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【ディープインパクト産駒(3歳編)】GⅠレース完全制覇もダービー馬には意外な事実が!

2020 4/19 17:00門田光生
2019年の日本ダービーを勝ったディープインパクト産駒のロジャーバローズⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
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ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

3歳編

GⅠを勝ったディープインパクト産駒3歳馬

ディープ産駒が3歳GIを勝った数は27。牡牝クラシック完全制覇はもちろん、全ての部門で複数の勝ち馬を出しており、最も得意の分野といえる。

面白い傾向があるのはダービー。これまで6頭のダービー馬を出しているのだが、そのうち今年勝ったコントレイルを除く5頭ともがダービーしかGIを勝っていない。「最も運のいい馬がダービーを勝つ」といわれるレースだが、まさにそこで運を使い果たしてしまったのかもしれない。ちなみに、サンデーサイレンスは6頭のダービー馬を出しており、そのうちの2頭は三冠と二冠馬。

ダービーと並んで勝ち馬が多いのは桜花賞。その桜花賞も、ジェンティルドンナ以外は全てこのレースしかGIを勝っていない。しかし、牡牝の三冠目である菊花賞、秋華賞はそれぞれ4、3頭の勝ち馬を出しており、昨年の菊花賞馬ワールドプレミア以外は全て複数のGI勝ちを収めている。この事実からも、ディープ早熟説は否定して間違いなさそうだ。

スーパー牝馬 ジェンティルドンナ

ディープ産駒の最多重賞勝ち馬はジェンティルドンナ。牡馬はクラシックを2勝した馬がいないというのに、この馬は牝馬三冠に加え、古馬GI(海外を含む)を4勝。まさにスーパー牝馬だった。

母系はDanzig系のBertolini×リファーズスペシャル×ジュニアス。一見軽すぎてマイラーに出てもおかしくない配合だが、2歳編でも述べたように母の父Danzig系はNorthern Dancer系の重ね掛けでより力を発揮する。

ちなみに、昨年のダービー馬ロジャーバローズもDanzig系Librettist×リファーズスペシャル×ジュニアス。ジェンティルドンナとは8分の7同血で、古馬になってさらなる活躍が見込めた血統。それだけに、早期引退が惜しまれる。

3歳GIと相性がいいのは母の父Northern Dancer系

きょうだいでGI制覇というのも、ヴィルシーナ(ヴィクトリアマイル)とヴィブロス(秋華賞、ドバイターフ)、スピルバーグ(天皇賞・秋)とトーセンラー(マイルCS)、そしてFierce Impact(VRCカンターラS、MRCトゥーラクH、いずれも豪GI)とケイアイノーテック(NHKマイルC)などがいる。

このうち、スピルバーグ・トーセンラーの兄弟はディープ産駒にしては距離に融通が利いた。母系が早熟のスプリンター×晩成のステイヤーという極端な配合で、それぞれのいい面が出たのかもしれない。

母の父Northern Dancer系というのは3歳GIと相性がいいようで、牝馬ではマルセリーナ、ジェンティルドンナ、アユサン、ハープスター、ミッキークイーン、シンハライト、ラヴズオンリーユー、牡馬ではキズナ、マカヒキ、ロジャーバローズ、サトノダイヤモンド、フィエールマン、そしてミッキーアイル。POGなどでディープ産駒を選ぶ際の参考になるかもしれない。

母の父の影響大 ディーマジェスティ

ディープ産駒の中で異彩を放っていたのがディーマジェスティ。2016年の皐月賞をレースレコードで制した馬だが、これはリオンディーズが作り出したペースの副産物で、中身はスピード勝負ではなく完全な底力勝負。

しかも、強風に加えて緩い馬場(発表は良馬場)とタフな条件で勝ち切った中身からも、ディープ産駒というより完全に母の父ブライアンズタイムが出ていた。ディープ産駒でここまで母の父の影響がはっきり出た馬は珍しい。

以後はそれがアダに出て、GIでは切れ負け、あるいはスピード負けしてタイトルを積み重ねることはできなかった。ディープ産駒としては異質なタイプなだけに、種牡馬としてどんな産駒を出すのか非常に楽しみ。近親のジェネラスのように、重さが前面に出ないことを祈るのみだ。

なお、海外ではStudy of Man(仏ダービー)、Saxon Warrior(英1000ギニー)、Beauty Parlour(仏1000ギニー)と3頭のクラシックホースを輩出している。


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