シルバーストンで掴んだ手応え
今シーズンからWシリーズに参戦している野田樹潤は苦戦を強いられている。主な原因は、初めて走るサーキットとマシンに慣れておらず、セッティングを満足に行うことができていないことだ。
Wシリーズは30分のプラクティスがあり、予選、決勝という流れで行われる。つまり参戦初年度の野田にとって、経験したことがないサーキットに慣れる時間がわずか30分しかないということになる。
前戦イギリスでも思うようにセッティングができなかった野田は、予選終了後にマシンのセッティングを変更して決勝に臨んだ。決勝は予選と同じ16位だったが、レース中盤から後半にかけてリズムに乗ることができたという。タイムを見ると周回によってはトップ3に入るタイムも記録しており、野田にとっては大きな自信になった。
第4戦の舞台、フランスのポール・リカール・サーキットは野田が走行経験のあるサーキットだ。レースでは初めてだが、コースに慣れる時間が必要ないため、好走が期待された。
レースはチャドウィックが開幕4連勝
Wシリーズにおいて圧倒的な強さを誇っているディフェンディングチャンピオンのジェイミー・チャドウィックが、ここフランスでもポールポジションを獲得。しかし、予選中にピット出口の白線を超えたためペナルティが科され、3番手からのスタートとなった。
これにより、前年チャドウィックと激しいバトルを繰り広げたベイスク・フィッセールがポールポジションを獲得。2位はネレア・マルティとなり、野田は14位で予選を終えた。
スタートは3番手スタートのチャドウィックが1コーナーで2位に浮上すると、続くターン3でフィッセールをアウトから豪快にオーバーテイクした。後方ではアビー・イートンとマルタ・ガルシアが接触。イートンのマシンが浮き上がってダメージを負い、リタイアとなってしまう。このアクシデントによりいきなりSC(セーフティカー)が導入された。
レースは残り21分の時点でリスタート。しかしリスタート直後のターン3でクロエ・チェンバースとエメリー・デ・ホイスが接触。チェンバースのマシンがトラック上に止まったため、再びSCとなった。
残り13分時点でレースがリスタート。フィッセールが1コーナーでチャドウィックをパスするも、ターン3で再びチャドウィックが首位に浮上。フィッセールはその後ベレン・ガルシアとマルティにもパスされ4位に後退した。
レースはそのままチャドウィックが優勝し、負けなしの開幕4連勝を達成。2位にはガルシア、3位にマルティが入った。
13位フィニッシュも自信が持てた野田
14番手スタートの野田は高温の中で行われるレースに備え、レース中盤からタイヤがタレてもいいようにセッティングを施し、中盤から終盤にかけて追い上げを狙っていた。しかし、序盤に2度のSCが入り、各車タイヤマネジメントをする必要がなくなったため、野田のアドバンテージはなくなってしまった。
それでも野田は、Wシリーズで優勝経験があり、今シーズンも表彰台を獲得しているエマ・キミライネンを何周にもわたって抑え込んだ。最終盤で抜かれてしまったものの、上位勢が見える中でレースができたのは、野田にとって大きな手応えとなったことだろう。
来週末に行われるハンガリーも野田にとっては初めてのサーキット。ここでも厳しい戦いとなることが予想されるが、野田に流れがきかけていることは間違いない。シルバーストン以降、レースごとに取り組みが結果に表れてきており、自信も深めている。ハンガリーでさらなる好成績を収め、夏休みに入って欲しい。
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