで2位のエマ・キミライネンがトップのチャドウィックを捉えトップに浮上。順位が入れ替わったタイミングで再びSCが出動した。

残り1周でレースが再開し、リスタートを決めたチャドウィックがキミライネンのブレーキングミスを誘い再びトップに浮上。さらにその隙をつき3番手のマルタ・ガルシアが2番手に上がりキミライネンは3番手まで後退してしまう。なんとか順位を挽回したいキミライネンはターン17でアウトからガルシアに仕掛けるも接触しスピンし最後尾まで順位を落としてしまった。

優勝は過去2シーズンチャンピオンに輝いたチャドウィックが優勝、2位にキミライネンとのバトルに競り勝ったガルシアが入ったが、レース後に接触の責任を問われ、10秒のタイムペナルティが課された。繰り上がりでジェシカ・ホーキンスが2位、3位にはベイスク・フィッセールが入った。

野田は予選前に行われたフリー走行でクラッシュを喫し、エンジンとギアボックスを交換。この影響もあり決勝では13位でレースを終えている。

チャドウィックが連勝。野田はペースが上がらず15位と苦しむ

2022年5月8日に行われたレース2。ポールポジションからスタートしたチャドウィックがトップのまま1コーナーに侵入。後続もグリッド通りの順番で1コーナーに入っていく。

チャドウィックが逃げる中、キミライネンとマルティの2位争いが白熱。チャドウィックが差を広げていたが、2位に浮上したマルティのペースが良く、徐々にチャドウィックとの差を縮めていく。残り10分の時点でチャドウィックとマルティの差は1秒以内まで縮まるも、再びチャドウィックがペースを上げ2位以下との差を拡げていき、そのままトップでチェッカー。

最終的に2位マルティとの差を約3秒にまで拡げ、チャンピオンの意地を見せた。2位にはチャンピオン相手に検討したマルティ、3位にはキミライネンとのバトルを制したパウエルが入っている。

レース2も最後尾からスタートした野田はスタートで1つ順位をあげるも、ミスもあり大きく遅れてしまう。ライバルのトラブルや緊急ピットもあり最終的に15位でレースを終えたが、週末を通してレースペースが上がらず、野田にとって苦しいWシリーズデビューとなってしまった。

どのサーキットも初めての経験となる為、野田にとっては厳しい1年となるだろう。しかしこれまで同年代のライバルたちと同じ土俵で戦う機会に恵まれなかった野田にとっては、待ち望んでいた環境でもある。伸びしろを多く残している野田の活躍を期待したい。

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