トラブルを解消し臨んだ最終戦
Jujuこと野田樹潤が、10月2日、3日にユランズリンクで開催されたF4デンマーク選手権最終戦に出場した。
前戦では今季悩まされていた燃料タンクのトラブルの原因を突き詰めることに成功。最終戦前にパドボーグパークサーキットでテストを敢行し、燃料タンクの修理を済ませトラブルも解消した。
今季初めてのトラブルフリー。テストのタイムは上々、最終戦のフリープラクティスでも速さをキープしていた。
そして予選でもこのまま速さを見せつけるかと思った矢先、天候が崩れ一転してウェットでの予選となる。それでもウェットタイヤを履き、セッティングもウェット用に変更した野田は、常にラップチャートの上位にいた。
予選終盤には雨が止み、ドライタイヤに履き替えるライバルたち。かなり難しい判断を要求される状況だが、チームはウェットタイヤのままラストアタックをすることを決めた。
濡れた場所を意図的に走り、タイヤを冷やして挑んだラストアタック。しかしスローダウンしているマシンが野田のアタック中にレコードラインに入ってきてしまい、野田は急ブレーキをする羽目に。
それでもレインタイヤ組の中ではトップタイムを叩き出したが、ドライタイヤ組に先行を許し最終的に野田は7番手からのスタート。雨に翻弄された予選となった。
最終ヒート3は4位でフィニッシュ
レースでも天候は雨。迎えたヒート1で野田はスタートに失敗し順位をあげることができなかったが、そこから着実に順位をあげていき5位まで挽回。しかし、ヒート2でも8位と振るわず厳しい状況に。
不振はウェットセッティングが完璧には決まっていなかったことが原因だという。そしてもうひとつ厳しいレースになった要因がサーキットのレイアウトだ。ユランズリンクはストレートがかなり短く、野田が乗っているF4マシンよりもタイヤが細く温まりやすいF5マシンの方が有利なコンディションでもあったからだ。
今季初のトラブルフリーで迎えた週末だが、雨に翻弄されなかなかスピードに乗れない野田とチームは勝利に向け、セッティングを大幅に変更する最後の勝負に出ることにした。しかし最後まで天気は野田の味方をせず、雨が強くなった最終レースで賭けはうまくいかず、野田は4位でフィニッシュし2021年シーズンを終えた。
優勝には届かなかったが、最後まで勝利を見据えて勝負にでた野田とチームから、レースに懸ける情熱が伝わる最終戦だった。
さらなる高みを目指して……NODA Racing卒業へ
シーズン終了後、野田は父が運営するNODA Racingからの卒業を発表。これまで父と二人三脚で戦ってきた野田だが、来年からは心機一転新たな環境でレースを戦うという。
この発表には父の野田英樹氏がもっと力のあるチームに移籍すべきという思いがあったからだ。
特に今年はチームとしても苦しい戦いが続き、満足のいくレースができずにいた。今のチーム体制よりも戦える環境にいてほしい、自身もレーシングドライバーとして活躍した英樹氏。ドライバーだけでは戦えない厳しい世界ということも理解しているからこその決断だったに違いない。
これからも英樹氏は野田の側でサポートを続けるという。環境が変わっても野田にとって心強い父の存在が手助けになるはずだ。
どのカテゴリーで、どのチームで戦うかは現時点では未定だが、来年は16歳になり野田の選択肢はかなり増えることになる。トラブル続きで成績は残せなかった今シーズンだが、ポテンシャルは誰よりもある野田。そんな彼女がさらにレベルの高い環境でレースができるようになる来シーズンは楽しみで仕方がない。
まずは来年の参戦計画の発表を待つとしよう。
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