「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

コントレイルは別格!?2歳GⅠ馬7頭中6頭が3歳以降無冠【ディープインパクト産駒2歳編】

2020 4/20 06:00門田光生
ディープインパクト産駒のコントレイルⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

2歳GⅠ馬7頭中6頭がその後無冠

ディープインパクト産駒2歳馬インフォグラフィック

2歳GIを勝ったディープインパクト産駒は合計7頭いるのだが、その7頭中6頭が3歳以降無冠。GIを勝ったのはコントレイルのみ。このあたりが、一部で噂される「ディープインパクト産駒の早熟説」の原因なのだろう。

前回で述べたように、ほかの産駒に比べて完成が早いのは間違いない。しかし、早熟かといわれれば「?」である。個人的な意見だが、ディープ産駒は専門分野がほかの産駒以上に特化されていて、それが「仕上がり早」や「芝向き」、「距離適性」など、個々の特徴がより強調される結果になっている気がする。

これは、GIを複数勝ったディープ産駒とサンデーサイレンス産駒を比較すると分かりやすい。まずディープインパクト産駒だが、アルアイン(皐月賞、大阪杯)、ヴィルシーナ(ヴィクトリアマイル2回)、マリアライト(宝塚記念、エリザベス女王杯)、ミッキーアイル(NHKマイルC、マイルCS)、海外ではSaxon Warrior(レーシングポストトロフィー、英2000ギニー)など、複数GIを勝った馬は同じ距離ばかり、という馬が多いことに気づく。異なる距離を勝っているGI馬を見ても、フィエールマン(菊花賞、天皇賞・春)、ヴィブロス(秋華賞、ドバイターフ)、エイシンヒカリ(イスパーン賞、香港C)など、1ハロン以内がほとんど。

対してサンデー産駒はというと、スプリンターズSとマイルCSを勝ったデュランダル、マイルCSと天皇賞を勝ったダイワメジャー、皐月賞と菊花賞、もしくは皐月賞とダービーを勝ったエアシャカールやネオユニヴァースのように、距離に融通が利く馬がたくさん出ている。そう考えると、桜花賞から有馬記念まで7つのGIを勝ったジェンティルドンナはディープ産駒の中で異質であり、またどれだけ凄い馬だったかが分かる。

距離に特化した馬が多いのと同じで、年齢を問わず、とある時期だけ爆発的な活躍をする馬が多い。だから「早熟」というより「旬が短い」が正解かもしれない。

2歳GIを勝った馬の血統を見ていくと、母の父Mr.Prospector系が3頭、Northern Dancer系(Danzig系、Nijisky系)が2頭、そしてRibot、Nasrullah系(Grey Sovereign系)がそれぞれ1頭いる。

その中の1頭、サトノアレスは母の父がDanzig系のデインヒル。母の父にDanzig系を持つディープ産駒のGI馬はジェンティルドンナ、ミッキーアイル、そしてロジャーバローズ(ダービー後に故障で引退)がいるが、この3頭はいずれも祖母の父にもNorthern Dancer系を重ね掛けしていた。母の父がDanzig系で、Northern Dancer系を重ねていないのはマルセリーナとサトノダイヤモンドで、この2頭は古馬になってGIを勝っていない。サトノアレスも、もう1本母系にNorthern Dancerの血があれば、古馬になってもっと活躍できていたかもしれない。

コントレイルは別格?

コントレイルは母系がUnbridled's Song×Tiznow×Storm Catというアメリカンまっしぐらな母系。ディープ産駒で母の父がUnbridled's Songを含むコテコテの米血といえば、朝日杯FSを勝ったダノンプラチナが思い浮かぶ。ダノンプラチナは故障にも悩まされたが、3歳以降は富士Sとオープンを勝っただけ。もう1頭、古馬になって勝利を挙げていないワグネリアンも、母系がMr.Prospector系×Himyar系×Intent系という米血中心の構成。上記で「旬が短い」と書いたが、欧州の血が薄いと、それが余計に強調されてしまうようだ。

それでも皐月賞を勝つのだからこの馬は父と同じく怪物なのかもしれない。


《関連記事》
GⅠ54勝!完全制覇まであと4レース GⅠを勝ったディープインパクト産駒たち

【ディープインパクト産駒(3歳編)】GⅠレースは完全制覇も意外な事実が!